紺ちゃんは
「それは苦しかったね」と
優しく言ってくれた。

「自分で選択した道を、
後悔しちゃいけないのも、
よく分かってるの。」

「きっと茂も、
りんがそんな気持ちになるのを
覚悟した上での結婚だったんだよ。
愛されないかもしれない。
それでもいい。
自分が愛することができるなら、
それでいい。
そう覚悟が有ったんじゃないかな。
りんと僕とは違うから。
りんは自分を責める事はないよ」

それでもいいの?
辛すぎるじゃない。

「姉御肌さんも、
そうだったんじゃない?」

「彼女は違ったよ。
やっぱり彼女は見返りを求めてた。
こんなに尽くしたんだから、
好きになって、というのを感じた。
だから頑張ったよ。
好きになろうって。でも無理だった。
好きになろうと思って、
人を好きになるもんじゃないよね。」

それはそうだよね。

紺ちゃんは、
私にこう言ってくれた。
「全てに向き合う必要なんて
ないんじゃないかな。
今を大切にしたいなら、尚更。
時間に流されたらいいよ。
深く考えて悩んでも、
良い結果にたどり着かないならば、
それは全く意味ないよ。
りんは茂が大切。それでいい。
僕とりんは違う。同じようで、
同じじゃない。
だからもう悩まないで。」

そうは言ってくれたけど、
私も紺ちゃんのような強さが
あればな....。

私はしばらく、
罪悪感に苛まれる。