手紙を受け取った日は、
それだけじゃなかった。

今日は町会の集まり。
各家庭から雑巾を一枚出す。
そして掃除をする日だった。

私はというと、
お裁縫が全くできない。
恥ずかしいくらいできない。
学校で習ったでしょう?
ノー。やっていない。
そんなこんなで、
雑巾は100均で買う事にした。

友人たちも、
縫うのが面倒だと言って、
100均で買って割り勘しようと
話していた。
3枚一組で売っていて、
それを二組買った。
私を含め六人は手作りじゃない。
でも指定されてるわけじゃないし、
別にいい。何だって。

たまたま近所の友人達と、
集会所の前であった。

そして役員の人に挨拶をして、
その雑巾を差し出した。
「お願いします」

そこに、
近所のエセセレブがいた!
久しぶりに見かけた。
たまたま会った。

彼女の開口一番、
「私だってね、
雑巾買えるんだよ。
でも縫ったの。」

私や友人、役員さん、
すべての人の頭に、

?????

ハテナが浮かんだ。

あれ?私たちなんか言った?
買ったものです、なんて言った?

言ってないよーーー!!!
なーんーにーも言ってない!!!

「縫うの得意なんですか。
さすがですね。」と
友人が言った。

( ゚д゚)わわわ、すごい。
その返しすごい!
私には思いつかない。

案の定、上機嫌となり、
妄想自慢が始まった。

帰り道、友人に聞いた。
「あなたすごいね。
あの人の話を聞いて、
気分良くさせてあげて。」

「あはははは。
腹の中では大笑いよ。
今日も嘘ついてたよね?
でもいいのよ、あれで。
彼女は私たちよりも、
上でありたいの。
たとえ分かりきったような
嘘だとしても、
ついてしまうんだよ。
彼女はここで見栄はるのが
生きがいなんだから。」

「はーー、なるほどね。
私、そんな発想なかったわ。
嘘ついてまで苦しくないのかな?
と思ったりしてた。」

「ないない、
彼女が苦しいのは、
誰にも相手にされなくなった時。
それを一番恐れてるんだよ。
お昼来てみなよー?
大盤振る舞いよー?すごいわよ」

「はーーー、すごいね。
何かカウンセラーみたいだよ。
友人同士なら付き合わないよね」

「友達ならね。むりむり!
彼女は友達じゃないから。
近所のおばさん。カウンセラー
みたいなもんよねー。
大見栄きって散財して、
自己破産しようと、
旦那に捨てられようと、
私には知ったこっちゃないよ。
ま、それも人生よね。あはは。
りんちゃーん、
日本人の空気を読む力は、
すごいっしょ。あはははは。
みーんな友達じゃなければ、
こんなもん、そんなもんよ。
どうしても狭い集合住宅ばかりで、
付き合いもあるからね。」

「はー勉強になりました!
すごいね。私、つまんなくて
仕方ないよー。ははは」

「つまんないよー!
くだらないし嘘だしね。
バカだなぁって思ってるよ。
だから全く違うこと、考えてるー。
性格悪いね、あははは。
生きがいを取るのは、
かわいそうじゃなーい?
見ないフリしてあげよう!」

なるほどね。
見栄を張るために嘘をつく。
それが生きがいか。

友人はケラケラ笑いながら、
明るく言ってるけど、
結構キツイこと言ってるなー。
もう大人になったら、
こんな感じか。

見ないフリをしてあげて、
腹の中では笑ってる人ばかり。
生きがいを取ったらいけないと、
もっともらしい事を言うけど、
それって相手を思った
優しさではないよね。

なーんか、
ちょっと陰湿な人が多いのかなー。
陰湿じゃないのかな?
それが日本で生活する上では、
必要なのかな。


まあ、いいや。