(本編再開)

その日は、
まだ終わらなかった。


家に帰ると、
どうしても足りない食材があり、
私は子ども達を連れて、
買い物に出かけた。
買うものは一つだし、
1番近い高めのスーパーに
行くことにした。
安いスーパーは遠い。

高めのスーパーで会う人。
そう、さっきのエセセレブ。
もう今日はお腹いっぱい!
散々、嘘と妄想を聞いたから、
今日は勘弁してくれぇ〜と
内心思っていた。
でも目が合ったら挨拶しなきゃ。
はぁ〜捕まってしまった。

実は二人きりで話すのは、
初めてかもしれない。

彼女はとっても不思議な人だ。
誰も言ってないのに、
急に話題を投げてくる。
それがいかにも世間話なら、
別に驚かないけれど。
雨で嫌だねぇ。とか。
そんな事なら分かる。
彼女は違うのだ。
今日も突然、何の脈略なく、
「私って変わってるよねぇ?
みんなと考え方も違うから、
友達出来ないんだよねー。
特殊だよねー、私」
と言ってきた。

あまりに突然だし、
仲も良くないから、
なんて返したらいいのか
分からない。

そんな特別じゃないですよ、
なんて言ったら虫の居所が
悪くなりそうだし。
そうですね、とも言えないし。

「そうなんですか?」
私の頭から絞って考えた言葉!笑 

「そうなんだよー。
やっぱり周りと違うよねぇ。
変わってるよね。」

話はその内容で進んでいった。

どうやら、彼女は、
自分が友達が出来ないのは、
自分が特別で、
周りと考え方が違う。
人と違って変わってるから、
なかなか理解されない。
ということが、
言いたかったらしい。

この人、おめでたい人だ。
みんなが友達になりたくないのは、
そんな理由じゃない。
あぁ、そうか。
陰でバカにされているとか、
腹の中で笑われてるとか、
見下されてるとは感じてないのか。
彼女からしたら、
私の思考は特別、セレブ、として
周りを見下しているわけで。

狐と狸の化かし合いみたい。
おっかしー。(笑)
友達じゃないけれど、
いい話し相手よ、と言っていた、
杉山さんの言葉を思い出した。

そのエセセレブ、
別れ際に海外で買ったという、
お土産をくれた。
パッケージの後ろは、
日本語表記のシールが
貼ってあったが....笑
これこれ。
みんなが笑ってたやつ。

そうね、これも見ないフリ。
ありがたく頂こうっと。

何か私は、
腹の中で笑ったり、
バカにするなんて、
そんな事はしたらいけないと
思っていた。
ちょっとイジメに近いものを
感じていたから。
でもいいのかも、
本人が喜んでいるようだから。