クーデンホーフ・ミツコ没後70年記念
musical
MITSUKO
~愛は国境を越えて~
観て来ました。
上演が公表された時から、観劇できる日を心待ちにしていました。
感動的な舞台でした。
1幕、2幕でウルウルする場面もあり、カーテンコールで「後ろを振り向かずに」を
出演者が合唱してくれた時は、涙腺をかなり刺激されました。
100年も前に日本人女性で、初めて国際結婚をした光子の波乱の人生をドラマチックに描く・・・
そんな舞台を想像していましたが、それだけじゃなかった。いい意味で裏切られました。
もっと大きなテーマが~愛は国境を越えて~だったんですね。
よく練られた脚本・演出で良質の舞台なのではないでしょうか?上演を重ねてもっともっと練り上げられたものを、もう一度観てみたい。
ワイルドホーンさんの曲「愛は国境を越えて」「後ろを振り向かずに」の2曲は特に印象に残りました。
マテ・カマラスさんは「エリザベート」のトートを観ています。その後、姿月あさとさんとスーパーライブをされたので2回ほど舞台を拝見しました。暑苦しいくらいにエネルギッシュでおちゃめな人、なんだか可愛げのある人・・・。というイメージがありました。ハインリッヒ役では、トートをされていた時の妖しさは微塵もなく(←あたりまえか)、誠実で真面目で知性溢れる、人格も高潔な伯爵でした。
マテさんの登場は、ハインリッヒが日本へやってくる船上のデッキから。
デッキは小池修一郎さんの舞台ではよくお見かけする、クレーン(?)です。これは幕開きと最後の場面に登場。宝塚の「太王四神記」のラストの時のように客席のほうまでやってきたので、7列目の座席でオペラで見てた私には、マテさんの鼻の穴まで見えそうでした。
ハインリッヒ役のマテさん、日本語で歌い、お芝居をされていました。(完璧な日本語でないかもしれないけど・・・「神」が「キャミ」に聞こえたりとか)
外国語で感情を込めて歌い、芝居もするって、大変なんだろうなあ。そのせいかな?歌声に迫力がなかった。もっと熱い歌唱を期待していたので、アレ?と肩すかしされたような気がした。
でも、この時期にウイーンから来てくれたんですよね。ありがとう。←エラそうにすみません。
トウコさんは、「ザ・ヒロイン」でした。
美しくて、可愛らしくて、歌唱力抜群。老いて、杖をついて歩く姿も凛としていました。
最初の場面は可憐な町娘の姿で登場。たちまちハインリッヒと恋に落ちて
二人は結婚します。船で中国、インド、エジプトを回りロンスペルクに到着。
ここまでがけっこう長かったかな。ちょっと退屈したかも。
一幕で最初に盛り上がったのはハインリッヒの出版した本をウイーンの人々が批判した時に、光子が「愛は国境を超えて」を歌う場面でした。トウコさんのドラマチックな歌唱は本当にすごい迫力がある。圧倒される歌唱でした。
ハインリッヒが亡くなって、親戚と相続を巡って裁判で争うあたりから、光子は強くなる。ならざるを得ない。
1幕の終わりの光子と子ども達の合唱は感動的でした。トウコさん、光り輝いてます。光子は頼りの夫を亡くし、失意にあるとはいえ、母親としての義務と責任感に燃えて、このときが人生の中で最も輝いていたのではないでしょうか?
2幕はハインリッヒにかわり、次男リヒャルトが物語を動かします。
リヒャルト役の辛源(シン ゲン)君、長身でまだ幼さの残る美青年です。歌もまあまあ上手い。これからもっと伸びる人なんでしょう。大きなナンバーも破綻なく歌い上げていました。
イダ・ローラン役のAKANE LIVさん。昔、雪組にいましたよね。エキゾチックな美人だ。ソプラノが美しい。でも台詞をしゃべると意外と低い声ですね。
リヒャルトとイダの「パン・ヨーロッパ」の活動がドラマチックに描かれ、光子は子ども達からも時代からも取り残された感じが強くなります。
光子はどんどん老いていく。このあたりトウコさん、上手く演じていたと思います。
子ども達に背かれ、孤独な光子の慟哭は胸を締め付けられました。こどもを育て上げた経験があればよけいにね。なんだか、ここの光子に一番共感してしまった。
ナチスに追われ亡命するリヒャルトと、光子との別れの場面も良かったな。
進行役として大月さゆちゃんが出演されていました。大きな役をきちんとこなしていました。
未来優希さんは光子の母親役、新聞記者役をされていました。どちらも上手に演じておられました。特に新聞記者役のインテリな感じ、こんな人この時代にいたんだろうな、と思わされました。
アンサンブルの人たちも皆、歌えるし踊れる。オルガを演じた女優さん元OSKの方だったんですね。清楚で親思いで、女性としての寂しさも表現されていて、素晴らしいなと思いました。このオルガは後年悲惨なめにあうのですよね。
あと、子役の子ども達が可愛らしかった!
マテさん、いいパパの感じが出てたのは子役さんたちの可愛らしさのおかげもあるよね?
観劇の前に「ミツコと七人の子どもたち」(シュミット・村木眞澄寿美著)を読みました。舞台を観てから読んだほうが良かったかもしれません。
「サウンドオブミュージック」「カサブランカ」「エリザベート」の舞台の時代背景がリンクしていて、ヨーロッパの歴史の勉強にもなりました