柚木麻子『終点のあの子』(文春文庫)



う、はああ(悶絶)。私は女子校モノが大好きなので、ほしおさなえ『ヘビイチゴ・サナトリウム』や若合春侑『無花果日誌』そして三浦しをん『秘密の花園』などのひそかな痛みと毒、ああいうの、息がつまるくらい夢中になって読んでしまいます。


『終点のあの子』は連作短篇。中高一貫の女子校を舞台に、十代の女の子たちが憧れ、傷つき、苛立ち、怖れる姿を描いています。作者自身が私立の女子校出身みたいで、放課後の派手グループの感じとか、表に出さないけど実は強い自負があるとか、それぞれの描写がひどくリアルです。

特に好きなのは、第一話「フォーゲットミー、ノットブルー」。外部生として高等部へ入学してきた朱里。ものおじしない彼女に、内部生の希世子は惹かれつつ、次第に違和感も覚えるようになります。そうして、ついにその日……。まるでサスペンス!


だいたい、女の子の十代なんて(私も女子校育ちで十代の男の子についてはよく知らないので、とりあえず女子に限定します)思考力が飛躍的に伸びるのに行動力や行動範囲は限られていて、もどかしくて仕方ない時期。お友達との間でも、容姿や成績や、わかりやすい特徴をとらえてはすぐコンプレックスを増幅させてしまうし、何かのきっかけで雰囲気が悪くなった時なんてもう……苦しくて世界の終わりみたいな気分になってしまう。まあ私の母校では校風もあるのか、基本的にはグループ同士の対立もなく協力して和やかな日常を保っていましたけど。


いやー、後味は必ずしもよくないし気疲れするけど、女子校モノははまるー。(あ、「これが女子校の実態! 女子って怖いわねー」とか言うつもりは全然ありません、念のため)




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