先輩が言った。
「連想ゲームしようか?」
ニッコリ笑う。
めずらしく先輩は気だるげ。
時間を持て余して、そんなことを始めた。
「やさしい声と低音ボイス
綺麗すぎる瞳
いつもいい匂い」
先輩、抽象的過ぎやしませんか?
「そんなの卑怯?
なにも思いつかない?」
じゃあ、と言葉を追加する先輩
「1つじゃないピアス
PCとか新聞とか
タバコ
建築物
あ・・・パンツたち」
先輩は言いながらくすくす笑う。
わからない。
特にパンツって、それもパンツたちってなに?
「ヒントにならない?
もっとわかりやすいのって?
時間割
旅行
ニュース
春の知らせ
ヒーローの色」
・・・・・・???
「まだわかんないの?」
当てられない俺。
先輩は尚も笑った。
「結局なんだったんすか?」
「内緒」
「内緒って・・・・」
「ははっ。残念だね。わかんなきゃアウト。あ、電話でていい?」
「どうぞ」
「おつかれ。俺も終わった。うん待ってるよ。じゃあね」
「迎え来るんすか?」
「うん」
「誰が来るんですか?」
現場にいるからマネージャーじゃないだろうし。
「俺のだから内緒」
「え?」
「なんでもないよ、お疲れ。気を付けて帰んなよ」
きっと最初から教える気なかったんだろうな・・・・。
俺はため息をつきつつ挨拶をした。
・・・・・・・・・・・・・・
「おまたせ」
「来てくれてありがと」
「じゃ、帰るか」
車の中。
ラジオのBGM。
眺めた景色はまだ冬色。
「今年は咲くのはやいのかな、遅いのかな?」
「どうだろ?」
「花見しようか一緒に、今年は」
「そうだな」
「そういう時間とろうね」
「仕事三昧じゃ心折れるからな~・・・」
「折れる前に癒されたいから二人きりで行こ」
「それ以外の選択ないだろ」
「ふふっ、やっぱ俺だけのもんだからね」
「え? なんか言ったか?」
「いい曲だなって言っただけ」
流れてきたリクエスト曲は淡いピンク色した花の名前で
少しだけ窓を開け
小さく口ずさむメロディ
もうすぐ春がやってくる
FIN
なんとなく静かめの曲を聴きつつ
ゆっくり連想してもらえたらと思います
大人なAくんとSくんの会話と雰囲気
後輩くんは誰でしょうか?
小説未満なお話ですが
なんとなく言葉少ない方が情景が見えそうな気がして
すごく言葉足らずの短編になりました
もうすぐ春ですね
優しい春が来ますように
るぅ