久々に映画で熱くなった。


アメリカに上陸したゴジラ。日本のゴジラシリーズにとても近い、東宝のゴジラだった。

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ゴジラが生まれたのは1954年。


当時社会問題になったビキニ環礁の核実験にヒントを得たモノだった。

体長50メートルの怪獣ゴジラは 人間にとって恐怖の対象であると同時に

「核の落とし子」で、人間が生み出した核兵器によって現れ、人間の手で葬られるという

人間の身勝手を表現していた。


以来、ゴジラシリーズにおけるゴジラは核に対する脅威と反核・反戦の象徴だった。

それだけでなく、日本の神話の世界に登場する神のような存在。

絶対的な存在として人間の愚かさを見つめる、というか、シリーズを重ねるウチに悪い怪獣を懲らしめる子ども向けの時代もあったけど、人間の愚かさを睥睨する姿勢は変わらず ずうっと好きだったのだ。


娯楽としてみると シリーズの中で 人間の繁栄の象徴としてのいろんなモニュメントがゴジラによって破壊される。

国会議事堂や銀座の町並み、羽田空港や東京タワー 

時代とともに みなとみらいになったり大阪城やできたばかりの京都駅ビルだったり。

人間の繁栄を一瞬で破壊してしまう姿に自然の驚異を観たり人間の驕りを観たり。


最初にハリウッドで作られたのはもう16年も前。

ローランド・エメリッヒ版の「GODZILLA]を観たときのがっかり感たらなかった。

巨大なトカゲが、ただただNYの町中を逃げ回り、ビルを壊すこともなく白い放射能火炎をはくこともなく、

ミサイル数発で死んでしまったゴジラもどき。

本当にがっかりした。多分エメリッヒはオリジナルになんの思い入れもないのだろう。


なので、今回のゴジラ、注目していたのです。

まさしく東宝の本物のゴジラでした。

ハリウッドには珍しく着ぐるみっぽいマッチョなゴジラ。誰が観てもゴジラです。

低予算SFを手がけたギャレス・エドワーズ監督自身、ゴジラシリーズをこよなく愛しているそうで、原作へのリスペクトが凄く感じられました。渡辺謙演じるDr.芹沢猪四郎。

ゴジラ草創期の監督脚本は本多猪四郎で、第1話の科学者は芹沢博士だった。

それだけでうーん、となる。


渡辺謙が怪獣を名前を明かすとき、アメリカ式の「ガッジーラ」ではなく ちゃんと「ゴジラ」と発音する。

思わずパンフレットを買ってしまった。@850

解説にのあったけどハリウッドのモンスター映画と日本怪獣映画のいいDNAがMIXされた感じ。

米軍がモニターTVでゴジラの様子を見る所なんてモノクロだし、

電波が途切れる感じ 古い日本のゴジラ映画みたい。

戦艦がゴジラを併走するシーンとかモンスターと闘うシーンとか街を派手にぶっ壊す所なんか 

もう昔のゴジラシリーズそのまんま。

そして、お約束のゴジラの咆哮シーン。

息を吸って、体を大きく反らして 吠える。

凄く長くて迫力でかっこよくて。

あまりにも待ち望んだシーンだったので、「よし」と声が出てしまいました。

全体に音が良かった。

ゴジラというと伊福部昭さんのあの音楽を思い出すけど。