白湯の旨 | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

白湯とは・・・・
Wikipediaによれば、それは、「水を沸かしただけで何も入れていない湯のこと。 」とある。
さらにそれは続ける。
「いったん沸騰させた湯をぬるく冷ますことで、カルキなどの不純物がとび、口当たりも柔らかくなる。」
なるほど。
そういえば、俺の友人も、白湯にはまっていた。
なんでも、毎朝、白湯を一杯飲み続けるだけで、体の調子が良くなり、快便快尿、体重の減量にも繋がるらしい。

その時、俺はとんこつラーメンが美味いことで知られた近所のラーメン屋にいて、そして目の前には、新開発品なのか、それまでは目にしたことのなかったメニュー名が提示されていた。
「白湯らあめん。」
つまるところそれは、いったん沸騰させた湯をぬるく冷ますことで、カルキなどの不純物がとび、口当たりも柔らかくなったスープに入ったラーメンということに違いなかった。
とんこつラーメンの気分で飛び込んだラーメン屋だったが、ひとつ冒険してみるのも悪くない。
俺は自らのその提案にひとりコクリと頷くと、冷たいウェルカムドリンクを持ってきてくれた若い女性の店員さんに、テーブルに置かれたメニューを指差しながら、
「さゆらあめん!」
と告げた。
「パイタン一丁!」
女の子は、そんな俺にこっくり頷くと、厨房に向かってそう、大きな声で叫んだ。

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白湯らあめん、確かに、口当たりも柔らかく、想像をはるかに超えて美味しかった。
しかし・・・
どう味わってもそのスープ、それは、水を沸かしただけで何も入れていない湯、とはかけ離れたものだった。
「おかしいな?」
スープを啜る度に首を傾げながらも、なんだかんだ美味しくて、結局、最後の一滴まで白湯を飲み干した俺だった。

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