衝撃のインパクトその② | うぢまっちゃのゴルフ日記

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こんにちは うぢまっちゃです

いつも見てくださってありがとうございますm(_ _ )m


前回より新シリーズとして『衝撃のインパクト』と題して

まずは二体衝突問題およびドライバーを想定した

ヘッド重量との相関について考えてみました


今回はそのおさらい というか 補足から

パターについてまで言及してみたいと思います


さて

前回 二体衝突問題をちょこっとだけ丁寧に計算しましたね(;^_^A

ただ何度もこんな計算するのは 正直面倒ですね...(x_x;)


やはり 必要は発明の母 Σ(゚д゚;)

単にボール速度だけなら便利な式があったんですね これが...


ボール質量 m (46g)

ヘッド質量 M

ヘッドスピード Vh

ボールスピード Vb

反発係数 e

とすると


Vb=((1+e)/(1+m/M))×Vh   ・・・・①


となります

偉い人がいたもんです...ありがたく使わせていただきました...


(㊟ 前回計算とは若干eの取り扱いに差があり わずかに差がありますことご容赦ください)


早速①式をつかって

前回のヘッド重量とドライバー飛距離の関係をグラフにすると



fig8

ヘッド重量1kgをくらいにすると260ヤードと超えてきますね...

46kgくらいで280ヤードくらい  って 無理でしょ!!


ではヘッドスピードとの相関をグラフにすると


fig9

こんな感じで

ヘッドスピードとドライバー飛距離は比例関係といっていいでしょう


ではヘッドスピードがすべてでしょうか?

答えは当然Noですよね

いくらヘッドスピードがあっても

スマッシュファクター(ミート率)がよくなくちゃいけないのは

言わずもがなです


そこでさまざまな反発係数で概算飛距離と

スマッシュファクターの相関を計算した表が下の表

(見なくてOKです)
表1

これをグラフにすると

fig10

だいたいヘッドスピード40m/秒くらい人が

ナイスショットすると220~230ヤードくらいですが

どうかすると200ヤードくらいしか飛ばないことって

ありますよね


ヘッドスピード測定器をもっているひとなら

いい時はスマッシュファクターで1.5を超えるでしょうが

悪いと時は1.35くらいになっていると記憶しているので

だいたいいい線なんではないでしょうか


表やグラフによると 200ヤードくらいになる

ミスショットの場合 反発係数は0.65 ということになります

もともと最高レベルで0.88ですから

差にして0.23 率にして26%の低下になりますね


反発係数はなかなか直感的ではないのですが

ボールでドライバーのフェースを叩くと

そんな感じなのかなぁ と思います







とまあ

前ふりが長くなりました


本題はパターです


まずドライバーショットの飛距離とパターの転がり距離の関係について

考えてみたいと思います


さて問題です

Q.ドライバーショットではヘッドスピードに飛距離が比例することは

Fig. 9で示されていますが、パターの転がりについても同じでしょうか?


『そりゃおなじボールを打つんだから同じじゃろ?』

って思われた方

素直ですね...

きっと周りから愛されるゴルファーでしょう...



でも実は違うんです


A.回答は以下の通り


パターの場合

基本的には

打出されたのボールの速度エネルギーが

グリーンの転がり抵抗により減速され

その距離でなされた仕事量(エネルギー)により

消費されたときに止まります


(もちろん傾斜や風やスピンやジャンプなどなど

 細かな条件は無視してですが...)


まず

速度エネルギー1/2×mV^2


次に

仕事量は力×距離なので

動摩擦係数μ 垂直抗力N(=mg) 転がり距離 Lとすると

μmgL


これがつりあうってことは

 v^2(速度の二乗) ∝(比例する) L(距離)

つまり2倍のヘッドスピードなら

ころがり距離は4倍ということになりますね




ここで

パターのヘッドスピードを1m/秒として

どれくらい転がるか試算してみようと思います


ここで再度①式を

Vb=((1+e)/(1+m/M))×Vh   ・・・・①


ヘッドスピードの他にはeとMを決める必要があります


ここでもドライバーショットとはことなります


まずeですが

実際の反発係数は一定ではなく

インパクトの際のつぶれ量と相関がある変数です


すなわち

わずかなつぶれ量であれば1ですし

大きくつぶれればダッシュポット効果によってエネルギーが失われ

小さくなります


ここではまず理想状態として完全弾性衝突として扱うこととします


重量Mについても

モデルの設定が必要です


ドライバーショットの際にはインパクトの衝撃が数百㌔~1㌧になる

と言われています

この衝撃荷重はほぼヘッドの慣性で受け止められており

シャフトの力はわずかであるという判断から

ヘッドのみの重量を考慮しています


ところが

パターではインパクトの衝撃は小さく

グリップで支えられており

この衝撃荷重はパター全体の慣性で受け止められていると

みていいと思います

よってパター全体で考え

ここではボールの10倍の質量の460gのパターと考えてみることとします


以上の数値

パターのヘッドスピード Vb 1m/秒

ボール m 46g  パター重量 M 460g

e 1 を①式に代入すると

ボールスピード Vb は 1.82m/秒

になります


この1.82という数字にピンときた方


めちゃくちゃ鋭いです


グリーンの速さを示す一般的な指標として

スティンプメーター値がありますね


一般的なグリーンで8フィートくらい

10を超えると高速グリーンといわれるようです


ではこのフィートってなんでしょう?

欧米系の単位で 長さですよね? 単なる距離ですよね?

知っている方も多いと思いますが

これはスティンプメータという装置をつかって転がした際の

距離なのです

そしてそのスティンプメータで転がされる

ボールのスピードは 1.82に近い値になるんです


説明が長くなりました

要は 偶然の一致なんでしょうが

460gのパターで1m/秒のヘッドスピードで完璧なストロークのパターを打つと

スティンプメータと同じになるってことです


ここでグリーンの速さを8.33フィート(およそ2.54m)とすると

その分だけ転がるといえます


ちょっとややこしくなりますが

ここを基準とすることで

さまざまなボールスピードにおいてどれだけころがるのかが計算できます


では

パターの重量が変化したら

どのようにころがり距離が変化するのか計算したのが下の表

(見なくていいです)

表2

グラフにすると こんな感じ

fig11

ドライバーの時とは異なったグラフになりますね


さてさて

ここからさらに

パターのありがちな二大ミス


その一 : パンチによるオーバー

その二 : ゆるみによる大ショート


について考察してみたいと思います




『パンチが入る』とか『力が入る』とは

パターではどういう状態でしょうか?

ヘッドスピードがインパクトで急激にあがる??

とは思えませんね...


これは仮説ですが

力が入ることで 腕とパターが一体となり

腕も含めた重量でボールを打っていると

仮定できるのではないでしょうか...


では腕の重量は如何ほどでしょう?

まさか 切って秤に載せるわけにはいきませんが

概算(φ70×55cm ×2(左右) 比重1g/cm3)すると

およそ4.2kg

パターとあわせて4.6kgの重量で

ヘッドスピード1.414m/秒で打ったとしたら

下のグラフの赤丸になりますね (もとは緑)
fig12
普通に打つと5mの距離が

パンチが入ると6mに伸びていることが分かりますね

まあ

たかが1mですがされど1m


たとえば4mのバーディーパットを

やや強めの5mくらいの狙いで打ったとします

ところが例のパンチで6m すなわち2mのオーバー


返しもはいらず3パットボギー

『バーディーチャンスのはずが...』って経験ありませんか?


やはりパターのグリップはバッティング毎に一定が良いですし

ストローク中は握る力は一定にしたほうがよさそうです


ただゆるく握ればよいのか?

いえ

ただ緩めれば

その二 : ゆるみによる大ショート

になってしまいます


ゆるみによりオフセット反発係数が下がった場合の

ボールの転がりを計算したのが下の表2


表2

10mのパットを打った時の想定を

グラフにすると

下のようになります。


fig13


今回の『衝撃のインパクト』は

 反発係数が1割低下しただけで

  2割もショートしてしまう!!!

ってことなんです


前半で

ドライバーでふだん220~230ヤードくらいの人が

200ヤードくらいになるミスショットになる際

反発係数が0.23下がることにふれましたが

パットの場合 同じレベルのミスだと4割もショート

つまり10mのパットが6mしか転がらない
大ミスになってしまいます


たしかにドライバーショットにくらべて

振り幅が小さいパターは

芯のズレ量としては小さくなりそうですが

芯を外した時のシビアさは

ドライバーに比べようもなく厳しい結果になります


このことから様々なことが見えてきます


パターの芯でとらえることのパター技術の重要性

パターの芯の広さが距離に与える影響の大きさ パター選びの重要性

パターとショットの難易度はそれほど大差がないこと 練習時間の割り振りの問題

などなど

様々な考察ができるでしょう



また今回も長くなりましたね

単純につたえようとすればあいまいな部分があり

それをいちいち書くと何がいいたいのかわからなくなる...

ジレンマですね


なお これは粗いモデルで大まかな傾向をつかむもので

多分に無視していることも多いので その前提はご理解ねがいます


また

ご質問やご意見やコメント等ありましたらおしえて頂けると

また楽しいかと思います


以上2回にわたって二体衝突としてとらえた場合のインパクトについて

考察してきました

次回よりは力積としてとらえた場合のインパクトについて

考えてみたいと思います

こんどは全違うアプローチになるので準備にちょっとお時間がかかってしましそうですが

お楽しみにしていただければ幸いに思います


それでは(*^ー^)ノ