衝撃のインパクトその③ | うぢまっちゃのゴルフ日記

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ども うぢまっちゃです(^-^)/

前回 前々回と二体衝突としてとらえた場合のインパクトについて
考察してきました
言ってみれば 『ボールを弾(はじ)く』
といった感覚のものです

今回は 力積としてとらえた場合のインパクトについて
考察してみたいとおもいます
言ってみれば『ボールをつぶす』
といった感覚のものです

さて
力積(りきせき)とはあまり聞きなれない言葉かもしれませんね

竹内力さんの親戚でも
長州力さんの親戚でも
消臭力の姉妹製品でも     ありませんよ((笑))

力積のイメージ図はこんな感じです
fig14 
衝突の瞬間にはわずかにボールはつぶれます
その際にボールに大きな力が加わります

実際の力は複雑なのですが
ごく簡単にモデル化すると 上の図のようになります

上の図の三角形に相当する面積が打ち出しの速度になります

さて
ボールを変えるとどうなるでしょうか?
fig15 
スーパーボール(←縁日なんかで売ってるメッチャ跳ねるボール)では
柔らかいので接触時間が長くなりますが 撃力は小さくなります

一方鋼球では
硬いので接触時間は短くなりますが 撃力が大きくなります

しかし
力積(三角形の面積)が等しければ
打ち出し速度は同じになります

余談ですが
人間の感覚では
接触時間の長さで
硬いや柔らかいを判断していると思われます
 
さて
ゴルフボールではどうなるでしょうか
パターとドライバーの例を見てみましょう
fig16 

パターとドライバーではかなりの速度差はありますが
接触時間についてはほとんど変わらないようです
(衝突実験を行った文献1参照)
ボールの種類にもよるのでしょうが
おおむね一万分の5秒(0.5×10-3(s))くらいなのです

ちょっと待てよ!
と突っ込まれた方

鋭いですね

例えば
ホッピング(昔流行ったやつね) の場合
『ちょんちょん跳ねるときと
びょーん びょーんと跳ねるときでは 時間が違うでしょ!』
って思われた方もいらっしゃるかもですね

でも
自分がいろいろ調べた限りでは
大きく差がないようなんです

理由については
ボールの構造(硬いコアと柔らかいカバー)および
形状などに起因するバネ定数の非線形性や
ダッシュポッド効果などが想定される(文献2)
のでしょうが
詳細についてはわかりません

(ボールメーカーさんではないので 実験等もできず
 ここらあたりが個人の限界ですね...)

それはともかくとして
今回の衝撃その①は
『パターでもドライバーでも接触時間Δtはあまり変わらない』
ということとさせてください

ちなみに5m相当のパターの場合の
瞬間的な力の最大値としては48kgくらいになると思われます
(興味あるかたは 計算例のように算数してみてくださいね)

また ドライバーではおよそ1.2tにもなります
1.2tといえば小型車くらいの重量です

小型車が頭の上にのって平気な人はまずいないでしょう
凶器としつかえば 充分な破壊力ですが
意図しない場合でも当たったしまうと大変です!
素振り等する場合は
周辺に気を配る必要がありますね...

さらに余談ですが
人間の感覚では インパクトの強さはこの撃力で感じているものと思われます


これまでが
竹内力の親戚 いや 力積の説明でした


ここで
等速でインパクトする場合と
加速的にインパクトする場合の違いについて
考察を進めたいと思います

よく
パターでは
フォローを大きくすることで
加速的にインパクトし
接触時間Δtを伸ばすことで転がりをよくする
みたいな感じのものを見ると思います

どんなものか検証してみましょう
ここではパターの振りで
テークバックとフォローの比で
それぞれ1:1 と1:2のものについて
比較してみたいと思います
モデルは以下のとおり
fig17 
このモデルではパターのヘッドスピードが同じで
加速度5.13m/s2 (←重力加速度の半分くらい)
の有無によって転がりの違いを見てみたいとおもいます
(加速度の設定の詳しい理由についてはまた別の機会で...)

fig18 

まあグダグダと計算した結果はですね

5.08m転がる条件の場合で
加速インパクトでは わずかに1%の増加(!)
5.13m(!)になります

(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
どうでしょう
直感よりもかなり少ないのではないでしょうか?
1%は誤差範囲ですよね

(すくなくとも自分はもっと効果あるのではないかと
 思っていました いろいろ甘目に試算してコレなので
 実際はもっと少ないのかもしれません)

今回の衝撃その②は
『インパクト時に加速させてもあまり変わらない』
ということです

これは
インパクトの時間が一万分の5秒と極めて短いためと
思われます

しかしながら
臨床的というか 実際には
フォローを大きく出したほうが転がりがよいのは
あると思います
これは どう説明したらよいのでしょうか?

これは 多分ですが
加速的にインパクトする場合には
グリップの握る力が強くなり
インパクト後のヘッドの減速がすくなるなるという
二体衝突でとらえた場合の重量を増加した効果と
同じようなことが起こるのではないかと思われます

ちなみに ショットの場合についても同様
というか
パターよりもっと小さくなると思われます
(もともとの撃力がもっと大きいので  詳細は割愛)


 今回は単純にヘッドスピードを変化させる場合について
考えてみました

ただ
ヘッドを加速的に当てる方法は他にもあります

ひとつはフェースの開閉
もうひとつはシャフトのしなり(弾き)
ですね

次回以降にこれらについて考察してみたいと思います

またちょっと下調べというか
仕込みにお時間いただきたいと思いますが
お楽しみにしていただければ幸いです


それでは おやすみなさい(θωθ)/~
 


参考文献
1)ゴルフボールの衝突特性(モデル化と衝突特性の測定)
 本江 哲行(富山高専)ら  日本機械学会 2001 CD-ROM論文集
2)ゴルフボール工学事始め
 松永(ブリジストン) 日本ゴム協会誌 第50巻 第12号(1977)