ここ数ヶ月、WOWOWで甲斐よしひろの特集をやっていて、ホクホクと録画しています。甲斐よしひろだけでなく、角松敏生のMILAD舞台『DANCE OF MY LIFE』とか、アイナ・ジ・エンド主演の『ジャニス・ブロードウェイ』も録った。

他、元春の出たSOLAR武道館や、CHARAの30周年ライブなどなど、いろいろと年末の音楽番組を録り貯めてますが、まだ全部は観れてません。冬休みになったらまとめてゆっくり観ようと思ってます。

で、既に観ちゃった中で、甲斐よしひろ関連の映像がもう、図抜けて楽しかった。甲斐バンドじゃなく、ソロのライブなんですけど、これがアレンジ最高。昔聴いた時に正直あんまりピンときてなかった歌すら、めちゃめちゃ格好良く聴こえた。すごく新鮮でした。

「レッド・スター」なんて全くノーマークだったけど、こんな恰好良かったっけ?「イエロー・キャブ」はもともと好きだったけど、ライブで披露されるとCDの何倍も名曲度合いが上がります。

重たいワルツにリアレンジされた「I.L.Y.V.M」での歌いっぷりの見事なこと。甲斐、バリバリに声出てんじゃん。このアレンジはボーカルに踏ん張りが効かないと歌えないよーと感心しながら聴き惚れてしまった。対照的に「ミッドナイト・プラスワン」の柔らかい歌声がまたいい。堪らなくいい。歌がうめぇなおい。

そしてみんなが大好き名曲「レイン」のライブでの破壊力ときたら。映像観ながら泣けてきましたよ。生のライブ観て泣くことはあっても、映像のライブ観て泣けるなんて近年ないことです。

今夜今夜、全ての星が二人を照らす。ゾクゾクしますね。

甲斐のライブって、ソロでも甲斐バンドでもファン泣かせの選曲してくれますね。ド定番のお約束の曲以外に、まさかこれ演るのか!?って珍しい曲を必ずぶち込んでくれる。よくぞ演ってくれた!とファンは堪らんし、こんなん聴けるならライブに行きたくなるってものですよ。

WOWOWのおかげで今、ソロ甲斐ブームが僕の中で静かに起きてます。

僕の甲斐バンド体験、甲斐よしひろ楽曲のリアルタイムでの出会いは「フェアリー(完全犯罪)」でして。つまりほとんど解散間際で、遅れて来たファンです。なので今でもオリジナルアルバムですと『ラブ・マイナス・ゼロ』への思い入れは強いです。

もちろん、初期、中期の叙情的な甲斐作品も最高に好きですけど、「冷血」「フェアリー」「ナイト・ウェイヴ」「ラブ・マイナス・ゼロ」なんて、声と音と詞と曲のバランスがもう、ポップスとして洗練と泥臭さとの塩梅が絶妙で、ホント大好き。こんな歌が作れたらって憧れました。

《ソロは(KAI FIVEも含め)解体と実験の繰り返し》と甲斐よしひろがインタビューで答えてた記憶がありますが、リアルタイムで新作を聴けたって意味で、僕は甲斐バンドよりもソロを親しんで聴いてきたかもしれません。
アルバム『ストレート・ライフ』『カオス』『エゴイスト』の三枚までは、はたしてソロでも甲斐バンド時代を越える良い曲を書いてくれるのか?という穿った耳で聴いてた部分もあった気がします。結論としては、バラードは凄く良い、けどアップテンポの曲が今ひとつ胸にガツンと来ない、って印象でした。

シングル「電光石火BABY」を最初に聴いた時は《甲斐バンド解散後のソロの一発目がこれなの?》と、ちょっと思いましたもの。今は好きですけどね。これも解体と実験だったのでしょうか。

WOWOWのライブで、これらソロの曲が凄まじく良かったせいもあってか、今の耳で聴くとどの曲も結構楽しく聴けますね。この三枚だと『エゴイスト』が一番曲の粒が揃ってると思います。


で、ソロアルバム三枚作って、やっぱバンドやりてぇー(推測)って始めたKAI FIVE。甲斐バンドじゃない甲斐の新バンドにはすごく期待しました。
ソロの反動か、1stアルバム『幻惑されて』はロックやるぜ!とばかりのラウドな激しい曲がてんこ盛り。バラードは一切なしのアッパーなアルバムでした(ジョン・レノンのカバー「オー・マイ・ラヴ」は別として)。《甲斐バンドじゃない俺のロックを見せてやるぜ》って意気込みでしょうか。責めてんなーとは思ったけど、当時はあんまり好きではなかったです。

ソロアルバムを聴いてた時は確かに、もっと骨太ロックを聴かせてくれよーと思ったけど、タイトル曲「幻惑されて」とか横ノリのビートが呪術的で、???って感じでした。他のメンバーのボーカル曲もどうも違和感ありましたね。


で、次のアルバムです。ずばり言えば、僕にとってのKAI FIVEは2ndアルバム『ラヴ・ジャック』に尽きます。KAI FIVEに限らず、甲斐バンド解散以降の作品で最も愛聴したのが『ラヴ・ジャック』でした。全曲甲斐よしひろのボーカルです。

何が良かったかって、アルバムにバラードが戻ってきたから。結局バラードかい!って言われそうだけど、「四月の雪」と「ノーベンバー・レイン」を聴いた時は心の底からホッとしましたもの。


3rdアルバム『嵐の明日』は、甲斐ソロ最大のヒット曲「風の中の火のように」が収録されてます。アルバムの印象はあまり覚えてないです。今回聴き返して、良い曲が多いのになぜでしょうね。これまで一回か二回しか聴いてこなかったアルバムです。タイトル曲とか好きなんですけどね。通して聴いていて『ラヴ・ジャック』ほど興奮しなかった。『ラヴ・ジャック』はやはり良い曲が多いですよ。

KAI FIVEは結局アルバム三枚だけで活動終了。これ以降の甲斐よしひろのソロアルバムは買っていません。レンタルで借りていくつか聴いたけど、買いたいとまではなりませんでした。ここまでいろいろと文句も書きましたけど、ここで挙げた6枚のアルバムはなんだかんだ好きで、時おり聴き返したくなるのです。

僕は甲斐バンドも甲斐よしひろも、生でライブを観たことありません。元気なうちにぜひ観たいですね。今なら甲斐バンドよりソロのライブが観たい気持ちです。


マシス