似鳥鶏の小説【市立高校シリーズ】の、今の時点での最新刊「卒業したら教室で」を読了しました。


↑以前、似鳥鶏の感想は日記に書きました。続きを読むのはこの時以来なのですが、先日ようやく古本屋で見つけたので、手に取った次第です。

この時はすぐにも読みたいってくらい盛り上がってたのですけど、この「卒業したら教室で」のAmazonでのレビューで厳し目のコメントがついていて、そうか、期待し過ぎない方がいいかな、と及び腰になったとこがありまして、読み出すのが遅くなりました。 

 

読んでみたら、面白かった。全く、他人の感想は他人の感想でしかないですね。僕は隅から隅まで大変面白く読めました。このシリーズは回を重ねるに連れて尻上がりに面白くなってきたけど、今作も期待を裏切らない読後感をもらって、大変に結構。満足な一冊でした。


シリーズ物って、一冊としての完成度も大事ですけど、シリーズを通して、おおこうなったか!という流れを楽しむ要素も大きいです。登場人物の成長だったり、人間関係の揺れ動きとか。今作「卒業したら教室で」ではタイトル通り卒業ということで、これまでの人間関係が大きく動こうとします。それはシリーズ物だからこその面白さと言えるでしょう。


今作が気に入らないって読者は、おそらく章が変わるごとに差し込まれる《別の小説》が煩わしいと思ったのではないでしょうか。確かに、話の興が乗ってきたところで、次の章になったら唐突に異世界ファンタジーが始まって、え、なにこれ?と僕も正直思った。けど、ラストにその小説が重大な意味を持ってくるという、これはネタバレじゃないと思うから書きましたけど、そういうことなので、そこは読み飛ばさず、頑張ってジックリ読むといいのです。


小説の中で、章ごとに別のストーリーが入れ違いで提示されて、最後にその二つの話がリンクするって手法。この仕掛けって村上春樹の得意技ですね。綾辻行人とかもそういう仕掛けは好きそう(もう既に使ってそう)。似鳥鶏はさらに章ごとに時系列までいじって、より仕掛けを複雑にしてます。読みやすさって意味では確かに、読者に親切な小説ではないのですけども、意欲的に新作ごとに手を変え品を変え、あらゆるミステリ作法を駆使して読者を楽しませようとしてくれてるのは、ミステリファンとして嬉しいし、作者エライなぁと思います。



あらゆる作法を駆使して、と言いましたが、今作でここまでやっちゃって、次はどうするんだ?って気持ちもありますね。まさかまさか小説のアレまで仕掛けに使うというサービスっぷり。メタな展開スレスレですもの。まるで最終回のごとく盛り上げたけど、シリーズは続くと作者は書いてますから、続けてくれるんでしょう。けど、どうなるんでしょうね。


もう、ここまで来ると、七河迦南の「アルバトロスは羽ばたかない」級のぶっ飛び方をやらないと、作者の気持ちが収まらないような気もしますね。ファンの期待も。いや、このシリーズのファンはライトなミステリファンが多そうだから、肩透かししても怒らないかな。僕の想像ですけど、ひょっとしたら、現実と小説の境界をぶっ壊す方向にいくのかしら。北村薫の某作品の構想のように(曖昧な書き方でスミマセン)。


シリーズ物の小説といえば、最近の一番の楽しみである「Unnamed Memory Ⅱ」の新作も今年になって読みました。【Ⅱ】になって二冊目です。

写真の帯の通り、今年アニメ化されるそうで。もうすぐ動くティナーシャとオスカーに会えるのはは嬉しい。原作の面白さは間違いなしですので、エピソードを端折らず丁寧にやってくれることを期待します。けど、どこまでやってくれるんだろう。せめて2巻のあの話、ティナーシャがなぜ魔女になったかが判明する事件まではやって欲しい。

「Unnamed Memory Ⅱ」の新刊の感想は、これも期待通り面白かった。相変わらずページをめくる手が止まらない安定の筆です。でも、【Ⅱ】は【Ⅰ】で一度完結している話のその後の二人、という設定なので、【Ⅰ】の全六巻を読み終えた時の感動にはちょっと比べようがありません。

十分に面白いのだけど、その後の二人で作られる物語のパターンは、今作で出尽くしたのでは?、と思いましたね。前作がオスカーが、、、今作はティナーシャが、、、要は二人がピンチになるパターンです。すごく面白かったけど、次回どうするのかしら。

新しいキャラクターの超越者を出すとか、【Ⅰ】のキャラクターを再びレギュラーに戻すとか、思い切り新しい展開が始まるとか?うーん、どうなるか分からないけど、これからも続いて欲しいし、出る限り買って読みますよ。リアルタイムで新刊発売を待てる小説があるって幸せですもの。

【市立高校シリーズ】も「Unnamed Memory」も、未読の方はぜひシリーズの一冊目から読んでみて欲しいですね。表紙が可愛い女の子のイラスト、ってだけで敬遠してたら勿体ないですよ。小説好きなら是非読んで。もちろん読んで面白く思えるかどうか、好みは人ぞれぞれですけど、少なくとも僕は楽しめた。両シリーズとも大好き。


マシスの歌予定です。今度の土曜日、音楽食堂Mでの【昭和の歌会】へお呼ばれしてます。
昨年12月に開催された第一回に引き続いて、二回目の参加です。音楽食堂Mにて今度の土曜日、14時より開催されます。よろしくどうぞ。

そして翌週の土曜日、3月4日は掛川こだわりっぱ広場にて掛川プレイヤーズ・フェスに今年も参加させてもらいます。屋外イベントです。

今年もこだわりっぱ広場に戻ってこれて嬉しいです。3月4日、寒くないといいな、それより何より、晴れて欲しいですね。

さらに翌週の土曜日、3月11日は浜松市のアメオト舎にて【雨亭その五】に参加させてもらいます。
先日【雨亭その六】が開催されたばかりで、今回が【その五】なの?と思うけど、【その五】は実は昨年、諸事情で延期になった回なのだそうで。リベンジ回ですね。アメオト舎は初めて訪れる場所、そして古木さんとクロキ君は初めての共演者、初めて尽くしは気持ちがアガりますよ。

来週から週末にて三週続けての歌イベント。それに加えてフリーダムフォーク集会も3月18日にあります。どのイベントも楽しみです。どうぞお時間の合うイベントがありましたら、ぜひお運びくださいね。


マシス