ずいぶん前のこと、僕の知り合いの音楽仲間がとあるフォークソングのイベントに初めてお呼ばれした時、《フォークのイベントなのでフォークソングを必ず歌ってください》と主催側より言われたそうです。フォークソングって何?と思ってたら、常連の出演者がユーミンや太田裕美を歌ってて、え?って思ったとか。

日本のフォークの定義って、どうもフワッとしていて、これこそがフォーク!と言い切れないところがあります(何がロックかの定義もしかり)。仲間うちでも話したことありますが、さだまさしはフォークか?と聞くと、さだまさしはニューミュージックでグレープはフォークだと思う、とか言われて、結局よくわからなかった。難しいですね。


先日、なぎら健壱著「日本フォーク私的大全」(ちくま文庫)を読了。これ、素晴らしく面白かった。フォークソングって何?という疑問に、これまでぼんやりと考えてた僕なりの答えはあるのですが、この本はそれを補強してくれた思いがあります。

なぎら健壱は自身がフォークシンガーであると同時に、日本で起こったフォークソングのムーブメントにリアルタイムで熱狂した若者として、時にはプロ目線、時にはファン目線の両方の視点でフォークについて本書で語っています。時代の目撃者として大変優れた記録となってます。

高石友也、岡林信康から始まり、西岡たかし、高田渡、遠藤賢司、加川良、吉田拓郎、泉谷しげる、RCサクセション、井上陽水などなどを章タイトルに、時にはステージの裏側を面白おかしく喋って、先輩を、そして戦友の姿を実に冷静な視点で観察、分析し、評価し、エールを送っています。

章タイトルになくても、僕の大好きな早川義夫や友部正人も出てきたのは嬉しかった。なぎら健壱にとって仲の良かった人はエピソードに事欠かないので、人によって筆の分量が違うみたい。もんたよしのりの章があるのはフォークの本として意外でした。

とにかく、日本のフォークソングという音楽に対して、こんなにリアルな記述はこれまでちょっと読んだことない。文章からあの時代の空気の匂いまで感じられるようです。読んであたかも自分がその場に居たかのように、当時の青年たちの息苦しさを疑似体験してしまった気持ちになりました。


つくづく、自分は著者の言うところの《後の世代》なのだなと思い知らされた感もあります。リアルタイムで知れなくてちょっと残念でもあり、逆に、《これの直撃を喰らわなくて良かったなー》と心から思ったりもしました。僕は岡林に討論を吹っ掛けるファンとは一生分かり合えないし、分かり合いたいと思わない。


フォークソングって何?という疑問、リアルタイムの人たちの意見としてなぎら健壱の言葉を読み、ああなるほど、そういうものだったのね、なぎらさんにとってのフォークはそうなのね、と思った。実際に体験したからこそ掴める空気があった。読んで良かったです。

同じくちくま文庫で、早川義夫の著書「女ともだち」も見つけて、こちらも一緒に読みました。
読み物として面白くて、しかし内容が内容なので、悲しい。早川さんの文章は大好物なので、クイクイ読めてしまうのが余計に悲しい。早川さんはもう歌ってくれないのかしら。きっともう生演奏を聴けないのだな。そう思うと、この本が早川義夫の音楽のファンに向けてのサヨナラにも読めてきて、切なくなった。

ファンとしては早川さんに再び歌って欲しいのですけどね。本屋を閉めて音楽活動を再開したように、そのうち歌いたくなったら是非、と思ってたけど、でも、この本を読むと、ないのだろうなぁ。恋することが音楽の動機だなんて、そんなん、野郎のファンが何も言えないじゃん。

最近になって早川さん、Xで自身の関連記事にリポストまめにされてるので、お元気なのだと思う。お元気なら良いです。

余談。名古屋で早川さんの生演奏を聴いた時、終演後に早川さんと少しお話させてもらったことがあります。僕は早川さんが好きすぎて、自分も歌を作ってますが、とても早川さんに聴かせる勇気はない、などと早口に伝えたら、早川さんは訝しげな顔をされてましたっけ。


読んだ本のついで、西條奈加のデビュー作「金春屋ゴメス」が大変面白かった。いま続編の「芥子の花」を読み始めてますが、続編がさらに面白い。西條奈加って初めて読んだけど面白いですね。


 


 



以下、マシスの歌予定の告知をさせてください。



4月28日。14時00から音楽食堂Mさんでソロアーティストライブのイベントに出演させてもらいます。

たっくん企画は初。お誘いありがとうございます。よろしくお願いします。


そして、5月のフリーダムフォーク集会のお知らせです。

第190回フリーダムフォーク集会 

【日時】2024年5月18 日(土)

     19時半開演 

【場所】ライブカフェ mamselle
袋井市堀越1802-1

 TEL 0538-42-6440
http://mamselle.sakura.ne.jp/ 

【料金】music charge 500円 

【出演】
一次会(本編)演奏時間一組20分(転換時間抜き) 

・てぃあーず

・美結

・内山英哉

・ガルーダ


 二次会(飛び入りコーナー)演奏時間一組10分 



一次会の皆さんよろしくお願いします!二次会の参加も是非よろしくお願いします!今回は僕も二次会で少し歌いたいと思ってます。




そしてそして、先の話ですが7月15日の海の日に、マシスは浜松の街中の屋外イベントにお誘いをいただきました。娘もお誘いをいただき、親子で浜松へ行く予定。そちらもどうぞよろしく。詳細は後日お知らせします。






マシス