米国留学事件簿その5:ガソリンスタンド事件 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

ガソリンスタンドは車の面倒を何でもみてくれるのが日本です。しかし、米国では違います。

今も昔も医師の留学は、病院から出る給料は微々たるものです。これは、研究という名目での留学だからです。お金がなかったので、米国留学中は、オンボロの中古車に乗っていました。故障もしょっちゅうあり、その度に英語力と緊急事態の対応力が高まった気がします。

ある時、病院からの帰宅時にガソリンスタンドでガソリンを入れてエンジンをかけようとしたら、エンジンがかかりません。米国のガソリンスタンドは全てセルフサービスですが、スタンド内にコンビニ的なお店があり、店員さんがいます。日本の感覚で店員さんに「エンジンがかからないので、多分バッテリーが上がったと思う。治してくれますか」と尋ねると、公衆電話を指差して「あそこで電話しろ、俺は単なる店番で、車のトラブルは関知しない」とのことでした。仕方なく、AAA(日本のJAFみたいなもの) に電話をかけると、30分ほどで来てくれました。めちゃめちゃ馬鹿でかいバッテリーをつないで、ものの数秒でエンジン始動、「それじゃ」と瞬く間にAAAのお兄さんはいなくなりました。車を購入した中古車屋さんはすでに閉店の時間でしたので、仕方なく自宅に戻りました。

翌朝、やはりエンジンはかかりません。もう一台車があったのですが、バッテリーをつなぐケーブルがなかったので、またまたAAAを呼びました。あっという間にエンジンがかかり、すぐに退散の気配。「新しいバッテリーありませんか。バッテリー交換したいんです」と尋ねると、「俺の仕事は、エンジンをかけにきただけで、それ以外のことは聞いてない」と冷たい返事。仕方なく、車を購入した中古車屋さんに向かい、バッテリーを交換してもらいました。

日本ではありえない話ですが、これが米国です。今回の反省を踏まえて、すぐにバッテリーケーブルを車に常備したのは言うまでもありません。このケーブルが何度も活躍しました。道端でバッテリーが上がって立ち往生している車を何台も助けました。AAAのお兄さんみたいに、バッテリーケーブルをサッサとつなぎ颯爽と帰る。とても感謝されますが「No probrem」と格好よく去る。しかし、帰国後の日本ではバッテリーケーブルの活躍は一度もありません。

下記の記事もよろしければご覧ください。
2016.1.1「米国留学事件簿その1:バリカン事件」
2016.5.1「米国留学事件簿その2:運転免許事件」
2016.7.1「米国留学事件簿その3:銃社会米国」
2016.8.1「米国留学事件簿その4:道路の穴に注意」