長時間作用型FSH製剤の有用性 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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長時間作用型FSH製剤1回注射すると1週間有効な新しい製剤で、患者さんの利便性を重視し開発されました。本論文は、長時間作用型FSH製剤の有用性について検討したメタアナリシスです。

Fertil Steril 2016; 105: 1454(オランダ)
要約:2015年6月までに発表された、長時間作用型FSH製剤と従来型FSH製剤(毎日注射)によるRCT研究6論文3753名(18~42歳)のメタアナリシス解析を行いました。長時間作用型FSH製剤と従来型FSH製剤の生産率およびOHSS発症率に有意差を認めませんでした。長時間作用型FSH製剤の用量別に分析したところ、低用量(60~120μg)の長時間作用型FSH製剤使用の場合に生産率が0.70倍に有意に低下していましたが、中用量(150~180μg)や高用量(240μg)では有意差を認めませんでした。また、OHSS発症率は、用量別の分析を行っても2群間に有意差を認めませんでした、

解説:長時間作用型FSH製剤はまだ日本では発売されていません。週1回の注射で済むため、患者さんの負担軽減につながりますが、最適な用量についての研究はありませんでした。本論文は、長時間作用型FSH製剤は、中用量(150~180μg)の使用が生産率もよく、OHSS発症率も低いことをメタアナリシスにより示したものです。将来日本で承認された場合に参考にしたい数値です。