そのいち。告白する。

「君が好きなんだ。」
「私も好きですよ。尊敬してます!信仰してます!」

「俺と付き合ってほしいんだ。」
「はい、お供致します。どこに行くんですか?」

「愛してる。」
「ご冗談を。それとも、新手のイジメなんでしょうか?」


告白としても受け止めてもらえる予想ができない。ダメかも………。




そのに。強請る。

「帰らないで」
「っ!………」
「寂しいんだ、一緒に寝て?」


あー、小首かしげて子犬っぽく言えば有りかも。でも、理性持つかな?




そのさん。惑わす。

「俺ととりかえしのつかないようになろう?どうにか………してあげる。」


顔を真っ赤に染めて脱兎のごとく逃げられるな。




そのよん。脅す。

「逃げたら………許さないよ?」


最高に怯え震える彼女しか思い浮かばない。




そのご。暴露。

「キョーコちゃん、妖精じゃなくてごめんね。」


泣かれるか、怒られるか………。出来ればコーンだからとか久遠だからでなく、俺を好きになってもらいたいからなぁ。




そのろく。既成事実。

押し倒す。





あ、うん。そういうのも燃えるけど、やっぱり最初は彼女好みのシチュエーションがいいかな。はじめてをもらうんだし。









はぁ…………。
ねぇ?どうすればいいのかな?



俺の食生活の改善を使命としてやってきてくれた彼女。
作ってくれた夕食はやっぱり美味しかったし、君との食事は嬉しい。




けどね、お嬢さん?
片想いに煮詰まってる男の部屋でそんなに無防備に寝てしまうのは危険なんだよ。
頭に浮かべた選択肢を端から実行に移そうか?



ソファーで眠ってしまった彼女を起こさぬようにそっと抱えあげると、ゲストルームに運びベッドに降ろしてシーツを掛けてあげる。




「ねぇ、最上さん。どうしたら君は俺のものになってくれるんだろうね?」
眠る彼女の髪を撫でながら小さくつぶやいて部屋を出る。
今夜、俺寝れるかな?










彼は知らない。
振り返らずにドアを閉めたから。




眠っているはずの彼女が耳まで真っ赤になってしまっていたのを。






そのなな。独白。






次の日の朝から微妙に、だが、うれしく変化した反応や態度の彼女をさらに焦がれ切羽詰まった彼が捕まえるまでには、あといくつの紆余曲折な選択肢を越えねばならないかは、まだわからないままである。




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