甘いひと。のおまけ的なお話です。

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最近、蓮の様子がちょっとおかしい。


俺の担当する人気実力派俳優は相変わらず仕事には熱心だし、物腰はスマートで紳士的。かなり忙しいスケジュールにも文句も言わずこなしてくれている。
けど、休憩時間楽屋にある雑誌を読んでいたり携帯で調べ物をしているらしい時間が増えた。
あと、俺に『おつかい』を頼むようになった。


最初に頼まれた時はそりゃびっくりしたさ。
蓮が食べ物を買って来てくれだって!!しかも、スィーツ!!
明日はきっと槍が降るんだと思ったよ。

よくよく聞いてみたり目の前で食べるか使用方法を教えてくれないと買いに行かないと脅してみれば、ちょっとふて腐れたように
「最上さんにあげようと思いまして………」
と、白状した。
まぁ、蓮のスケジュールはぎちぎちの隙間なしだし、蓮は買い物するだけでも話題になりかねない男だからな。
お兄ちゃんが『おつかい』に行ってきてやるよ。と、ニヤつきながら答えた。


無事にキョーコちゃんにプレゼント出来て、受け取ってくれたキョーコちゃんがそれはそれはかわいく笑ってくれたのを見て無表情で固まってしまった蓮に良かったな!とからかってはいたさ。


けど、お兄ちゃんは孫にお菓子を買い与える祖父のようにそれをキョーコちゃんに会う度に繰り返すなんて聞いてなかったぞ?
お前の精神状態の維持の為に、キョーコちゃんのスケジュールと蓮のスケジュールの擦り合わせをしてそれなりに会えるようにはしてはいるけど毎回毎回なのか?
キョーコちゃんも回数を重ねる度に不審顔になってくぞ?


「社さん、左京にこんぺいとう専門店があるんです。苺味のこんぺいとうとか喜んでくれると思いませんか?」
京都にロケに出る道中で言い出した『おつかい』の頼み。顔に『お願いします』って書いてある。
「蓮、お前キョーコちゃんに餌付けしたいのか?」
「餌付けって………」
「まぁ、餌付けされちゃってるのはお前の方か。蓮くんはキョーコちゃんに胃袋がっちり掴まれちゃってるもんなぁ~。でも、何がしたくて甘味攻めになってるんだ?」
「いや、まずは砂糖かなと………スパイスば十分みたいなんで………」
なんの話だ??
「まぁ、お願いしますよ。」
はぐらかしやがった。



しばらくしたら、俺の『おつかい』先に花屋が追加された。


花束花束お菓子花束お菓子花束………


花束を頼まれた時は、告白かっ!!とか小躍りしたのに渡すだけだし!
「蓮、ほんとになにがしたいんだ?」
「かわいい女の子を作ろうかと思いまして。」
「……………家族計画?!」
はやまるな!!いろいろ順序をかっ飛ばすな!?
「違いますよ!!かわいい女の子はなんで出来ているの?お砂糖とスパイスそれと素敵なものでいっぱい。そういうもので出来ている。って、知りませんか?」
「あー、マザーグースだっけ?それで、お菓子に花束か。」
「はい。まずは、普通に女の子になってもらって俺と向き合ってもらえたらと………」
「それで、お菓子にマーガレット、フリージア、ライラック、リナリアか?お前が乙女っぽくなってどーすんだよ?」
「………………」



そんな話をしてたら予想外にばったりと出会ったんだ。
キョーコちゃんのスケジュールにこのTV局入ってなかったのに。今日は会える時間作ってやれそうになかったから、『おつかい』行ってないぞ、俺。


どうするのかと思ってたら、蓮のやつ甘い言葉だって。キョーコちゃん真っ赤になっちゃってるじゃん。
でも、残念なことにそろそろ時間だ。


「俺、今度から3、4回に1回は『おつかい』断る事にするよ。」
「……………はい。」



キョーコちゃん?
こいつの指定した花束の花言葉知ってる?
マーガレット『心に秘めた愛』フリージア『親愛の情』ライラック『初恋の思い出』リナリア『私の恋を知ってください』


全く、甘いよな。
甘過ぎて胸焼けしそう。
だからね?出来るだけはやく、こいつと甘く甘くなっちゃってくんないかな?






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