パラレルにおはします。
 
 
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家まで続くなだらかな坂道。
背筋を伸ばして歩くときれいな青空がゆっくりと広がってゆくのが好きだと思っていたのは、もしかしたら……
意識してわざわざと空へと視線を向けていないと、住む人のいなくなって灯りの灯らないおとなりのお家が目に入ってしまうのが寂しくて嫌だから……だったからかもしれない。そんなふうに、少し思う。
残念ながら、今日の空には分厚い雲がかかってしまっていて見渡す限りにどんよりと灰色の空。
けど……もう、寂しくなったりしない。
 

 
「キョーコちゃん、鞄重くない?俺、持つよ。」
私の肩に掛かった目に痛い系ピンクで校章の刺繍の入った学校指定の黒いスクールバッグへ、さぁさぁよこせとばかりに手を向ける久遠。
「自分で持てますっ!」
授業で使った辞書が入ってたりもするから少し重いけど、持ち運べない程重たくなんてない。
なのに、帰り道で何度目かな久遠からの提案にぎゅっとスクールバッグの取手を握り直しながら、ベッ!と舌を出して答える。
しょんぼりと尻尾を下げたわんこみたいな表情をして私を見る久遠。けどっ!久遠が私への親切心でだけ鞄を持とうとしてるんじゃないってわかってるんだからね。
「蓮も、黙って勝手に実行に移さない!」
駅前のスーパーで買い物した食材の入ったエコバッグを片腕に、私を挟んで久遠と反対側を並んで歩いていた蓮へ振り返りながら叱るみたいにそう言った。今まさに、捕まりそうになっていた手を胸元へ引っ込めるながら。
途端に、その整った顔にむぅと不満そうな表情を乗せる蓮。
手を繋ぐのに邪魔だと私の鞄を持とうとする久遠とじゃれるみたいに言い争ってる隙を付いて黙って手を繋ごうとしていた蓮。
甘えるみたいな顔と久遠と拗ねたみたいな顔の蓮。『キョーコちゃん、おててつないで?』って、私を追いかけていた小さな頃を思い出してかわいいなもうっ!って甘やかしてあげたくなるけど……
でもっ!誰が見てるかもわからないんだから、外で手を繋いだりなんてしませんっ!
両隣を歩くふたりとそんな事を話ながら、なだらかな坂道を登りきる。
 
 
 

小さなお庭と二階建てのお家。
「「ただいま。」」
すぐに夕食作りにおとなりに行くのに、私と一緒に家へと入るふたり。
ぱたんと玄関のドアが閉まれば、もう外じゃないからいいよね?とばかりに両サイドから近づくふたりの頭。左右の頬にふにっと触れる柔らかな感触とちゅっと小さなリップ音。
帰国子女なふたりのアメリカンナイズな挨拶……ってだけではない。
私の身長をとっくに抜かしちゃったすらっと高い身長。昔のわんこな天使みたいな愛らしさはどこへ?なくらいにかっこよくなっちゃったおとなりさんな私の幼なじみなふたりは…………
ふたりもと、私の恋人……だったりする。
気が付いたらそうなっていたというか、ふたりの迫力と脅しに負けたというか……まぁ、結局私はこの大きくなったわんこなふたりのしょんぼり眉を落とした泣き落としな『お願い、キョーコちゃん』に、どうしようもなく弱いのだ。昔っから。
学校のアイドルみたいにモテモテなふたりとのお付き合いがバレて騒がれたくないのもあるけど、それ以上に私なんかと付き合ってるせいでふたりが何か悪く言われたりするのが許せなくって、誰にも内緒で秘密の恋人。
私からのお返しなほっぺにちゅーが物足りないだとか、今夜はお隣に泊まって欲しいだなんて言いながら私を抱き寄せようとする蓮と久遠の手を「家に帰ったらうがいと手洗い!」とはたき落としながら叱る。
玄関から廊下へと一歩踏み出してから振り返れば、待てをされたわんこみたいなふたり。
ウズウズする欲求に身を任せ、ちょっと背伸びをするみたいにそんなふたりへと手を伸ばした。

 


 
さらさらで柔らかな金と黒の髪の指ざわりと撫で心地は、小さな頃の大好きなふたりと変わらないまま。
 
 
 
 
 
 
私のおとなりさんは、私のかわいいかわいい秘密の恋人なわんこたち。
 
 
 
 
 
 
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お姉ちゃんなキョコちゃんとわんこたちの、ほのぼの(? )END☆
。゚✶ฺ.ヽ(*´∀`*)ノ✶゚ฺ



おとなりわんこ。はこれにて終話にございますが、要らないオマケ番外編的な別視点の後日ものっぽいのが書きたいのと……それと…………




あの……あの……ですね




壁|д')…………限定ものなぇろって……あり、なんでしょうか?
ほのぼのかわいいまんま終わっといた方がいいですかね?←だって、わんこたちとの爛れたさんぴーものに……
((((;゚Д゚)))))))


 
 

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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