しつこいくらいに、パラレル!
 
 
 
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ついさっきまでこの空間を満たしていた息苦しいみたいな沈黙と打って変わって、滔々と立板に水の勢いでもってこぼれ落ちてゆく私たちの声。
普段、千織も私も口数が多い方ではない。間にキョーコがいない時は会話もろくにない事だって多い。
けど、今の私たちのキョーコがわんこだなんて言っていたあのたちの悪すぎる猛獣どもへな愚痴吐きは、まだまだ止まりそうもない。
 
 
 
 
「で、キョーコのこと、どこまで本気なの?」
あの目立つ双子と一緒に並んで移動なんてしてあることないこと噂されたりなんて考えただけでうんざりだから、時間をずらして後から来いとそう指定した多目的室に双子がやって来て早々にズバリと聞いてやった。
面と向かって言うとはしゃいだあの子が煩いから口では言わないけど、キョーコは私たちの大事な親友だもの。
わざとキョーコから聞き出して白状させたと匂わせるような言い方をしたのだから、これでこの双子がキョーコとのお付き合いについてはぐらかしたり薄っぺらい戯言で誤魔化すようなら……その程度って事でしょ?ただでさえ男二人と同時に付き合ってるだなんてキョーコが悪く言われそうな関係。この双子があの子を本気で大事にして守る気がないなら、あの子が傷付く前に徹底的に邪魔してやる。
そう前もって決めていた私たちへの双子からの返答は…………
 
 
 
「どれくらい……。とりあえず、キョーコちゃんに集まる馬の骨への釘刺しはしっかりとしつつも対外的には仲の良い姉と弟なふりを続ける……かな。」
「将来的にはアメリカやブラジルなんかな法的に認められる国か、フランススイスオランダ辺りの三人婚が割とメジャーな国へ移住とかしてもいいと思うけど?」
 
 
 
なんて、妙に具体的なもので。
私たちを相手に猫をかぶる必要はなしとでも認定されたのか、双子の顔からはいつものあの胡散臭い笑顔は抜け落ちていて。
仲の良い姉と弟のふり。その言葉でやはりこの双子が計算高くキョーコとの距離感をわざと演出していたと確信した。
双子が転校して来た当初、この目立つ双子と親しいキョーコへの女子からの風当たりは酷いものだった。
それが、キョーコちゃんを悪く言う子は嫌いだよ?とでも言わんがばかりな双子の態度と、双子たちによるさり気ないお隣の幼なじみとしてな家族的親愛アピールによって今や双子のどちらかを落とすには、双子の大好きな姉であるキョーコに認められるしかないとばかりなまでになっていたて。
それでいて、キョーコへ淡い想いを抱く男は確実に遠ざけているらしい。
その上、将来的に三人での婚姻を法的に認める国への移住までの具体性でもって、キョーコと離れる選択肢など微塵もないありさま。
なんでもない事みたいにさらっと口にしてはいても、冗談なんかじゃない本気なあの子への執着心の凄まじさ。
巧妙で計算高い双子の腹黒さを……かわいいわんこだなんて言ってたキョーコがどこまで知っているのか、別の意味で不安になってくる。
どうやら双子の両親公認なまでに囲い込まれてるあの子が心配になったりしていた、その時だった。
 
 
 
「もし、キョーコさんがどちらかひとりを恋人に選んでいたら……どうしてたんですか?」
 
 
 
好奇心からだったのだろう。千織の口から、その疑問の声が転がり落ちたのは。
根が真面目なキョーコのことだ。きっと恋人が複数出来るなんて考えてもいなかっただろう……
そして、返答は即座に返された。流石、双子とでも言おうものか、ぴったりと声を揃えてお互いを同じように指差してみせながら。
 
 
 
「「キョーコちゃんを連れて逃げるよ。」」
 
 
 
キョーコが自分を選んだなら……フラれた片割れはキョーコをすっぱりと諦めたりなんてせずに、キョーコに嫌われないように、それでいて虎視眈々と入り込む隙間を狙うだろうからと強く言い切る。
自分がキョーコに選ばれなかった側なら、きっとそうするだろうからと。
その為に、アメリカで高級ブランドのモデルなバイト(しかも、あの超有名ブランドの!?)やら投資等々で逃亡資金として貯蓄もしてきただとか……まぁ、同時にもうひとりも同じように貯蓄を膨らませているのだから笑えもしない。
ついでに、どうやら向こうで飛んでそこそこな学歴やらスキルを身につけているらしく、キョーコに苦労を掛けるつもりはないのだとか……。
いつからどれだけ計画していたというか?黙っていてもいくらでも女の子が群がりそうなビジュアルな癖に、ほんの子どもな年齢に別れてからずっとキョーコだけに執着し続けてきたという双子。それこそ、フラれたくらいで諦めるつもりも微塵もなく一生涯なまでの計画性と執着深さでもって、だ。
どこがかわいい「わんこ」だと言えようものか!
…………あの子、もし双子と別れたくなった時、無事に逃げきれるのかしら?
腹黒い猛獣にうっかりうかうかと捕まってしまった親友を思うと、ぞわりと、背中が寒くなるようだった。
 
 
 
 
 
 
 
愛用のノートとペンでも探し求めるみたいに机の上を千織の指が苛立たしげにわきわきと彷徨っている。
ぶつぶつと口の中で小さく呟かれているのはきっと、キョーコを心配してノートに書き殴りたい双子への毒だろう。
トンッと、机を指さきで叩いて千織は俯かせていた顔をがはりと私へと上げた。
その顔はいい事を思い付いた!とばかりなはれやかなもので、そして言った。
「琴南さん、実家を出るのが目標でしたよね?」
問題しか起こさない兄姉やわらわらと群がる弟妹どもな大家族な家から離れ、早々に一人暮らしな平穏な暮らしを手に入れる。その為にバイトにだって励んでいる。
けど、それがどうした?そう思った時、千織がその思考に被せるように続けた。
「私と、シェアハウスしませんか?例えば、キョーコさんが気楽に遊びに来れるようなスペースのある物件で。」
千織の瞳が訴えるようにまっすぐ私を見る。
そう。ひとりでは難しくても、ふたりで共同としてならば……そこそこな物件を借りれるだろう。
ニィッと、唇が笑みを作るのが自分でもわかった。
私は千織へと手を差し出し、私たちは硬く手を握り締め、シェア生活としての「家」をふたりの目標とする事に決めた。
 
 
 
 
 
あの猛獣どもから私たちの親友が逃げ込めるシェルターとして。
 
 
 
 
 
 
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壁|д')……いらないオマケなこのお話、なにが書きたかったのかと言うとですね
モー子さんと千織んはキョコちゃんの味方だよ!ってのと、わんこたちとどちらか1人をキョコちゃんが恋人に選んでいたら、どうなった?ってのが書きたかった。ただそれだけでありやす。


キョコちゃんの保護者的なキャラずに愛されて話はお好きですか?猫木は好きでっす!



んで、クーパパジュリママは三人婚も公認派ですが、息子なわんこたち以上にキョコちゃんがかわいかったりするので……万が一な痴話喧嘩な時にはキョコちゃんを双子から匿う為の別荘とかこっそり用意しちゃっていたりとかすると良いかと。←?
さらに、実は、ネグレクト気味冴菜さんにもうっすらわんこたちのキョコちゃんへの想いがバレてて、自分が娘をほっといてる手前何にも言われはしないけどわんこたちが顔を合わせる度にギュリギュリと眉間にシワを寄せながら睨まれてたりとかするとかな設定があったりです。
いろんな人に、キョコちゃんのラブが重過ぎて危ない認定されちゃってるわんこども。まだまだこおちゃまですからっ!
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、




→明日はキョコ誕なのになーんにもお話作れてませんっ!!
((((;゚Д゚)))))))


 

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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