壁|д')……どもども。お久しゅうございます、猫木めでありまする。
次はおおかみな話はどこにいったよ?なお方もいらっしゃるかもしれませぬ…………
ごめんなさい。いつもの猫木の一人称書けない病です。
_:(´ཀ`」 ∠):



はてさて、そんなこんな←?で、今宵のこちら
27555番目な拍手を叩いてくださったチーコさまよりのリクエストにお応えしようとしたのだけれど、どうしてこうなった?なくどい三人称ものにてございまする。
なんでも桶ー☆なひろいお心をお持ちな方はどうかお付き合いをば。




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カタン……と、小さな軽い音を立てて、それはキョーコの前へと差し出された。
まるで食卓の醤油刺しでも渡すかのように、さもなんてことない日常的なまでの自然さでもって。
小さな小さな円柱型の容器。何処か高級感を滲ませるクリスタルカッティングの虹色の向こう側にはふた粒のころんとしたカプセルが透けて見えるピルケースだ。
いつものキョーコならば、その魔法チックにキラめくかわいい色合いにメルヘンスイッチをうっかりポチリとされてときめいていたやもしれない。
だが、現在のキョーコの心境はといえば崖っぷちギリギリに立ってしまっているかのような追い詰められっぷりである。
そして、キョーコを絶賛追い詰めてらっしゃるのが神が丁寧に丁寧に創りたもうたであろうその美貌にキュラッと何処か似非臭い笑みを浮かべた男だ。
「……飲んでくれる?」
くすくすと、酷く楽しげにピルケースを前にぴきょりと硬直するキョーコを眺めながら蓮はそう問う。その低い声はあくまでもキョーコの意思に委ねるかのように優しげなトーンなのだが、キョーコには「もちろん、飲んでくれるんだよね?」とやわやわと脅す言葉としか聞こえない。
猫に尻尾を捕まえられま子ネズミみたいなまでな切羽詰まった状況でもなお、何故キョーコがくだんのカプセルを飲み干す事に躊躇ってしまっているのかと言えば、だ。
それを差し出す時にくっきりはきっりしっかりと蓮から教えられていたからだった。
そのピルケースの中身のそれが、媚薬であるのだと。






媚薬。又は、惚れ薬とか言われてはいるが、主に性欲を高めさせる興奮剤や催淫剤といった……まぁ、所謂、夜な大人の破廉恥系なお薬である。






どうしてそうなったのやら?
とうとう、百戦錬磨の上っ面をした恋愛初心者が拗らせ紙縒りな理性がぷつりと切れて暴走した挙げ句、紳士スマイルなプレッシャーでもって無理くりにでも薬を飲ませて歩く純情さんを相手に既成事実を作ろうと手籠に…………なーんて訳ではなく。
ただ、バレてしまったのだ。
何がって?それは、彼女の秘密の仕事での役柄が、だ。
そう。キョーコ=ずんぐりむっくり愛らしくもイケメンな要素も兼ね備えた鶏マスコット、坊の中身だったのだと。
思い返せば……てんてこ舞いなあれやそれやから、押し掛けてまでの強制恋愛相談室もどきなまでに、いろいろとやらかした自覚満載なキョーコ。
しかも、キョーコの口から直に白状したのならばまだしも、他人な第三者によるペロッとした暴露によって蓮に知らされてしまったものだから、もう……
世に春の陽射しのようだとか温和な紳士でフェミニストだとか謳われている敦賀蓮ではあるが、其れがことかわいいかわいいやっとこさ口説き落とした恋人のキョーコに関しての事には、とことんなまでに心が狭くネチネチとうざったくも頑固なのだ。
な、ものだから大変だ。
自分の秘密はもう洗いざらいに全てを晒したのに……キョーコは俺にまだ隠し事してたんだ。
と、まぁ。その生い立ちやら妖精の王子様関連のあれそれまでを、キョーコへの恋心と共に白状しきっていた蓮は、それはそれはもうチクリチクリとキョーコの罪悪感をつついてみせたのだ。
キョーコとて、成就する前の毒感情がまでに何も地獄まで秘密にして隠し通す!!なんて心に誓っていた訳なんかじゃなくって……ただ、そう。ただ単に、この国では数人しか知らない蓮の本名やらその華々し過ぎる家族構成やらが齎す衝撃を受け止め飲み込んでいるうちに、キョーコ側の秘密を暴露するタイミングを逃したと言おうか…………まぁ、その、肝心な坊の中身な着ぐるみ仕事も現在では女優とタレント業のぎっちぎちスケジュールの所為で他人へと引き継いでいたのもあって、すっかりと忘れてしまっていたのだ。
の、だが。
なにせ、お相手が好きな子相手限定にいじめっ子気質のあるあの蓮なのだ。
へぇ……そう。俺にとっては頼りのある相談相手なあの親友の鶏くんも、君からしてみればあっさりと忘れてしまえるようなものだよね?などと、あざとくも捨てられてた仔犬をくぅ〜んと貼り付けて勝手に傷付いちゃっただけだから気にしないで?とばかりにキョーコの後ろめたさを抉ってみせるのだ、これみよがしなまでに。ちくりちくりグサリグサリと。
つい…………ついに、である。
キョーコはおずおずと申し出てしまったのだ。自分が坊なのだと黙秘してしまっていた、その罪滅ぼしがしたいのだなんて。うっかりうかうかと。
キョーコにしてみれば、だ。それは何度かおねだりされていたお外デートに付き合うだったり、いつもなら勿体無い!と眉を釣り上げる豪快豪華過ぎる彼からのプレゼントを大人しく受け取るだったり、欲しい欲しいと願われてはいてもネジの外れた恋人のスキャンダル要素を恐れて未だ渡せないままなキョーコの一人暮らしな部屋の合鍵を献上するだったりな、そんな些細な恋人の願いを叶える程度を予想しての事。
なのだが、蓋を開けてみればコレだ。





飛んで火にいる夏の虫!とばかりに待ち受けていた恋人がキョーコへと差し出したピルケース。
ファーストキッス(キョーコ自身で本人へと堂々と宣言しちゃってた)から派生する破廉恥なあれそれまで、唇から身体に心まですっかりと蓮に美味しくいただかれきってしまっているキョーコなのだけど……けれども、なのだ。
勿論、媚薬など飲んだ経験なんてなし。
差し出されたソレを飲んでしまうと……自分がどんな淫らな醜態を曝す事になるやら全くの未知数なのだ。それも、ただでさえ、一方的に翻弄されきってしまっているあの夜の帝王様を相手に。
キョーコが媚薬入りなピルケースを前に、たじろぎ怯えて戸惑って躊躇してしまうのも仕方なしと言えよう。
そんな、たらりと汗を浮かべ硬直したキョーコの頬から輪郭を撫で撫でと何処か淫靡なまでの手付きで撫で愛でていた蓮。
困り切った恋人へと救いの手を差し伸べるかのように、彼は意味深に告げてみせた。揶揄うように、囁くように。
「キョーコが飲めないなら……俺が、飲んでもいいよ?」
と。どろりと甘い低音で。じわりと滴る蜜のように濃密な色香を滲ませながら。
愛しげに、けれど何処か獲物を見る獣のように自分を見つめる恋人の瞳にキョーコはぞくりと背中を震わせる。
…………キョーコでなくて、蓮が、媚薬を、飲む?
それは……いつものあの夜な帝王様から理性やら
箍やらな、ストッパーが外れてしまうと言うことではなかろうか?体力無尽蔵なこのお方を相手に、いつもの、あんな夜そんな夜なあれ以上に?更にっ!?
……………………私、死んじゃうっ!!!!
ただでさえ、翌日にへろへろとくたびれてしまう程に乱されきってしまっている自覚のあるキョーコ。
弾けるように媚薬の入ったそのピルケースをガシリッとその手の中へ掴み取ると同時に、高らかな迄にうかうかと口走ってしまっていたのだった。






「私がっ!飲みますっ!!」と。






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秘密にしっぱなしだったキョコちゃんの弱み(騙した年月が違うがだけに彼の方が罪が重いとは思うのですが……)に漬け込んで、かわいいかわいい恋人に媚薬飲ませようとなさりやがる夜の帝王。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、



さて、書いてる猫木以外の誰が楽しいのやら?なこの話。
これの続きな媚薬入りキョコちゃんなぇろシーン……需要、あんのかしら?
行間をあぶり出しな心の眼でもってお読みくださいませ☆な朝チュンで飛ばした方がよろしおす?←



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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