それは、唐突に……だった。
 
 
 
 
肩を揺すられ、暗がりの中へ沈み込むようだったキョーコの意識は覚醒へと浮かび上がる。
パチッと、瞼を開けたキョーコはいきなり視界に飛び込んで来る自分を覗き込む男の、その余りにも麗しい美貌に頬をぶわっと赤く染めながらひゃぁぁっ!と悲鳴を上げた。
それも仕方があるまい。
なにせ、キョーコは彼を創造神が愛し創りたもうた完璧最高傑作の寵児であると、日頃からそう讃えていたのだから。
バネ仕掛けのおもちゃのような動きでもってキョーコは素早く上半身を跳ね起こすと、ささっと髪を手櫛で撫で自分の身を整えた。
だって、だってである!
この同事務所所属の先輩の前で寝落ちしてしまった過去を持つキョーコ。なんなら、そのうち一度は膝枕体勢のまんまで下から寝顔を見上げられてさえいたけれど……
そこはそれ。何せ、キョーコは蓮に恋する乙女である。
地味な素うどん顔の自覚があるだけに、いや、自覚があるからこそ、意中の相手に無防備な寝顔を晒していたと知れば、動揺もしようものだ。
寝癖ついてない?目やにとか……はっ!よだれとか垂らしたりしてないよね?大丈夫??と、内心で慌てふためきながらもさり気なく、自分の目元口元を触り確かめてしまうキョーコ。
どうやら無事であったと、こっそりほっと胸を撫で下ろしたキョーコは、芸能界へ足を踏み入れ始めた頃にこの先輩俳優のキュラッと笑顔でもって教え込まれた挨拶をせねばっ!と、蓮へと顔を向けるのだが……
「つ……るがさん、こ……ここは?」
キョーコの口からこぼれ落ちたのは、挨拶ではなくそんな疑問の言葉だった。
キョーコは、自分と蓮を取り巻くこの空間、その異様さに驚愕し思わずにびくりと身をすくめた。
まず目に入ったのは、白い壁。
くるりと見回しても窓ひとつ、そして、ドアさえもない。
おそらく正方形を形取っているのだろう四方の壁はシミひとつなく白く、それどころか床と天井まで同様に白い。
狭いとは思わないが、広くもない。
そんな空間に蓮とキョーコただふたり。それ以外の家具などの類いは何もない。
余りにも、異様。
 
 
 
 
まるで、そう。まるで、白い箱の中へ閉じ込められているかのよう。
 
 
 
 
ぞっと、キョーコの背中に震えが走る。
ここは何処なのか?何故ここに居るのか?それも解らないが、キョーコには自分が意識を失う直前の記憶さえない。
いったい誰が何の為にどうやって、自分をここへ運び込んだのか?全てが解らないままなのだ。
恐怖に震えるキョーコを安心させるように、そっと栗色の髪を大きな手が撫でる。
「大丈夫。今すぐに何かの危険はないようだよ。」
耳障りの良い優しい低い声。
ひとりでない事を改めて思い出し少し落ち着きを取り戻したキョーコ。蓮と暫し話しお互いの持つ情報を交換した。
蓮もキョーコと同様に気が付くとこの空間に居て、どのようにここへ運び込まれたのか解らないと言う。
窓もないが視認するに明かりは充分で、どうやら空気は循環しており密閉空間での酸素不足などの心配も今のところはないようだった。
けれど、四方を取り囲む壁や床、手の届く所を叩いてみてもその先に空洞のある様な音ではなく、道具もないまま簡単に破壊は難しくて、どこにも……出口らしきもを見つける事は出来なかった。
トップ俳優にしてゴージャスター。そんな事務所の稼ぎ頭たる蓮はもちろんのこと、キョーコだって新人にしてはぎっちりとスケジュールは埋まっている。
何時迄も、ここに閉じ込められている訳にはいかないのだ。
「もしかして……ドッキリ企画か何かだったりします?」
「いや、それにしてはカメラもマイクも何処にも無かったよ。」
「社長によるミッションとか……?」
「それにしては地味じゃないかな?」
ふたりは訝しげにそんな会話を交わしながら、この部屋にたったひとつ、蓮とキョーコ以外に存在していたソレを見やる。
ソレは、四方を取り囲む壁のひとつに貼り付けられていた。
ぱっと見ではわからないような壁と同様に白いソレ。薄く四角いカード状のプラスチックのソレには、無機質で機械的なまでにシンプルにレタリングされた小さな文字でこう書かれていた。
 
 
 


 
 
『ここは◯◯しないと出られない部屋です。』
 
 
 

 
 
 
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壁|д')……
唐突にどうした?って感じだと思われます。
いや、実はですね。
猫木めもすっかりりと忘れておりましたが……
実は書き散らしな我が家。今月の11日にですね、なんと6周年☆を迎えておりましたとさ。
\\\\٩( 'ω' )و ////
 
 
 
んで、自分で祝うタイプな我が家スタイル。
今回も6周年な6の数字に因んで(こじつけて)遊ぼうかと思いまして。
ストーリーキューブ的にサイコロ振って話しでも作ろうかなんて思ってたんですけど……
新刊を買って読みましてね。
当然、当たり前に萌えるじゃないですか?エレベーターの中なおふたりに。
そうだ!よし、6面体に閉じ込めよう!!と。
 
 
 
オリジナルものやら二次創作物なんかのお題で見た事ないですか?
『◯◯しないと出られない部屋』
萌え組み合わせなキャラを詰め込んで無理くりにでも◯◯させようって感じのあれにございますよ。
便利な事に◯◯部分を適当に埋めてくれる診断メーカーなどもあるようなのでそれを使ったりして遊ぼうかと。
 
 
 
 
今回は、キョコちゃんと蓮くんを6面体に詰め込んでみましたけど……
 
 
 
あなたなら、好き勝手に詰め込めるとしたら、誰と誰をお部屋に詰めて何をさせますかしら?
 
 
 
 
コメント、拍手コメント、メッセージ、モールスや伝書鳩のろし等々にて、猫木めに教えてくださいますれば、もしかすると書いて遊んじゃったりなんてするかもです。(つまり◯◯ネタを自分で考えるつもりなしだったり)
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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