我が家な6周年のお遊び6周年だったので6面体ん中へと閉じ込めてみようかと。からな続きとなっておりますのよー☆
ひとへやめとは別な世界線でのお話でっす!
゛♪(o´・ω・)人(・ω・`o)♪゛
 
 
 
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唐突に落とし入れられた理不尽なる監禁状態、そこからの脱出への現状発見されている唯一の手掛かり。
『ここは◯◯しないと出られない部屋です。』
普通であるならば、何かの悪ふざけかと考えてしまいそうなそんな一言のみ。
けれど、まるで6面体の中に閉じ込められたようにこの部屋から出る手立ても見つかっていない現状。
脱出への僅かなヒントでも得られれば……そんな思いで伸ばされた手。
指さきが触れた、ただそれだけで、まるで待ち侘びていたかのようにプラスチックプレートは壁から最も簡単に剥がれた。
そして、その白いプレートの裏側にはこう記されていたのだった。
 
 
 
 
『キス(貪るような)』
 
 
 
 
丸括弧でおまけのような付け足し、けれど強調して突き付けているかのよう。
この部屋を出たければキスを、それも貪るようはとわざわざ指定しているところを鑑みるに相当に深いディープなやつをしなければならないらしい。
どこの浮かれ爛れた飲み会の王様ゲームの命令だ?ベタだなぁ……と、どこかで誰かが思ったやもしれない。
けれど、同時にその文字を目で追っていた当事者たるふたりには思いもよらぬ内容だったのだろう、ぴきょりと身を硬直させた。
「「……………………」」
訪れたのは気まずい沈黙。
が、この沈黙は恋愛関係のないふたりがいきなり深いくちづけを求められたが為のバツの悪さから来るものではない。
なにせこのふたり、ほんの1ヶ月程前に長らくの焦ったい両片想いを実らせお付き合いがはじまったばかりな恋人同士である。
なら何の問題が?
なにせ、この男煌びやかな芸能界で抱かれたい男NO.1に君臨する男である。もう1ヶ月もお付き合いしているんなら、キスのひとつやふたつくらいもう当然済んでいようと……そう思う方も多い事でしょう。
だが、蓮はこの百戦錬磨な遊び人の見た目に反してその中身は恋愛初心者。
そして、お相手は歩く天然記念物的純情乙女なキョーコなのである。
欲望の赴くがまま手を出したりなんてしようものならば、脱兎の勢いで逃げられるっ!!と、やっとの思いで捕まえたキョーコに手を出しあぐねたまま、まだチューのひとつも出来ないままなのだ。
そんな焦ったいようなうぶうぶカップルに突き付けられた脱出の条件。
チラリと、白いプレートから隣に立つキョーコへと視線を移すと、バチッ!と音でも鳴りそうな程同時にこちらへと視線を向けた紅茶色の大きな瞳と目が合った。
動揺の色を滲ませる瞳にかぁっと真っ赤に染まった頬。形の良い鼻梁を辿るように少し目を下げればピンク色の唇。
花びらのように愛らしいその唇は、どれほどやわらかく甘いのか…………
噛み付いてしまいたい程の欲望がくゆりと燻るような気がして、蓮は咄嗟に顔ごとキョーコの唇から目を逸らせた。
いやいや、待て!部屋を出る為だからっていきなり襲いかかる気かっ!?落ち着け、俺!!と、蓮は蓮でいっぱいいっぱいだったのだけれど……
 
 
 
 
そんな事とはちっとも感じ取りやしないのが最上キョーコである。
ぱみっ!と、握りこぶしをもう片方の手のひらへと打ち付けると言うなんともわかりやすいリアクションと共に
「敦賀さんがベテランライフセーバー、私が準備運動不足でうっかり足を攣らせ溺れたたドジっ子女子でどうでしょう?」
と、さもいいアイディアであるとでも言いたげな迄に胸を張ってそう告げたのだった。
は?この子はまた唐突に何を言い出したんだ?と、頭の上にクエッションマークを乗っけている蓮へとキョーコは語る。
「役の設定です!」
だなんて。
ちょっと待て。ライフセーバーが行うのは人命救助の為の人工呼吸であって貪るようなくちづけではないとか、そんな細かい事はこの際どうだっていい。
「恋人とキスをするのに演技が必要?」
忌まわしい記憶と結びつきそうなあの日に蓮がキョーコへと教えた演技者としての心の法則。
キョーコの頭の中からあの忌まわしい記憶を消し去りたくて、役の上では何度だってリセットしてなかった事に出来ると、そう示唆したあの法則を何故今ここで持ち出す必要があるのかと。
「え……でも……」
口ごもりながら、まるで蓮を憂慮するかのような上目遣いで伺うようなキョーコを見て、蓮は悟る。
自己評価の低過ぎる元恋愛拒絶者なこの恋人に、思い知らせてやらなければなるまいと。
「あのね、きっと最上さんが思う以上にずっと俺は君が好きだから」
さらりと、蓮の手がキョーコの栗色の髪から赤く染まった頬へと撫で落ちる。
ふるっと走る小さな震え。
けれど、蓮を映す紅茶色の大きな瞳には何処か期待を滲ませていて……
ふわりと酷く嬉しげにその秀麗な美貌を綻ばせた蓮。
そっと、愛しい愛しい恋人の唇へと触れるだけのくちづけを贈る。
敦賀蓮のイメージからは遠いような、一瞬の子どものじゃれあいのようなかわいらしいキスを。
キョーコの鼻先5センチメートル。そんな至近距離でもって
「だから、覚悟してね?」
と。まだ唐突なキスの衝撃に固まったままのキョーコへと、甘く強請るような低音が囁く。
「…………か、くご?」
蓮の言葉はキョーコの脳へと無事に届いているのかいないのか?まるでオウム返しみたいに唇から溢れ落ちたキョーコの声。
宣戦布告のようにはっきりと。そして、それが至極当然の権利であると主張するかのように堂々と、蓮は答えてみせる。
 
 
 
 
 
「これからずっと、それこそ数え切れないくらいには、俺にこんなキスされちゃうって」
 
 
 
 
滴るような色香を滲ませた夜の帝王の気配のする笑顔でもってそう宣告してみせた男。
キョーコからの応えを待つ事もなく、数え切れないを早速実行するとばかりに、愛しい恋人の唇へとくちづけた。
触れて、角度を変えながら擦り合わせるように何度も何度も。
細い身体を腕の中へ抱き締めれば、ぎゅうと縋るように蓮のシャツを握るキョーコの手。
時折り、小さく漏れる吐息混じりの声がかわいくて堪らない。
触れたいと焦がれ続けた唇のその甘さを味わうように、優しくはんで舌でなぞる。
誘うように薄く開いた唇へと舌を差し入れ、驚き逃げようとするキョーコのそれを追いかけ搦めとるように絡ませ、深く貪るようにくちづけてゆく。
 
 
 
 
脱出の為の出口がいつの間にやら部屋に出現していたって事にふたりが気付くまでには、まだ暫くの時間がかかりそうだ。
 
 
 
 
 
 
 
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こちら、拍手コメントにて返信不要さまよりいただきましたお題
 
 
『キス(貪るような)』をしないと出られない部屋。
 
 
でしたとさ。
ありがちベタなお題、キスかと思いきやディープなやつとのご指定☆
\\\\٩( 'ω' )و ////
せっかくなので(?)お付き合い初ちゅーをかわいらしく…………とか思ってたはずが、どうしてこうなったのやら?
これからずっと破廉恥ちゅーするから覚悟しやがれ?な夜の帝王はかわいくないなと書いたあとにて気付きました。
_(:3 」∠)_
 
 
 
楽しいお題ありがとうございましたー!
 
 
 
次回→さんへやめ。はてさてどうなるのやら?←のーぷらーん
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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