長々と途中でほったらかしにしちゃっておりました、悪役令嬢系ループ異世界転生(地獄)な設定ごった煮ものな話の続きでありますのよ?
よろしくて?
 
 
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あの……わたくしが言うのもおかしいのかもしれませんけれど……大丈夫、ですの?
 
 
 
わたくしこれでも『異世界転生』前には女優なんて生業をしておりましたし、幾度と無く『転生』を繰り返して参りましたもの。
淑女の嗜みたる微笑など最早おてのもの……と、まぁ、そう思っておりましたわ。
公爵家令嬢として、辛うじてまだ唇を笑みの形に保っているつもりですけれど、顔が強張って引き攣っているのが自分でもはっきりとわかっておりましたもの。
だってだって、こんなの聞いておりませんでしたもの。
わたくしは……騙されたのですわっ!!
 
 
 
 
個人的なお茶会だと言われ招待を受けましたけれど、蓋を開けてみれば国内のほとんどの貴族が参加してらっしゃるのでは?な招待人数に王宮の中央庭園全てを使用した規模。これのどこがこじんまりとしたお茶会ですの!?
国を上げてな園遊会ではないですかっ!!
立派な社交の場じゃないですか!いえ、寧ろ夜会などと違って年齢制限がない分、幅広い年齢層が参加なさってますもの。
本当に……タチが悪いですわ。
そんな園遊会のセンターロード真っ只中を連れてこられましたわ。ただでさえその類い稀なる美貌でもって注目の的だろうに、その上この国の王太子なんて位にいらっしゃるお方に逃げられないようぴったりとエスコートと言う名のわたくしにとっては市中引き回しみたいな連行でもって。
それはそれはもう、全方向からありとあらゆる視線を総ざらいなまでに集めての注目の的にございましたわ。
だって、だってですのよ?
世のご令嬢方から熱い眼差しを集める麗しの王子様。今まで誰かをエスコートする事などなかったお方が。
お茶会?いや、これは、わたくしだけ聞かされていなかった王太子の婚約者のお披露目の為の園遊会ではないですか?
それも…………
本日のわたくしのドレス。茶会で着て欲しいなんてメッセージカード(王族からのお願いなど命令に等しいものだとわたくしは思いますわ)と共に婚約者から贈られたもの。
やわらかで輝くみたいに上質な薄桃色の生地のふわりとしたシルエットのドレス。薔薇模様の黒いレースがまるでリボンのように絡み付くようなデザインのそれ。髪に編む飾り黒い薔薇模様の刺繍のリボンに雫方のピンク色の宝石を抱くネックレスとイヤリング。
それだけでしたのなら、まだ問題もなかったことでしょう。あからさまにお値段セレブなトータル金額など考えようものならば、未だに引き摺る庶民感覚ゆえひっそりと心で悲鳴をあげてしまいましたけれど。
問題はそう、わたくしの隣でエスコートなさっている方。
艶やかな黒地のフロックコート。縁飾りを彩る緻密な琥珀色の薔薇模様のレース。
えぇ、わたくしが着るドレスを飾るそれと全く同じデザインの薔薇模様。レン様の黒とわたくしの琥珀色、お互いの瞳の色を写したようなそれ。
どう見てもわざわざ揃えてあつらえたと誰の目にもあからさまでしょう。
熱烈ドロドロ愛欲渦巻く貴族の社交会に於いてもなかなかに見ないだろう執着を思わせるかのような…………『異世界転生』前のあの世界のラブラブバカップルのペアルックスじみたもの。
衣装だけでもざわざわとざわめきが起き、わたくしが頬を引き攣らせそうになったのも仕方がないかと。
そしてそして…………それでもなんとか悪役令嬢として微笑みを保っているつもりのわたくしを、まるでとどめかのようにエスコートされた先にて待ち受けていたもの。
 
 
 
にこやかに微笑む老齢の儀式用礼装なさった神官様とさぁどうぞとばかりに小さな台の上開かれ置かれた宣誓書と添えられた羽ペン。
 
 
 
え……と。わたくし、この方を存じ上げておりますわ。もしかしなくても……この王都の大教会の神官長様ですわよね?
もしかして……いや、もしかしなくとも、考えたくはないのですけれども、これって……
たじっと、思わずにたじろき脚が止まりそうになるわたくしの戸惑いを感じ取ったのか、隣に立つ婚約者様がわたくしの顔を覗き込む。
「署名をお願いしたい物があるって……言ったよね?」
にっこりきゅらりっと微笑んで。
いや、確かに言われましたけれどっ!!この前のお見合いな茶会にて貴方さまに。
でもっ!さらっとしれっと告げられましたもの。普通に考えて王命によるものとはいえ王家との婚約ですもの、当主たる父だけでなく本人なわたくしの署名が必要な書類でもあるのかと思うじゃないですかっ!?こんな……こんな…………
「あのご令嬢がかのヒズリの大公が世界一愛らしく賢く麗しい天使だと高らかに謳い手中の珠と家から滅多に出そうとなさらない幻の妖精姫か」
「あのアクセサリーにドレス……すごい独占欲」
「今どき簡略式かしない方が多い婚約式を、こうも大々的に……どうやら王太子は婚約者のご令嬢によっぽどご執心のようだぞ?」
ひそひそと、わたくしたちを取り囲むみたいな人なみから溢れ聞こえる声。
やめて……やめて……違う、違いますのっ!
わたくしが目指すは、出来うる限りに我がヒズリ家へ悪影響のない可能な限りに穏やかな婚約破棄ですのよ?
こんな……たくさんの目のもとで近代では王家でもしない事の方が多い婚約式を、こんなわざとらしいがまでに正式になさったりなんてしては……
この婚約を破棄する時に受ける汚名が大きくなってしまいますのではっ!?だって、敦賀さんはいつものように森住さんに恋してわたくしを断罪なさるのでしょう?
いつの間にやら、婚約の宣誓書へサインなさっていた方は、さぁ次はお前の番だとばかりに羽ペンを渡そうとなさっていて……血の気が引いたようで微かに震えてしまっているわたくしの手に気が付いたのでしょう。柔らかく微笑んでわたくしの手を取り、その指さきへくちづけなどなさってますのですが…………
 
 
 
 
あの……よろしいのですか?
 
 
 
 
 
 
わたくしたちをぐるりと取り巻くような招かれた方々。
そんな最前なわたくしたちの真前で、彼女…………
ひとめあっただけで恋し愛され、最終的に憎き悪役令嬢から護られ助け出され結ばれる、そんな貴方のヒロインな森住さんが
 
 
 
 
もの凄い、解せぬ!?って表情を貴方へなさっておりますけれど…………
大丈夫、ですの?
 
 
 
 
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この娘は俺の未来のお嫁さんでーす!売約済みでーす!!って、声高らかに宣言なさる王太子となんでそんなことするんですか!?なキョコさん。
そんでやっと出てきたヒロイン(今のところモブ)。
出せやしなかったけど、愛娘に虫がついちゃったクーパパはきっとすんごい苦虫噛み潰した顔してんだと思う。
\\\\٩( 'ω' )و ////
 
 
次回→ヒーローとヒロインは恋に落ちるのか?
いつも通りなのーぷらんにて
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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