開幕いきなり婚約破棄なてんぷれがやりたかっただけな筈が……気が付くとあれもこれもなくどいてんこ盛りファンタジーなあの話な続きみたいですぞー!!

お暇な方のみお付き合いをばっ!

 

 

 

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「はぁ?そんな訳ないじゃないですか!アイツにぎゃふんと言わせる為なら、それこそなんだってやってやりますよっ!!」

 

 

 

 

それはもう見事なまでの売り言葉に買い言葉。

目覚めは過去最悪だった。

頭はガンガンと釘でも打ち込まれたみたいに鈍く痛み、身体は酷く気怠く軽い吐き気さえある……そう。完璧なる二日酔いである。

キョーコをそんな二日酔いにした元凶とも言える男。

ストレス過多なオーバーワークに次ぐオーバーワークな日々にすっかりと若くして睡眠障害を患ってしまっていたキョーコにとっての日々のほんの僅かな楽しみ。それが、数刻ほど眠るためのホットワイン。

つまり、未来のフワ国の王妃たるキョーコは酒好き……で、あったらしい。

押し付けられた仕事や雑多に忙殺な日々の中で嗜んでいた飲酒。それを好きなだけどうぞどうぞとなまでに差し出されるがまま、くぴくぴと美味なる杯を飲み干し飲み干して。

ご機嫌なまま眠りに落ちたキョーコを待ち受けていたのが、二日酔いな朝である。

酔いの残る絶賛体調不良な上にうっそうとした森の中での野宿明け、それなのに目を見張るような美貌を煌めかせてみせた謎の男は問うたのだった。

二日酔いの中、目覚めたばかりなしょぼしょぼな目にキラキラキラキラと痛いばかりに輝くにっこりとした笑顔。なんだかいろいろとダメージが蓄積しまくったような状態のキョーコへと

「で?これからどうするつもりなの?」

と。

婚約者であった王太子から直々に言い渡された筈な国外追放。

なのにっ!国境の関にはキョーコを捕らえるように指令が出され、未だフワの国に閉じ込められたまま。

生まれ持った魔力と有事の際の国防の為にと叩き込まれた魔法の数々をもってすれば、関を破るのなどキョーコには容易い事。だが、無理を押し通せば途端キョーコは追放先でも罪人となってしまうだろう。

フワの国はこの辺りでは強国。追放され平民に落ちたただびとならまだしも、罪人となってはフワ国からの引き渡し要求に逆らえなどしない。

国から出れぬまま、ジリジリとキョーコを捕縛しようとする騎士たちの気配は狭まるばかり。

そんな行き詰りきったキョーコへ、はっきりとその目の前へ絶望的な現実を突き付けるかのように。

 

 

 

 

 

そこから先はまさに坂を転がる石のように、あれよあれよとあっと言う間の事だった。

「結局、なんだかんだ言って本気でこの国を出るつもりがあるの?」

はっと鼻で笑って煽る美貌の男の売り言葉を、はぁ?と元もはいえ貴族令嬢らしからぬ勢いでキョーコは片っ端から買いに買った。

「だってさ?それだけの魔力が有り余ってるみたいなのに、追っ手の騎士から逃げ回るだけってさ。」

「犯罪者になりたくない?今更?大々的に指名手配状態のくせに?」

「どうにか逃げ切ってスローライフでささやかな暮らし?国家機密に関わった未来の王妃教育を収めた令嬢をこの国がおめおめと逃すかな?」

二日酔いなキョーコを思いやってか、冷たく冷えた水を差し出してやる優しさをみせていながらも、ぽんぽんとリズミカルなまでに喧嘩腰ぎみに二人の間を飛び交う声。

その末が……

「いいように利用されるだけされて惨めに逃げ回って…………あぁ、それとも?もしかして俺が悪かったから戻って来てくれとでも言われるの待ってるとか?元鞘に戻るつもりでさ?」

と、まぁそんな最大限にキョーコを逆撫でするかのような煽り。それはもう見事に、まるで条件反射かのような怒髪天をつく勢いでもってキョーコが言い放って返したのが、冒頭の言葉であった。

では、くどいだらろうが、ここでもう一度おさらいを。

冤罪による断罪で婚約者から婚約破棄と国外追放を言い渡され、そのくせ国から出られず追っ手までかけられてな逃亡劇の末、ドラゴンと遭遇までしちゃって絶体絶命!と思えば謎の美貌の男と流されるがまま何故か酒盛りへ。

そんな怒涛の展開の嵐に限界ギリギリ。その上更には二日酔いまでなキョーコである。

最早もうやけっぱちなまでの精神的にも肉体的にもいっぱいいっぱいだったのだ。

だから……仕方がなかったのかもしれない。

つい。つい、うっかりと。

売り言葉に買い言葉の勢いでもって口から飛び出してしまっていた「なんだってする」な言葉。

その言葉を耳にしたその途端、謎の男は唇をにぃっと釣り上げてみせたのだった。

今の今までの煽るような嘲った笑い顔はどこへやら?酷く、キュラめいた笑顔と満足気な色を覗かせる翠色のその瞳。

何故か、キョーコは「しまった!」とそう思った。致命的なものを突き付けられたかのようにすとんと素直にそう思ってしまった。

何故なのかはわからない。

けれど、キョーコの本能的な部分がそう感じたのだろう。

その証拠に、じりっと無意識に後ずさっていたキョーコの足。

けれど、そんな逃亡を図るかのようなキョーコの反応を読んだかのように、はしりと、男の大きな手がキョーコの手首を捕らえていた。

捕まってしまった。

軽く、決して強く掴まれた訳でもないその手。けれど、キョーコにはどう抵抗しても外れる事などない枷かのように強固に捕らえたと感じてしまうその手に。





「さて、とりあえず……まずはこの国を出るところからはじめようか。」

耳触りの良い低い声は、ケロリと当たり前のことのように軽くそうキョーコへと提案してみせたという。

 

 






 

その日、どうにか罪とならぬよう密かにこの国を出ようと足掻いていたキョーコを嘲笑うかのように酷くあっさりと簡単に……

 

 

 

 

一方的ではあれど、言質は取ったとほくそ笑むそんな嫌に煌めくがまでの美貌を誇る謎のその男に手を引かれ、キョーコはフワの国を出たのだった。

 

 

 

 

 

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詐欺師による人攫い?

ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、

 

 

 

誰が楽しいのか謎なまま、ここまできたら開き直ってまだ続き書いちゃおうと思ってますのよ?←今さら?

はてさて、そんな次回→明かされる正体とはじめてーのちゅう☆

 

 

 

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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