「う…っ」
苦し気な吐息と共に、大野さんがビクリと震えた
すぐに唇を緩めて、パッと口を離す
こんなことされたら、俺だったら泣きたくなるけど、まだ駄目
「はぁっ…なんでこんなっ…」
息の荒い大野さんが懐かしい
狭くされた足の間から身体を抜く
「動いちゃダメだからね」
肩を押す
上体がぽすんと素直に倒れる
見下ろすと、胸が大きく上下しているのが分かった
この一ヶ月、息をしているのかさえ怪しかった
「新鮮な空気がここに…」
片膝をベッドへ乗せて、確かな呼吸に合わせるように、上着のボタンを一つ一つ外していく
「ニノ…」
「なに」
「…怒ってるよね」
喜怒哀楽の表現で分けたら多分『怒』に近い
でも、全然違う
だから否定してもいいけど
「そうだね」
今の俺が、怒っていない、ということも分からないなら、何を言ったとしても無駄だと思う
「…ごめんね」
潤んだ瞳が綺麗だなぁ
うっかり見惚れていると、また目が虚ろになってきていた
「ダメ、許さないっ」
急いで全てのボタンを外した
つづく