TPPへの対案 | ふるさとを守りたい、子供達の未来を守りたい

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日々頭に浮かんだことを語りたいと思います。

「日本は今後人口減少で内需が縮小するので、外需を取り込む以外に経済を成長させる方法は無い、TPPは避けては通れない」というような意見をよく耳にします。しかし、TPPの大きなメリットの一つとされている自動車分野は米国は発効から15年後に段階的な関税引き下げを開始し、25年後にようやく完全撤廃されることになっているなど、日本の自動車メーカーが米国などで現地生産を進めていることも考慮すると日本の自動車産業へのメリットは限定的です。一方、国民皆保険制度、医療、農業、食の安全、金融など国民の安全や生活に関わるあらゆる分野への重大な悪影響や、ISD条項やラチェット条項による主権侵害など大きなデメリットが懸念されています。そもそも人口減少で経済成長が鈍化するというのは間違いです。現在、国民を苦しめているデフレの原因は少子高齢化ではなく、単なる政府の経済政策の失敗です。生産年齢人口の減少はデフレ(需要不足)ではなく、インフレ(供給力不足)につながるのです。生産年齢人口が減少する中で供給能力を維持するための公共投資、設備投資、人材投資、研究開発投資を今から進めていけば国内需要が創出されデフレ脱却につながります。また、生産年齢人口が減少していけば若い人材が貴重になり労働者の賃金上昇や雇用安定化が進み、国民経済は豊かになります。


このように、TPPは日本経済への恩恵は限定的で入る価値は無く、しかも、大きなデメリットがあるので私は断固反対です。しかし、ただTPP反対をうったえるだけでは、現在の政治状況においては批准阻止はそう簡単ではありません。ただ反対を唱えるだけでなく、よりデメリットが少なく、経済効果の大きい対案を提示する政治勢力の登場が必要だと思います。そこで、私もTPPへの対案を考えてみたいと思います。


自動車産業については、例えば、「日本国内で走る自動車を10年後に100%先進安全自動車や水素自動車などの次世代自動車にする」など政府が目標を定め、そうした自動車の研究開発や水素ステーションなどのインフラ整備への財政支援、購入の際の補助金拡充などの普及促進のための大規模な財政出動を実施したり、自動車関係の税金の減免や高速道路の無料化または大幅値下げなどの若者の車離れに歯止めをかけるような政策を行うほうがTPPよりも効果があると思います。日本国内で次世代自動車が普及すれば、海外の人々も欲しがるようになり、何もしなくても外需も自然と増えるでしょう。


自動車産業以外の製造業界でもTPP賛成派が多いようですが、外需への依存は相手国の景気が好調な時はよいですが、不況になれば外需は一気に減少します。生産年齢人口減少に対応するための労働生産性向上に資するロボットなどの研究開発や企業の設備投資を政府が積極財政で後押ししたり、国民の所得を増やし個人消費を増やすような政策を実施して内需拡大を図るほうがTPPよりも効果は大きいと思います。私の地元の愛媛県には今治市などの造船業が盛んな地域があり、造船業界もTPP賛成が多いようですが、日本国内の船舶の省エネや安全性能の優れた最新型の船への更新を政府の財政支援や税制優遇で促進したり、海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の艦船、海洋資源開発や科学調査に使う海洋調査船などの増強を行うほうが造船産業振興への効果は大きいと思います。また、鉄道各社の所有する車両の省エネ性やバリアフリー、安全性などに優れた新型車両への更新を政府の財政支援で加速化させるのも良いと思います。


海外へのインフラ輸出の増加もTPPのメリットとされていますが、一方で、地方の公共工事への外国企業の参入により、災害時の復旧を担う地元の中小の建設業者が廃業に追い込まれることも懸念されています。外需獲得のために国内が災害に対して脆弱になってしまっては本末転倒です。そもそも、外需に頼らなくても、日本国内には建築・土木の需要は膨大に存在します。南海トラフ巨大地震などに備えた防災・減災対策、インフラ老朽化対策、地方創生・東京一極集中解消のための高速道路やリニア、新幹線などの交通インフラ整備など、年間数十兆円規模の財政出動を継続的に実施すれば、外需への依存は不要です。国内で大規模な公共投資を実施し、高品質のインフラを整備すれば海外へのアピールになり、TPPに入らなくてもインフラ輸出の需要も自然と増えるでしょう。


農産物の関税撤廃による国内農業への打撃が懸念されている一方、TPPを農産物の輸出拡大のチャンスととらえる農家もいるようです。しかし、高級農産物(イチゴ、メロン、マンゴーなど)が輸出で成功しても、コメなどの国民の胃袋を満たす農業が打撃を受けて食料安全保障が脆弱になっては意味がありません。諸外国並みの農家への所得補填制度の整備などの農業への政府の財政支援拡大こそが食料安全保障に資する真の農業再生策だと思います。


コメント欄や皆様の寄稿コラムでTPPの代替案のご提案をどしどしお寄せいただき、議論を深めていただけると幸いです。



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