現在、国会ではテロ等準備罪(共謀罪)を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐって与野党の攻防が続いています。私はこうした法整備に対して絶対反対ではないですが、冤罪や乱用の危険性も全くないとは言い切れない以上、慎重な議論が必要だと思います。
政府は、特殊詐欺や違法薬物、暴力団などの組織犯罪の取り締まりやテロ対策のためにこの法案が必要だと説明していますが、これについても議論の余地があると思います。
特殊詐欺については、警告メッセージや自動録音・着信拒否など詐欺電話対策機能を備えた電話機や後付け機器の普及、金融機関や宅配業者による水際対策の強化、薬物犯罪については、依存者の治療プログラムの充実、教育などによる薬物乱用の未然防止、密売や製造に対する厳罰化、暴力団対策については、脱会支援や加入未然防止の強化など「共謀罪」の他にもやるべき対策はたくさんあります。何が最も効果的か、何を最優先すべきかの議論がまず必要でしょう。
日本でもかつては、極左過激派やオウム真理教によるテロ事件が頻発していましたが、これらの組織は近年弱体化の一途をたどっており、最近は目立った事件は発生していません。また、日本にはテロの火種になるような民族や宗教の対立はなく、自国民だけを対象としたテロ対策であれば現行法で十分対応可能でしょう。
一方、世界的にはイスラム過激派などのテロのリスクが高まっていますが、欧米と比べて移民の人口が少ない日本の場合、国際テロの標的になるリスクは現時点ではさほど高くはありません。しかし、現在、安倍政権は各種の移民受け入れ推進政策を進めており、この政策をこのまま続ければ外国から民族や宗教の対立など元々日本になかったテロの火種が移民と一緒に持ち込まれ、日本人が国内でテロに巻き込まれる危険が高まって「共謀罪」が必要になるかもしれません。
2015年10月には在日トルコ大使館にトルコの総選挙の在外投票のために集まっていた多数のトルコ人とクルド系トルコ人が衝突する事件が発生しています。今後、移民受け入れを進めれば日本人がこのような移民同士の宗教・民族対立に巻き込まれるリスクは間違いなく高まるでしょう。例えば、政府は国家戦略特区でのフィリピン人メイドによる家事代行事業を開始しましたが、フィリピンにもイスラム過激派組織がおり、メイドを装ってテロリストが侵入して在日の非イスラムフィリピン人を標的としたテロ事件を起こし、日本人が巻き込まれて死傷するといったことが起こるかもしれません。
経済評論家の三橋貴明氏は、国民の自由や人権を厳しく制限して治安を維持している移民国家シンガポールや、移民受け入れと国民の自由を両立させた結果、治安が悪化しているヨーロッパ各国の例を挙げ、「移民受け入れ」、「治安維持」、「国民の自由」は同時に二つまでしか実現できないという「移民政策のトリレンマ」という説を唱えています。
「移民政策のトリレンマ」
http://s.ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12249515222.html
「続 移民政策のトリレンマ」
http://s.ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12249796298.html
安倍政権は移民受け入れと治安維持を両立し、共謀罪などで国民の自由や人権を厳しく制限する方向を目指しているとみて間違いありません。たとえ今、共謀罪を阻止できたとしても、移民受け入れでテロや凶悪犯罪が頻発するようになれば恐怖感から世論の反対は弱まり、将来、現在の共謀罪以上に国民の自由と人権を厳しく制限する法案が通ってしまうかもしれません。
フランスはこれまで、移民受け入れと国民の自由を選択していましたが、テロ多発など治安悪化を受けて国民の自由を制限する方向に舵を切りつつあります。しかし、あまりにも多くの移民や難民が流入し、監視対象者が増えすぎて当局もテロを防ぎきれない状況になっています。日本がこのまま移民受け入れを進めれば、国民は自由と安全の両方を奪われかねません。
移民受け入れを止めればテロのリスクは確実に減り、共謀罪の必要性は低くなりますし、たとえ導入されたとしても、国民が悪影響を受ける危険性は大きく下がるでしょう。
共謀罪に反対する者は安倍政権の移民政策にも強く反対し、国際貢献とは名ばかりの奴隷制度と化している外国人技能実習制度の廃止、留学生の成績基準引き上げとアルバイト禁止、外国人の永住や帰化やビザ発給要件の厳格化を国に迫ると同時に、地方自治体に対しても国の政策が決まるまでの間、条例を制定して外国人技能実習生や留学生の新規受け入れ一時停止や外国人雇用企業への課税などの独自の対策を進めるよう求めるべきだと思います。
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