「新型肺炎 医療費カット見直しの契機に」

新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を避けるため、政府は人工呼吸器等の機材や人員確保を図る方針を明らかにしている。勿論、これらは絶対に必要だ。だが、私はこの新型コロナが終息したら、「喉元過ぎればなんとやら」で再び医療費削減の方向に戻っていくのではと心配している。厚生労働省は昨年、統廃合が必要と判断した地方の公立、公的病院のリストを公表し、来年度予算には地方の医療機関の統廃合を促すための交付金が盛り込まれた。今後、新型コロナが終息したからといって、医療費カットを再開して医療が脆弱化した状態で別の新型感染症発生や南海トラフ地震等の大規模災害に襲われれば、国民が再び医療崩壊の危険にさらされることとなる恐れがある。財務省も公式に認めているように、日本のような独自通貨を持つ先進国の国債のデフォルトのリスクは極めて小さく、供給能力が十分ある現状でハイパーインフレの発生も考えにくい。政府はプライマリーバランス黒字化目標を撤廃し、財政規律よりも国民の命と健康を守る医療の維持、強化を優先し、継続的な歳出拡大路線に転換すべきと考える。