「ミレ、ジヌ帰ったよ」
ジェジュンがドアの前で待っているとドアが開いた。
ミレはベッドへ戻りうつ伏せになって寝転んだ。
「最低。もう何がなんだかわからない」
「今回はジヌが全面的に悪い」
「よね!アッパ!勝手すぎるよね!」
ミレがまた大声で泣き出した。
「ミレはジヌとの事どう思っている?」
「このままずっと付き合って結婚できればいいな。て思ってる。先生の事大好きだし、ジヌのアッパも素敵な人でうまくやっていける自信もある。だけど私まだ若いし結婚なんて正直考えた事ないよ。仕事も楽しいしそれにアッパと暮らせなくなると思うと、耐えられない。そんなこと考えたくもない。だって物心ついた時からずっと2人で暮らしてきたのに、私結婚相手はアッパと同居してくれる人としようと小さい頃からずっと思っていたのになージヌじゃ無理だ・・・」
ミレは手の甲で涙を拭いた。
(正直まだ嫁に出したくない気持ちは山々だがミレが本気でジヌのことを好きならば、ちゃんと背中を押してあげなければならない…ミレの幸せのために…)
「実際兵役まで待つ、と言っても結局新しい彼氏が出来て別れるって事が殆どだからね、ジヌも不安なんだろ。やり方は突拍子ないけど、それだけミレの事を好きなんだろうな。ジヌも一大決心したと思うよ。二人でじっくり話あったほうがいい。アッパは二人がそうしたいのなら賛成だから」
ジェジュンはリビングで焼酎を開けて飲んでいた。
(しかしジヌはもう少し方法がなかったものか…思い込んだら後先考えずに突っ走る所、若い頃のユノを思い出した。初めてキスした日・・・確かめさせろ、って言ってキスしてそのまま抜き合って・・・そこまでしてやっぱ好きじゃなかった、ごめん、って謝るつもりだったのかよ、あいつ...まー先にけしかけたのは俺だけど、あー恥ずかし、マジで赤面するわ、俺って積極的だったなー。ユノに対してだけ、まーそれが若いって事だな)
ジェジュンはあの時の光景を思い出しふふ、と笑った。
「あーどうしよ、ユノに会いたくなってきた・・・娘の一大事だってのに俺って奴は・・」
そしてジェジュンは空いたグラスに焼酎を注いだ。
2本目が無くなる事に電話が鳴った。
「ジジや~」
「ユノやー!」
ジェジュンの顔がパッと明るくなった。
「今俺はどこにいるでしょーか!なんと~お前の家の近く~」
「え?!」
「いや出て来なくていいよ。気がついたらお前の家の前に向かっていた。はは」
「少しくらいなら大丈夫!会いたい」
そしてジェジュンは慌てて身支度を整え外にでた。
外で少し待っていると車のライトが段々と近づいてきた。
車の中に入るとユノがククク、とずっと笑っていた。
「なんでそんなに笑ってる?俺へんな恰好してる?」
「いや、ジジが満面の笑顔で両手を上げて大きく手を振っているからかわいいな、って、普段そんなことしないのに、よっぽど俺に会いたかったのかな?」
「うん。会いたかった」
そういってジェジュンはユノの手を握った。
「あれ?今日のジジやけに積極的、いつもツンデレなのに、嬉しいなー」
「若い二人を見ていたら 身勝手で情熱的で泣かされて、俺達もあんな時があったなーって刺激されちゃったかな?若いっていいよな。辛くて悲しい涙 もいい思い出になるからね」
「なに?ドラマの話?ジジそれは俺達が今幸せだから・・・俺はジジに再会するまでは昔の事は心の中で封印していたよ。辛くて・・・」
ジェジュンがユノの胸に顔をうずめた。
「そんな悲しそうな顔をするなよユノヤ・・・愛してるよ」
「俺もだ・・・ジジもうどこへもいくなよ。悲しい思い出はもうたくさんだ」
「ユノ・・俺はずっとお前のそばにいるから・・・もうどこへも行かないよ・・・」
(お前がたとえキョンミと別れられなくても俺はずっとそばにいるから)
そして二人はそっとキスを交わした。
家に戻ると今日はずっと部屋にこもるだろうと思っていたミレがソファーに座っていたのでジェジュンはユノと会ってきたことに対し、軽い罪悪感を感じた。
「アッパ、どこ行っていたの?」
「いや、ちょっと・・風をあたりに・・・」
ミレはじっとジェジュンを見つめた。
「ふーーん、風をあたりにいくのにあんなに慌てて何度も鏡でチェックするんだー。アッパって本当に嘘つくの下手よね・・・嘘ついてる時って絶対目合わさないのよねー恋人と会ってたの?」
(なんて勘が鋭い・・・)
ジェジュンはタジタジになった。
「アッパ、私その人とあっぱが一緒に暮らすようになるまでお嫁に行かないから!絶対にアッパを一人にさせないからね!」
「ミレ、前にも言ったようにアッパ達はすぐには一緒になれないんだ。それを待っていたら婚期を逃すぞ」
「いいわよ別に、何か文句言われたら今日の事を蒸し返してやるわ!さっきジヌから電話かかってきてすごく反省しているみたい・・・明日ちゃんと話あってくるわ」
「そうだな。それがいい」
「ほんと嫌になっちゃう!だけど私がお姉さんだから、説教してくるわ」
「もう完全に尻にひかれてるな。ジヌ」
ジェジュンが笑った。
「あーだけどさみしいなー兵役行っちゃうのかー嫌だなー」
そしてミレがまた泣き出した。
ジェジュンはミレの肩を優しく撫でた。
「アッパ!早く孫の顔見たかったら早くその人と一緒になってね!」
ミレは戸惑うジェジュンを見て笑いながら部屋へ戻っていった。
(泣いたり笑ったり忙しい子だ)
ジェジュンは笑ってまた焼酎を飲みだした。