「マァル将軍?」
生明は格之進に尋ねた。
「そう、サウサリコ…僕らがN国と称している国の、最高権力者だ。誰も逆らえない。そんな事したら、大変だ」
「そういえば…N国のいちばん偉い人のこと、聞いてなかったっけ」←こらこら
「今回、僕がすごく気になっているのは、Fさんが居るのに敢えて危険を冒してまで僕らを襲おうとしたことなんです」
「あのドリル重機に苦戦はしたけど…確かに。あ、そういえばカクさんを助けた時に、工作員がりりを奪おうとしてたって言ってたじゃない?その…ナントカ将軍…だっけ?」
「マァル将軍…マァル・ダー・ハッカー将軍だね」
「そ、そう。その【まるはだか】将軍!その人がりりを欲しがってるのかな?」
「丸裸?!」
思わず格之進が吹き出した。
「ん?どうしたの?」
「いや…何でもない…(笑いを堪えて)うーん…そうなのかなぁ…でも、リリーサを人質にしてまで僕を取り返したいとは思えないし…」
「りりって…何かあるのかな?つーーか、その…ナントカ将軍(←名前覚えろー)の最終的な目的って、何なんだろう…?」
「全てを支配し、自分自身を神だと信じて疑わない人だからな。だから裏切り者は許せないんだろうが…」
「工作員の人だって、自分の命を棄ててまで、危険な目に遭いたくないよねぇ…」
生明は考え込んでしまったのだった…
その頃、サウサリコでは…
リリーサ奪取に失敗した工作員が、次々と粛正された。
マァル将軍はそれを静かに眺めていた。
その横に居た側近、ジェロ・アンタレスが恐る恐る口を開いた。
「将軍…まことに申し訳ございません…」
「ふっ…」とマァル将軍は静かに笑った。
「な…なぜ、お笑いに…?」
「そう簡単にリリーサを奪い取れるとは思っておらん。どうも521号を匿(かくま)っている奴らは、なかなか手強そうだからな。あのモビルスーツ…我々の開発したガンビットでは、数機が束になっても駄目なのだろう…しかもビスタムに変身する奴までいたら、尚の事だ」
「は、はぁ…(それなら何故粛正を…?)」
「暇つぶしだよ」
「は?」
「最近、刺激がなくてな…」
と、マァル将軍はその場を去った。
それをジェロは啞然としながら見送ったのだった…
(その4につづく)