生明は璃彩(リリーサ)の泣き方に、一抹の不安を覚えた。
「…やべっ。来た…!」
ドドーン!という大きな音と共に、地面から出てきたのはビースタム…凶暴化したビスタム…が出てきた。
生明はその姿を見た瞬間、別世界で戦ったビースタム(=ソラの変身した)の記憶が、頭の中にフラッシュバックしてきた。
「うっ…嫌な思い出が蘇ってきたよ…」
「生明さん、アレは…なに?ビスタムなのかい?」
格之進が生明に尋ねた。
「ま、そんなところね。…ちょっと…いや、かなりか。凶暴化してっけどね」
生明は仕方なくビスタムに変身しようとしたが…
そこへ生明のタブレット(F00とのやり取りをする為の機器)から、声がした。
「生明、僕に乗らないの?変身するのは危険なんじゃないの?」
「でも…大きさが…」
F00ユニコーンは10m、ビスタムは53m、ビースタムは60mとなっている。
「そんなの大丈夫!生明と僕がチカラを合わせれば、誰にも負けないだろ?大きさに差があっても、そんなの関係ないって!」
「…わかったわ。じゃ、今すぐココへ来て!」
「よっしゃ!」
F00ユニコーンは直ぐ様やってきた。
生明は搭乗して操縦桿を握ろうとしたが…
「え…、なに、なに?!」
一気にコクピット内で、生明は四肢を固定され、頭部も何やら機械に取り込まれて何も見えなくなってしまった。
「ちょっ…なによ、これ!」
とパニックになった生明だが、ヒュンっという音と供に意識が一瞬にしてなくなってしまった。
F00は体中から発光体…サイコフレームが現れ、一角アンテナが左右に開き、顔が変化し、ユニコーンモードからデストロイモードへと、変身したのだった。
「生明、ごめんね、騙したみたいで」
ビースタムはF00の姿を認めると、一気に襲いにかかってきたのだった…
その様子をモニターで見ていた、N国(サウサリコ)のマァル将軍は、いかにも楽しげに笑い出した。
「ククク…さて、ジェロよ。どこまで本物のビースタムに迫れるか、せいぜい頑張ってみろ」
しかし側近たちは、別の心配もあった。
「あのモビルスーツ…変形しましたね…大丈夫なんでしょうか?!」
「案ずるな…例え負けても、悲観する必要はない。何しろあのビースタムは、実験台なのだからな…」
「は、はぁ…」
「それより、うぬ達は自分の心配でもしろ。任務に失敗すれば、お前らもあの薬を飲むことになるからな」
それを耳にした側近たちは、一気に血の気が引いた…
「ま、人工ピースタムが多ければ多いほど、私の目的は達成しやすくなるがな」
と、マァル将軍はニヤリとした。
側近たちは、更に生きた心地がしなくなったのだった…
(その2へつづく)