スローフードは「食」を通して新しい時代の価値を考えるもので、古き良き食文化を現代に甦らせる、いわば食のルネッサンス。

食の文化復興運動として、食の楽しみを人類へ呼び戻そうとする活動でもある。

1986年、イタリア北部の小さな町ブラに住む食文化雑誌の編集者、カルロ・ペトリーさんが「アルチ・ゴーラ」という美食の会を作ったことが、スローフードの始まりだった。

この時期、ローマにマクドナルド1号店が進出するにあたり、街の景観が損なわれることを危惧した市民による騒動があった。

と同時に、地元ならではの食文化が損なわれないのかということもあって、ファーストフードに対抗する「スローフード」として、草の根の活動から広がった。

今では世界中に広がり、日本でも全国に活動拠点を置く。

この活動には、3つの指針がある。

一つは、姿を消しつつある郷土料理や質の高い小生産の食品を守ること。

二つは、質の高い素材を提供してくれる小生産者を守っていくこと。

三つは、子供たちを含めた消費者全体に、味の教育を進めていくこと。

地域を愛する、地域の魅力を見つめ直す、地産地消をすすめるスローフード。

日本でも、「地産地消」とともに、スローフードという新しい時代文化が浸透しつつある。

「地産地消」は、消費者の食に対する安全・安心志向の高まりを背景に、消費者と生産者の相互理解を深める取組みとして期待されているが、もともと北海道の農業関係者が「地域生産、地域消費」のことを略して用いて、それが全国に広がった。

「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味で、特に農林水産業の分野で使われている。

消費者が近くて作られているものを食べる、消費する。

生産者にしてみれば、食べる人の近くで作るということ。

スローフードも、地元の郷土文化、土着の食文化やつながりを基礎にしており、地産地消の理念と共通している。

全てがスピードや企業利益を優先させてきた「ファーストライフ」の結果をもたらした食の均一化が今の日本の食文化にも見られる。

それは単に食の均一化だけでなく、添加物や農薬による食の環境の変化、自然環境への負担なども引き起こしているかもしれない。

ファーストライフをスローに転換してはどうかというのが、スローフードという言葉にこめられた提案であろう。

ファーストフードの対極がスローフード、食のルネッサンスでもあるわけですね。



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