さらなる株希薄化を招く増資をするのか、もしくは名を捨て実を取り国際金融から撤退し一旦は下野をするのか。

[日経]みずほFG、最終赤字5800億円 09年3月期、下方修正を発表  みずほフィナンシャルグループ(FG)は23日、2009年3月期の連結最終損益が、5800億円の赤字になったようだと発表した。従来予想は1000億円の黒字だった。保有株式の価格下落と、取引先企業の業績悪化による不良債権処理費用の増加が響いた。通期の最終赤字は03年3月期以来、6年ぶり。
三井住友フィナンシャルグループも既に前期3900億円の連結最終赤字見通しを発表している。三菱UFJフィナンシャル・グループを含め、3メガバンクがそろって最終赤字となる見込み。

前期は3112億円の黒字となっていた。今回で下方修正は3回目となるが2009年1月時点でも1000億円の黒字を見込んでいた。大きな要因として保有株値下がりと不良債権処理が挙げられる。


まずサブプライム問題に端を発した世界同時不況の影響で景気の悪化が続き、融資先企業の業績の悪化うおw招き、不良債権処理が大幅に増加した。


国内景気悪化で貸し倒れ引当金積み増しに加え海外貸出でも与信関係費用が増え不良債権処理損が予想比2300億円も増加し5600億円となった。


不良債権処理損の内訳として中小企業向けのみずほ銀行が3150億円を計上し、大企業向けのみずほコーポレート銀行も2000億円を計上した。


次に景気低迷によって株価が大きく下落したため保有株の価格も下落し、結果として損失処理額が大幅に膨らんだ。


1月時点では3月末の日経平均株価を「9000円~1万円」と想定していたのだが実際には8100円台まで下落し乖離幅が広がった。


このため株式関係損失が2008年4~12月期末時点の1968億円から大幅に膨らみ4100億円となり従来予想より3000億円も拡大したことになる。


また昨年1月に12億ドル(約1200億円)を出資した米証券大手メリルリンチ(現バンク・オブ・アメリカ)の優先株で800億円の損失が出たことも響いた。


さらに法人税等調整額の算出における将来収益においても保守的に見積もったことで最終赤字を拡大させる要因になった。


本業の貸し出しでは企業が社債やコマーシャルペーパーの発行が困難になった影響で年度後半に残高が増加したものの金利の低下などで収益は低迷した。また株価下落によって投資信託の販売も不振を極めた。


ハズレ社会人-みずほFG


そしてみずほFGはこの巨額の赤字計上により経営の健全性を示す自己資本比率(2008年12月末で11・28%)の低下を招くことになった。


2009年3月末で連結自己資本比率は10%台となる見通しだ。この数値は国際基準行に課せられる規制上の自己資本比率8%は上回っているが国際的に健全とされる10%ラインぎりぎりの水準まで落ち込むことを意味する。


そして最近頻繁に耳にすることになった中核的自己資本(Tier1)の比率においては6%台となる見込みである。さらに資産リスクの高まりから今後国際的により重視されようリスク資産に対するコア部分の自己資本比率(コアTier1)の推計では、3メガバンクの内、三菱UFJFG4.9%、三井住友FG2.8%に対してみずほFGは1.7%と格段に低い。


3メガバンクでは三井住友FGは純損益の見通しを3900億円の赤字に下方修正したが同時に最大8000億円の増資計画を公表している。三菱UFJFGにおいては500億円の黒字予想すら変えていない。


これを鑑みると3メガバンクにおいてはどうしても自己資本という面からみずほFGが見劣りし取り残されつつある状況であるといえよう。


そして現状では自力増資は厳しい状況にあるのだ。なぜなら2003年に実施した転換型優先株による「1兆円増資」の希薄化回避策として打ち上げた買い入れ償却はとん挫したままだからだ。


現在の株価水準で普通株発行に踏み切れば当然の如く株価の下落は免れない。優先株の転換価格の下限は322円であり本日終値192円からすれば引き受けた投資家は大きな含み損を抱えているのだ。さらに増資ということになれば株価の希薄化を招くばかりか株主を裏切ることになる。


旧安田財閥という系列色の薄い母体という観点からも国際基準行という肩書きを捨て国内特化型のメガバンクというのも一考なのかもしれない。


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