野村HDが「Basic&Dynamic」により「負の遺産」を一掃することで再び証券界のガリバーと言わる日も近いと考える。

[日経]野村、最終赤字7094億円 過去最大、09年3月期決算を発表  野村ホールディングスが24日発表した2009年3月期連結決算は、最終損益が7094億円の赤字(前の期は678億円の赤字)となった。赤字は2期連続で、赤字額は同社として過去最大。金融市場の混乱や実体経済の悪化を受け、不動産や株式など保有資産の評価損が膨らんだ。昨年秋の米リーマン・ブラザーズの部門買収に伴い、人件費が増加。投資信託の販売が減少するなど収益が落ち込む中、リーマン関連の買収費用を補えなかった。
記者会見した仲田正史執行役は「足元の環境は決して楽観できないが、コスト削減などを進めて早期の黒字化を図っていきたい」と説明した。

金融機関で最大規模の赤字となった背景は、米証券大手リーマン・ブラザーズの部門買収に伴う負担、株式市場の低迷による売買委託手数料が伸び悩み、保有資産の評価損拡大となろう。


昨年秋に経営破綻したリーマン・ブラザーズのアジア・欧州事業の部門買収で多くの人員を引き継いだことが人件費の増加につながった。


引き継いだ人員の人件費を含めた継承するための費用により買収コストがさらに嵩み約600億円を追加に計上した。


ただ2009年4-6月期は給与保証したリーマンの人材に一時的に支払った費用が2009年1-3月期の半分以下におさまる見通しとのことだ。


またリーマン買収直後の2008年10月をピークと考えると野村HDはそこから2100人超もの人員を削減している。


2009年3月末時点のグループ全体の人員数は2万5626人。今後も人員の規模については各地域で「最適化を図る」と述べた。


つまり人員数の減少と国内外を含めた配置転換の両側面から効率化を図ることでコストダウンに対応することを目指している。


次に本業であるがその前に現状の証券を取り巻く環境において整理する。


東京証券取引所によれば2009年1-3月の1日あたりの株式売買代金(第1部、2部、マザーズ合計)は1兆4450億円で前年同期に比べると48%減少。


また同じ期間での日経平均株価の騰落率は8.5%の下落を記録している。さらに1年間では35%も下落したことになる。


この結果、マーケットで自ら取引をする自己売買部門の低迷が足を引っ張り、保有資産の評価損も拡大し、収益の支えだった国内営業部門も振るわず、頼みの投資信託手数料収入なども落ち込んだ。


部門別で優劣をつければ、有価証券の自己売買、投資銀行などが赤字部門となり、国内営業と資産運用は少ないながらも黒字部門となる。


また売上高に当たる営業収益は前期比58・3%減の6645億円となった。


ハズレ社会人-野村HD


しかし暗いニュースばかりではない。保有資産の査定を厳格に見直したことで評価損が膨らんだものの、思い切った損失計上で金融危機に関連した損失処理を2008年度中に終わらせ2009年度の黒字化を目指す計画なのだ。


また桁違いの強みはその強固な財務基盤にある。野村HDは銀行を対象にした国際決済銀行(BIS)の規制(バーゼルII)に基づく連結自己資本比率が2009年3月末でなんと18.1%もあったのだ。


昨年秋以降、ゴールドマン・サックスなどの米投資銀行が相次いで銀行持ち株会社に移行し、BIS規制に基づく財務内容の開示を始めたため、野村も同様に銀行基準で財務内容を公表する方針を示していた。


ゴールドマン・サックスが決算発表時に開示したバーゼルIIに基づく自己資本比率は2009年3月末時点で16.0%となっていた。


またモルガン・スタンレーの自己資本比率はバーゼルIに基づく開示で16.4%だったが、バーゼルII基準の開示は行っていない。


つまり銀行基準とした財務内容では頭一つ抜けている。これは2009年3月に公募増資で約2800億円を調達し中核的自己資本を増強したことも起因する。


そして経営陣も強気になっており先月下旬の部店長会議にて2009年度の黒字化を最重要課題として表明している。


これは買収した旧リーマンの人材をフルに活用した企業合併・買収(M&A)事業などでの収益性向上に大きな期待をかけているからだ。


また業績の足を引っ張ってきたトレーディング損益も2009年1─3月期は166億円の黒字に転じたことからこの部門でのフローも期待できそうだ。


現在の野村HDの株価は昨年の同時期に比べ70%近くも目減りしているが、今後はV字回復も可能な基盤整備が完了しつつあると言えるだろう。


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