バーナンキ議長は会合において米経済について実現には多くの要因を前提が必要としながらも国内総生産(GDP)が2010年に約2%、2011年に4%成長するとの楽観的な見込みを示している。

[ワシントン 5日 ロイター]米バーナンキFRB議長の議会証言での発言要旨  バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が米両院合同経済委員会で行った証言と質疑応答での発言要旨は以下のとおり。



●金融システムの状況



今日のわれわれの状況は9─10月から格段に改善していると思う。不良資産救済プログラム(TARP)に批判が多いことは承知しているが、資本の利用が可能となったことは、世界的な銀行システムの真の崩壊を避ける助けとなったと確信している。(銀行システムの崩壊は)米経済にひどい悪影響を及ぼしていた可能性がある。

われわれは大きく進歩した。金融市場は依然ぜい弱で、何事も当たり前のことととらえたくはないが、昨秋からずいぶん前進したと思う。



●物価安定とFRBの独立性



われわれは物価安定に非常にコミットしている。最近われわれは、中期的な物価安定への取り組みに関する見通しを発表し、われわれが考える中期的なインフレのあり方についての情報を提供した。この非常に困難な金融・経済状況からの回復に向けた景気刺激の後で、(米経済は)持続可能な成長と物価安定を伴って浮上する状況に達することができると強く確信している。われわれはその計画や出口戦略の考察に非常に多くの時間を費やしている。



また、FRBはその独立性を犠牲にしたとの見方には大いに反論したい。FRBの独立性の不可欠な要素は金融政策であり、それは他の政府機関から完全に独立している。われわれは金融政策のいかなる側面について助言や意見を求めたことはない。これは完全な独立を保っており、今後も独立を維持する。



●米国債への信頼感



米国債利回りが信頼感を示していると考える。比較的低水準の10年債や30年債利回りは、こうした証券への投資家がまず何よりも流動性や安全性を歓迎していることを示している。次に、米国が長期的には低インフレと財政の安定を達成すると投資家が確信していることを示唆している。とは言え、われわれ政策当局者全員、とりわけ財政政策の責任を負う議会にとっては、赤字削減やこうした問題への対処に必要な安定化を確実に達成することが求められている。つまり、われわれがこうした問題に対処することへの信頼感が市場には存在し、われわれはこの信頼感に応える必要がある。



●資本調達



資本調達を必要とする銀行が存在する限り、その多くが民間での株式発行や既存債務の転換および交換を通じ資本基盤を増強することが可能となることを望んでいる。



多くの銀行が一段の公的資金を受けることなく、(株式の)新規発行や転換・交換、資産売却、その他の資本調達手段を通じ、資本基準を満たすことができるようになると考える。



●米経済見通し



昨秋と今年初めにみられた非常に大幅な落ち込みが近いうちに著しく緩和し、年末までにプラス成長に転じると予想している。


まずバーナンキ議長は米国の国内総生産(GDP)が今年の第1四半期にマイナス6.1%となったことには失望感を表明した。


しかし3月に「回復の若芽」を指摘してからは景気後退が続くものの米経済の底入れが近いと楽観的な見通しに変更は見られない。


そしてその後の株価の回復傾向や消費、住宅市場、在庫調整の安定的な傾向からこれまでの見通しに自信を深めたため今回の発言とみられる。


景気回復を予想した背景は以下の4点が挙げられる。


(1)住宅市場が安定しつつある
(2)在庫の急速な取り崩しが今後減速する
(3)景気刺激策で最終需要が下支えされる
(4)金融情勢が徐々に改善する


ただ景気回復が始まった後も成長率は当面、長期的な潜在成長率を下回る公算が大きいとも指摘している。


その結果、企業は雇用に慎重になる公算が大きく、経済成長が再開した後も当面の間失業率が引き続き高止まりする可能性があるのだ。


米国の失業率は3月に8・5%と高かったのだが今後も上昇する可能性が大きいとの見解を示した。この部分ではやはり日本以上に悲惨である。


またこれは米国がサブプライム問題以前に消費大国であった黄金時代から人口比率の応じた普通の消費国に向かうことを暗に示しているのだろう。


個人消費は米国の国内総生産(GDP)の約7割を占めるが議長の見解では国民の意識が再び借金漬けに逆戻りを示すもので危険ではないだろうか。


ハズレ社会人-バーナンキFRB議長


また金融面において米政府が実施したストレステストについてもメディア報道とは別の見解を示した。


コメントは「多くの銀行の状況を見たが、そのうちの多くは政府からの追加支援なしで、新たな資本の発行や転換・交換、資産売却や他の資本強化手段により資本の基準を満たすことができると考えている」とのことだ。


つまり多くの銀行は公的資金の追加注入なしに、必要な資本増強ができると期待していると語った。オバマ政権も議会への追加資本要請を想定していない姿勢を示していることからも自助努力で資金調達が可能なのだろう。


これについて7日に大手金融機関に対する資産査定(ストレステスト)の結果が公表される予定となっている。


各々の金融機関の包括的な自己資本計画が明らかにされることによりバーナンキ議長の証言が適切であったのかどうかが判定される。


またクレジット危機緩和に向けても一連の融資プログラムについて借り手の数や受け入れ担保の種類などの詳細を近く明らかにするとのことだ。


そして「持続的な景気回復が可能かどうかは金融システムの安定次第」と資産価格の下落や厳しい信用状況が経済の重しとなっていることも指摘した。


ただ最も重要なのはFRB自体の信認であろう。現在は綱渡り状態であるが最近の証言の数々が後に正当化されるのかどうかが重要だ。


ハードランディングという厳しい判断ができなければ米国も日本がかつて経験した「失われた10年」を経験することになるだろう。


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