グアム移転に関して何ら異論はないのだが、根拠が曖昧なままお金だけ要求するというのは直轄負担金と同じく「ぼったくりバー」ではないのだろうか。

[共同]米海兵隊グアム移転協定を承認 両院協不一致、衆院議決通り  在沖縄米海兵隊のグアム移転に伴う日本の経費負担などを規定した米国との協定締結承認案件は13日午後、参院本会議否決を受けた両院協議会でも意見が一致せず、河野洋平衆院議長が憲法の規定に基づき、衆院の議決通り締結承認を宣言した。
協定は2月に来日したクリントン米国務長官と中曽根弘文外相が署名した。海兵隊約8000人のグアム移転経費に関し、日本側が現地の施設整備などに限り28億ドルを上限に負担する内容。
衆院は4月に可決したが、参院で多数を占める野党側は「日本の負担金の積算根拠が不明確」などとして反対した。

この協定は条約の一種で、2006年5月に日米政府が合意した米軍再編に関する「ロードマップ(行程表)」で海兵隊約8000人とその家族約9000人が2014年までにグアムに移転することになっている。


日本の米軍駐留経費負担の内訳を詳しくみれば司令部庁舎や隊舎、学校など生活関連施設を整備するため28億ドル(約2800億円)を負担することを条約として確約している。


さらに家族住宅や電力・上下水道などの基地内インフラ整備に計32・9億ドル(約3290億円)を融資の形で提供する。


つまり移転費総額102・7億ドル(約1兆270億円)のうち日本が真水と融資を含め60・9億ドル(6090億円)を負担することになるのだ。


一方で米国も当然のことながら費用を計上するのだがその額がなんと41・8億ドル(4180億円)となっているのだ。


どうしてこのように負担額が6:4の比率になっているのであろうか。日本の国内で基地移転による関連施設でというならまだ少し解せる。


しかし米国がグアムという本国に軍を移転させるだけなのに生活関連施設、インフラ整備まで負担するというのは世界中で日本だけではないだろうか。


住宅建設の融資に関しては家賃として50年をかけて回収する予定だなっているが有名無実化するであろう。


また定員1万8000人の在沖縄米海兵隊の家族住宅が現在約2200戸を日本が整備したとされている。そのうちの半分以下である8000人の人員を移転するのに日本負担でなんと約3500戸もの住宅をグアムに建設することになるというのはどう考えても数字のつじつまが合わない。


この曖昧さを残しながらも近く日米両政府間で交換公文が取り交わされて発効する運びとなるのだがさらに見過ごせないのは今後である。


ハズレ社会人-グアム移転経費


実は既に米国防総省が2010会計年度予算案の説明資料で日本が負担する(在日米軍)再編経費の総額の見積もりが200億ドル-300億ドル(2兆円-3兆円)になるかもしれない旨を表記しているのだ。


しかもそれに対して政府与党の浜田防衛大臣も承知しているとの見解を示しているのだ。これはさらなる負担も容認ということなのか。


現状の米国が置かれた財政赤字を考えればあらゆる手を使って日本に「沖縄の負担軽減のため」という言葉を使って負担を強いることは明らかだ。


また米国のコンウェイ海兵隊総司令官が「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)で再検討するとし「グアムでの施設の完成時期を2014年と定めるべきではない」ということまで議会で証言しているのだ。


これは米国で予算も期間も確定していない状況なのに日本だけ予算と期間を設定し承認したことを表している。


このような前例を作れば今後如何様にも米国が日本に負担を求めても何とでもなるという際限ない米軍への支援拡大の要求に繋がりかねない。


一刻も早く米国のみならず世界に対しても「物申せる国」になってほしいものだ。


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