格付けという概念が米国絶対評価から世界相対評価へ変貌を遂げるのか。欧州が格付け会社を批判に端を発して様々な思惑。

[ブリュッセル 13日 ロイター]欧州委、ムーディーズのアイルランド格下げを批判


欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は13日、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが12日にアイルランドの格付けを引き下げたことについて、「理解し難い」措置で、発表のタイミングに「問題がある」と表明した。


バローゾ委員長の報道官は「前日のムーディーズのアイルランド格付け引き下げ決定は、委員長の見解では理解し難く、折しも代表団が審査結果の発表を準備しているというタイミングでの決定は、控えめに言っても問題があるというのが委員会の見解だ」と述べた。


米格付け会社としては、欧州連合の深刻さを露呈させて早めに終焉に向かわせたい焦りがあったのだろう。なぜなら自国が瀕死の状態であることが徐々に明らかになってきたからである。


[ニューヨーク 13日 ロイター]米国債の「AAA」格付け、引き下げ方向で見直し=ムーディーズ


ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、米国の「AAA」格付けについて、連邦債務上限が数週間以内に引き上げられない場合、格下げする可能性があると警告した。


米国の格付けを引き下げ方向で見直すと表明したのは大手格付け3社のなかでムーディーズが初めて。


ムーディーズは声明で、連邦債務上限がタイムリーに引き上げられず、米国債のデフォルト(債務不履行)につながる可能性が高まっている、との認識を示した。


たとえ引き下げたとしても「AA」のレンジで他国の格付けで比較しても影響は軽微となる。明らかに欧州委員会の批判を受け流すパフォーマンスに過ぎない。もちろん米政府は連邦債務上限の引き上げを行うのだが。


そんな中、中国に続きロシアも独立という前置きがあるものの自国の格付け機関を創設する可能性が出てきた。

[13日 ブルームバーグ]ロシアなど独立した格付け会社の創設の公算-首相が支持表明


ロシアを中心とするユーラシア経済共同体加盟国は、米格付け会社による独占状態の緩和を目指しており、来年独立した格付け機関を創設する可能性がある。


プーチン首相は13日、格付け会社設立の計画を「強く支持する」と言明。現在のロシアの格付けには「憤慨」しており、企業の借入れコストとリスクの上昇につながっていると指摘した。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが最後にロシアの信用格付けを引き上げたのは2008年で、格付けは投資不適格等級を3段階上回る「Baa1」。


中国初の格付け会社、大公国際資信評価は1年前にソブリン格付けの公表を開始している。


ユーラシア経済共同体のセルゲイ・グラジエフ副事務局長は12日にモスクワでのインタビューで、「米格付け機関を信用するのは正常ではない」とした上で、「市場は新たな参考指標に客観的な関心がある」と述べた。


リーマンショック以降何かと議論になってきた格付け機関であるが、いよいよ中国、ロシアが独自の格付け機関を創設することで米国スタンダードからの脱却ができそうである。