注射ために食器を売る | オバはパチンカス

オバはパチンカス

「何もかも犠牲にしても良い」と思うほど魅力的な遊戯なんですか?

「おばあちゃんに予防接種を受けさせないといけないから、これを売ってくるね」

オバは、この数年、自分の医療費を祖母に負担させることはあっても、祖母の医療費の負担することなど無かったのに、自分の荷物の山から食器を掘り出して、祖母に言ったという。

'私の予防注射のために…自分の物を売ってくれるらしい'祖母は母に電話をしてきた。

「1000円なのに?」

と言うと、祖母は我に返った。

「あ!…そうだったね(笑)」

まだ、祖母は、オバに予防接種代金が1000円だと訂正していないようだった。



オバ、休日の今日、

「今日の午後に病院に行くから、お金振り込んで。あんたが、5000円は貸しておいて」

祖母から母に電話がかかってきた。

「まだ、おばあちゃんのお金(年金)あるから大丈夫よ。5000円振り込むからね」

お金を振り込んだ後、母は祖母に電話。祖母は、すでにお金を下ろしていた。

「5000円しかなかった。」

「朝、5000円って言ったじゃないの。予防接種は1000円だから」

すると、

「いや。インフルエンザの予防接種は7000円!(あんたが1000円っていうから)○○(オバ)が会社で聞いてきた。 『会社の人みんなに、「1000円じゃない」って言われた』って。」

予防接種代は、オバによって7000円に戻っていた。

どうやら、祖母は、予防接種代7000円と、生活費5000円を振り込むよう母に言ったようだった。

「○○市で、65歳以上は1000円って決まってるの。会社の人に聞いても、高齢者の予防接種の代金なんて、わからないでしょ?」

「いや。1000円じゃない。○○(オバ)が7000円って言ってる。○○(オバ)は病院でも聞いてきたんだから、7000円よ!」

「○○市は、1000円って決まってるの。」

「いや。○○(オバ)が、会社の人沢山に聞いたけど、『1000円ではない』って、全員に言われたって。
『7000円しないとしてても、最低でも6000円かかる』って、言われたらしいよ。」

病院でも会社でも聞いた情報なんだから、あんたの言うより正しい!市のホームページにも書いてある正確な情報も完全に信じなくなっていた。


'バレたら誤魔化す'という良心が、まだオバに残っていると信じていたため、1000円と訂正されたら、「1000円って言ったのに7000円とお祖母ちゃんが聞き間違えた」と、言うだろうと思っていた。オバは、何のために料金を割り増ししているのだろうか。

「もう、そのまま7000円渡させればいいやん。」と母に言ったが、祖母のお金を守りたい正義感の塊の母は、病院に料金を確かめるために電話を掛けた。

「今日、母が、インフルエンザの予防接種を受けることになっているんですが…」

「どなたのことですか?」

「○○(祖母の名字)です。母が足りないかもしれないって気にしてたものですから。予防接種代いくらですか?1000円だと思っていたものですから。」

「そうです1000円ですよ。今、いらっしゃってますよ。○○(オバの下の名前)さん、妹さんですよね?」

料金を確認してから、祖母に電話を掛けようと思っていたが、既にその場に祖母とオバが居た。まさかの展開に

「いえいえ、母が私に電話をしてきてだけで、妹は知らないと思いますので、電話を変わらず接種代金を母に伝えていただくだけで結構です。」

「はい。わかりました。」

と電話を切った。それから1分もたたない間に、母の携帯に祖母から電話がある。

「なんで、あんたは!病院にまで電話するのよっ!!!!」

受話器からはっきり声が聞こえるほど祖母は怒っていた。病院に電話をすることがそんなにいけないことなのだろうか。

「ばあちゃんが、7000円っていうから、病院に聞いただけでしょ?」

「あんたは、私に恥をかかせて!!」

「足りなかったら振り込もうと思って、代金確認しただけでしょ?『母が、あまり手持ちがないと言っていたので』って、予防接種代を聞いただけでしょ?なにが恥ずかしいのよ!?」

「病院にまで電話を掛けなくてもいいでしょ!」

「料金、わからなかったら、病院に確認するでしょ?なにも恥ずかしいことはないじゃないの?」

「それで、予防接種代金いくらだったって?(苛)」

オバの言うとおり7000円だと思っている祖母は、母が受付に料金を訂正されていると思っていたようで、とても強気だった。

「1000円」

「え???1000円なの。あっ、そう・・・。」

祖母は、何に怒っていたのかさえ忘れたかのように、一気に興奮がおさまり電話を切った。

祖母が怒りを向けるべきは、病院に料金を聞きにいったと嘘をつき、代金を上乗せしたオバではないのだろうか?


納得し落ち着いた祖母が、この一時間後、何故か怒りを増幅させ、狂って電話をしてくることになるとは、この時は想像もつかなかった。


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