「先に生まれただけの僕」第9話のペップトーク解説 | 映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

ペップトーク(Pep Talk)とは人を元気にする短いスピーチで、コーチングの最後のスキルとも言われているそうです。映画に出てくるペップトークを通して、みなさんにもペップトークを知っていただければ幸いです。

 今回の放映分には残念ながら、特筆すべきペップトークはありませんでした。

 

 

 

 でも、ペップトーカーとしてネガティブな心理状況にある集団をまとめてポジティブにして、やる気のスイッチを入れるという方法に関しては学ぶべきシーンがありましたので、今回はその部分について解説しておきます。

 

 

 

【あらすじと背景】

 

 高校の受験生を増やすために部活を強くする・・・
そのためにバスケット部、弓道部、テニス部、吹奏楽部に外部からコーチを招き、活性化をはかる校長。

 

 ところが、バスケット部のコーチが暴走。

 チーム強化のためには対外試合が有効と遠征試合を組み、学校側と顧問に報告なく、生徒たちに遠征費54,000円徴収することを通告。

 それに怒った父兄が学校に乗り組んでくることに。

 

 

 

【ペップトークが相手の心に響く精神的環境整備】

 

 

 ペップトークがオーディエンスの心に響き、やる気のスイッチを入れるためには、まず初めに相手のネガティブな要因(できない、自信が無い、不安・・・といった心理的な背景)を取り除いてあげる必要があります。

 そのうえで、これを乗り越えたときに訪れる夢を実現した姿を提示する・・・

 

 今回は、一人のスピーカーが集団に対して行うのではなく、複数の人間のリレートークで一つのペップトークを完成しているという構成です。

 これはドラマの脚本ですし、演出上の構成もありますが、一連のセリフとつなげると見事に一遍のペップトークになっているという例です。

 現実的には複数の人間が意図して、このようなリレーペップトークは不可能に近いでしょうが、ネガティブなイメージのパラダイムシフトからやる気のスイッチを入れるという流れは、ペップトーカーを目指す人には必要な資質だと思います。

 

 

 

【ペップトーク的イメージのパラダイムシフト】

 

 

 

 

 

37’07”~

 

 

 

バスケ部員、顧問、コーチが揃っているところに、校長と副校長が乗り込んで、部員にペップトーク。

 

 

校長「今回の遠征でバスケ部は60万円の借金を負うことになりました」

 

生徒「え? バスケ部が?」

 

校長「そうです。これはみんなに返してもらいます」

 

顧問「それはどういうことですか?」

 

副校長「ま、校長のお考えを聞いてください」

 

校長「返済の仕方は今回の遠征も含めて、練習試合、大会での試合、一試合勝つごとに一万円返したこととします」

 

生徒「勝ったら?」

 

校長「うん。60勝すれば借金はなくなります。つまりこれからは勝手も負けてもいい試合なんてありません。君たちは全力で戦わなければならない。」

 

コーチ「いいじゃないっすか!」

 

顧問「いいの~?」

 

副校長「来年4月には新人勧誘を積極的にやって、部員を増やさなきゃね。選手層の厚さは勝利につながる!」

 

コーチ「そうだ!」

 

生徒「でも校長先生、借金の60万は本当にあるんですよね」

 

校長「そうだよ」

 

生徒「僕たちが勝ったからって消えるわけじゃないですよね、その借金」

 

校長「その通り。良いとこに気付いたね」

 

生徒「じゃあどうするんですか? 誰が払うんですか?」

 

校長「それは僕たち大人が考えます。バスケ部のOBに寄付金を募ったり、事務長がどこからか捻出したり」

 

副校長「一万円ずつならなんとかなる」

 

コーチ「おまえたちは頑張って試合で結果をだせばいいんだよ!」

 

校長「強いバスケ部にするんだ!」

 

副校長「もちろん勉強も頑張ってね」

 

コーチ「やってやろうぢゃねーか!」

 

顧問「60勝だぞ?」

 

校長「60勝すればインターハイ出場も夢じゃありません」

 

生徒「60勝するぞ~!!」「お~!!」

 

副校長「借金かえすぞ~!!」

 

生徒「お~!!」

 

 

 

【ペップトークの解説】

 

 

 ペップトークについて学ばれている方は、このセリフを読んでお気づきだと思いますが・・・

 

 語り手は違っていますが、発信者側と受信者側の会話に分けて、発信者側のセリフを一人が語ったとしてまとめると、びっくりすることに「ペップトークのシナリオの法則」に見事に当てはまっています。

 

 つまり、現実的にこのドラマのように複数の人間のリレーペップトークはとても難易度が高いのですが、これを語り手ひとりでやってのけることは可能です。

 

 相手の置かれている状況をすべて受け入れ、ネガティブな心理状態をポジティブに変える作戦を提示し、やる気のスイッチを入れる・・・

 

 ペップトークの神髄が見事に凝縮されたシナリオであることは間違いないと思います。

 

 

詳しくはコチラ