「先に生まれただけの僕」第10話(最終回)のペップトーク解説 | 映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

映画でペップトークとアファメーション(Pep Talk & Affirmation)

ペップトーク(Pep Talk)とは人を元気にする短いスピーチで、コーチングの最後のスキルとも言われているそうです。映画に出てくるペップトークを通して、みなさんにもペップトークを知っていただければ幸いです。

遂に最終回・・・



ですが、どんでん返しもなく、予想通りで裏切ることのない結末。



なのに、涙腺がぶっ壊れてポロポロ泣いちゃったのは、感動的なペップトーク5連発での締めのせい?



今回のペップトークは、そのまま、もしくは若干のアレンジで日常的生活の中で活用できるものばかりです。



「学ぶ」の語源は「まねる」から来ているそうです。



書道でも華道でも、スポーツでも音楽でも、何かを身につけるには、良いお手本をマネることから始まります。



感動的な映画やドラマに出てくるセリフは、人の心を揺さぶるために、人の心に染みる言葉の魔術師であるプロの脚本家が熟考し、練りに練った一字一句です。



ペップトーカーを目指すと言っても、素人がいきなり人を感動させるスピーチシナリオを書くなんて至難の技です。



まずはプロが書いた感動的なスピーチシナリオをマネることで学び始めてはいかがでしょうか?



その題材が、この最終回には「てんこ盛」でしたので、ご紹介しておきます。




【ペップトーク シナリオ その①】

校長先生から入学試験を受ける中学3年生に向けてのメッセージ。

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38'28"〜



受験生の皆さん、京明館高校校長の鳴海涼介です。
今、みんなの前にある試験問題は京明館高校から皆さんへのメッセージです。
奇をてらった問題はありません。
中学校の授業をきちんと聞いていれば解ける問題ばかりです。
「ここから先は僕たちと一緒に勉強していこう」
そんな気持ちを込めて試験問題を作りました。
今日は悔いの無いように全力を出し尽くしてください。




【ペップトーク シナリオ その②】

校長先生から最後の夏休みを迎える高校3年生に向けてのメッセージ。

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39'43"〜



いよいよ明日から夏休みです。
3年生にとって、この夏休みの過ごし方がとっても大事になってきます。
昨年度、みなさんの先輩は京明館創立以来、最高の大学進学実績を残してくれました。
でも、みんなは、特にこの特進クラスのみんなはそんなことプレッシャーに感じる必要はありません。
隣の人と自分を比べる必要なんてない。
目指すは自己ベスト。
自分史上最高の自分になることを目指して、この夏を過ごしましょう。




【ペップトーク シナリオ その③】

校長先生から初めての夏休みを迎える1年生に向けてのメッセージ。

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40'20"〜




今、高校1年生の君たちと10年後の君たちは別の人間ではありません。
今日の自分が明日の自分になり、明日の自分が明後日の自分になり、そして10年後の自分になっていきます。
もし10年後、自分がこうなっていたいという何かがあるなら、今日のうちにやらなければならないことが、1つや2つあるはずです。



【ペップトーク シナリオ その④】

校長先生から夏休みを迎える2年生に向けてのメッセージ。

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4'40"〜



2年生のみんなは、この夏休みのうちにやれることを思いっきりやってください。
勉強することは大事です。でも、大学に入ることがゴールではありません。
その先に社会があります。学校とは全く違うルールで出来た世界に、いずれみんなは出て行かなくてはならない。
僕はこの学校の校長先生ですが、だからといって偉そうにするつもりはありません。
僕はただ、みんなより少しだけ先に生まれてきただけなんだから。
だから先生としてではなく、ひとりの人間として伝えたい。
これから世の中は、どんどん変わってくるだろうし、君たちの人生も色々なことが起こるかもしれません。
「これでいいのかなあ」とか、「私には才能なんて無いのかなあ」とか、何度も不安が押し寄せてくるかもしれません。
でも、みんなに未来を見通すチカラなんてありません。
そもそも君たちが何かをするまで未来なんて存在しないんだ。
だから君たちができることは、足掻くことだけです。
不思議なもので、足掻いて進んで行くと見えてくる景色があります。
やってみないと分からないことが山ほどある。
いや、やってみないと分からないことしかないと言い切ってもいいかもしれません。
だから、だから何でもやってみよう。
冒険してみよう。
冒険してもモンクを言う人はいません。
羨ましがる人はいるかもしれないけどね。



【ペップトーク シナリオ その⑤】

校長先生から夏休みを迎える先生たちに向けてのメッセージ。

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42'27"〜




僕は先生方にも同じことを言います。
生徒たちが夏休みの間に、色々なことを経験して、成長して戻ってきた時に、先生たちが何も変わっていないんじゃダメですよね。
人は何歳になっても成長できる。
そのお手本になるのが先生たちです。
生徒たちは先生たちがどう変わって行くのか期待していると思いますよ。




【ペップトークとしての上級活用術】




ご紹介した通り、ドラマのセリフをそのまま、お手本として活用できるものばかりです。



これをペップトークとして活用するためには、さらにスパイスを効かせてみましょう。



【シナリオ①】



最後の
「今日は悔いの無いように全力を出し尽くしてください」
は、このままでも良いのでしょうが、ペップトーカーなら、「悔いの無い」から「悔いを残す」というネガテイブな自分を連想させないように
「今日は、今までで最高の結果を出せるように・・・」
といった、成功を暗示する言葉の方がより良いと思います。




【シナリオ②】




「人との戦いではなく自分との戦い」という意味では「自己ベスト」というキーワードに結びつけるのはとても良いことだと思います。
ただ、ペップトーカーとしては「でも」という否定的な前置詞は使いたくありません。
これは、その前に示した事例が逆の結果に結びつく危険性があるからです。
ここでは、1年先輩が創立以来、最高の結果を残したことを引用しながら、「君たちは気にしなくても良い」という逆説的に感じられる要因を作っています。
ペップトーカー的に、前向きに表現するなら
「先輩たちを超えよう! そのためには君たち一人一人が自己ベストを尽くすこと・・・」
といった展開に持って行くと、さらに効果的になるのではないかと思います。



【シナリオ③】



このままでも問題はありませんが、よりペップトーカー的な表現にするなら
「やらなければならないことが」

「やっておいた方が良いことが」
に変えると、より本人の自発性を引き出せるのではないかと思います。




【シナリオ④】



このスピーチも、ほぼ完璧ですが、やはり「でも」という言葉は使いたくないですね。
「勉強することは大事です。でも、大学に入ることがゴールではありません」

「勉強することは大事です。大学は通過点であり、その先に・・」
のような感じで、前に述べたことの否定にならないように次につなぐといいかもしれませんね。





【シナリオ⑤】


「〇〇はダメ」という、やってほしくないことを述べるより、やってほしいことを訴えるのがペップトーカーです。



ここでの
「先生たちが何も変わっていないんじゃダメですよね」

「先生たちが素敵に変わっていたら、生徒たちも驚きますよね」
に変えたら、よりペップトーカー的になると思います。




いかがでしょうか?




私の添削は、よりペップトーカー的にするための着眼点を例示しただけであり、これが決して最良というわけではありません。




皆さんなりに、自分と聴衆がおかれている環境にあわせて、自分自身の言葉で改善してみることをオススメします。


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ドラマは最終回でしたが、時間をみて第1話から改めてペップトークを探ってみたいと思っています。




それでは、また・・・。