「何があったか、聞いていいか?」
チャンミンが勝手に降りたあと、キャプテンが俺に聞いてきた。
「俺が口挟むのもなんだが、どうもお前達の間の確執を知っておかなければ、この先も何かあったとき対応しきれない。」
「すみません。」
「いや、おまえは悪くない。あいつが怒ってるのは、おまえの親父さんに対してみたいだし。」
「いや、俺がいけないんです。」
「ユノ、すべてを抱え込むといつか爆発するぞ。俺じゃなくてもいいから、少しは回りに吐き出した方がいい。」
「すみません。」
「とにかく、俺もここで降りる。チャンミンのことは任せてくれ。」
「ありがとうございます。あの、、、キャプテン。」
「何だ?」
「そんなに親身になってチャンミンの世話をやいてくれるのは、キャプテンだからですか?」
「う~ん。それもひとつだが、、、。」
キャプテンは少し考えて
「気になるんだよな。きっと初めから。」
そのとき、わずかに嫌な予感がした。
「たぶん、弟ように思うからかな。」
「弟のようにですか?」
「違うな。俺もこんな感情、初めてだからわからない。とにかくほっとけない。
一人で頑張ってる姿を見ていると、無条件に応援したくなる。
あいつが、女だったら、惚れていたかもな。」
嫌な予感は少しばかり的中した。
「キャプテンは、彼女いないんですか?」
「なんだよ、いきなり、唐突だな。」
「いえ、こんな人格者、周りも放っておかないだろうなって。」
「おいおい、どうした?何もでねぇぞ。まあ、おまえの質問に真摯に答えるとしたら、少し前までいたが、今は、フリーだ。」
嫌な予感はさらに大きくなる。
「まさか、本気でチャンミンのこと、、、。」
「ハハハハ。笑わせるな。あいつは男だ。」
「そうですよね。」
少し安心したのも束の間、
「男なんだよな、、、。」
ぼそっと、キャプテンが口にした言葉を聞き逃さなかった。