ニセの食欲、ウソの食欲、嘘の食欲、ニセの空腹感、にせものの空腹感、ウソの空腹感などなど、当然ながら、どれも同じことを意味しています。好きな言葉を自由に使ってください。
今回は、最悪のにせものの空腹感についてです。
これは本当に悲惨です。
まず、知っておいていただきたいのは、
おなかいっぱいで満足しているというのは、いったいどういう状態なのか?ということです。
まず一つ目として、しっかりと食べておなかが膨れて満足しているということ、すなわち体は栄養が満たされて、もう十分だと満足しているということが必要です。
簡単に言うと、体が満足することが必要だということです。
そして、もう一つ、心も満たされて幸せな気分だと感じることが必要になります。
体だけではなく心も満足する必要があるのです。
あまり意識されていませんが、これは非常に重要なことなのです。
このことは、またあらためて詳しく説明したいと思っています。
では、ダイエットをしてやせたいと強く思っている人が、思いっきりたくさん食べまくって、苦しいほどの満腹になったとき、具体的にどのような感じ(状態)になるでしょうか?
「ああ、また食べ過ぎてしまった。これでまた太ってしまう。最悪だ。なぜ自分はこんなにも心が弱いのだろうか。何もかもがいやになる。」というふうにきっと思うでしょう。
そして、心理的な強い不快感を感じて、にせものの空腹感が激しく刺激されてしまいます。
このにせものの空腹感は強烈なので、脳は興奮状態となり、普段の冷静な状態とはまったく違うようになり、なかなか抑えが効きません。そのため、さらにたくさん食べてしまうことになるのです。
そうなるとどうなるでしょうか?
当然ながら、さらににせものの空腹感は強まってしまいますよね。
このように、たくさん食べたことが、心理的な不快感となり、にせものの空腹感を強めてしまうことになるのです。
これはさすがに悲惨としか言いようがありません。
食べれば食べるほど、空腹感が強まるように感じてしまうのですから
食事をとることに関して、まったく悩みをかかえていない人にとっては、冗談のように感じてしまうだろうと思います。
しかし、摂食障害、特に過食症で苦しんでいる人は、ほとんどの人がこの現象で苦しんでいるはずです。
それから、体と心の両方が満たされる必要があるということから考えても、心の面が満たされていないことがよくわかると思います。
たとえ体は満足していても、「食べ過ぎてしまって悔しい」というふうに心の面では満足するどころか、強い不満を感じてしまっているからです。
これでは、残念ながら、おなかいっぱいで満足というふうにはなってくれません。
以上が心の面の問題です。
そしてもう一つ、食べ過ぎたら、体はどんなふうになるでしょうか?
「おなかが膨れて苦しい、動けない、うーー、苦しい」となると思います。
これも程度がひどければ、当然ながら不快感となりますよね。
不快感であれば、にせものの空腹感の原因となってしまう可能性があります。
そうです、
食べ過ぎた苦しさ(体の不快感)が、にせものの空腹感を刺激してしまうこともかなりあるのです。
過食症で苦しんでいる人は、きっとこの現象でも苦しんでいると思います。
たくさん食べれば食べるほど、体が苦しくなって、にせものの空腹感が刺激されて、さらにおなかがすいたように感じてしまうのです
どうにもこうにも悲惨すぎると思います。
食べ物に救いを求めれば求めるほど、それが原因でより苦しくなっていってしまうのです。
そして、吐けば楽になるんだという方向に逃げるようになってしまったりするのです。
嘔吐すると、満足感にかかわるホルモンであるセロトニンが減少したりして、さらに問題が深刻化していってしまいます。
食べ過ぎてしまうと、体の面でも心の面でも強い不快感を感じることになり、それがニセの食欲となり、さらにたくさん食べ過ぎて、どんどん悪循環にはまっていってしまうのです
食べ過ぎることが嫌だと強く思っている人ほど、心理的な不快感は強いものとなるので、より強いにせものの空腹感に苦しめられることになります。
もがけばもがくほど深みにはまっていくアリ地獄のようなものなのです。
どうすればよいかということは、簡単に説明できるようなものではありませんので、あらためてじっくりと説明していきたいと思っています。
ただ、「自分の頑張りが足りないからダメなんだ。」、「みんなは食事のコントロールを簡単にできているのに、自分はなんて情けないんだろう。」っていうふうに思うのは、マイナスになるということはわかりますよね。(そう思ってはいけないと言っているわけでは決してありません。そうなんだなあということを知っておいてくださいねというだけです。)
必死に頑張れば頑張るほど状況がまずくなるというのが、この問題の恐ろしいところなのです。
まとめ
食べ過ぎが原因のウソの空腹感というとんでもなく恐ろしいものがあるんだ、ということはしっかりとおぼえておいてください。
次回は、本物の空腹感とにせものの空腹感のよりわかりやすい見分け方を紹介したいと思います。
手のひらを聴診器のようにおなかに当てていき、おなかの左側あたりに空っぽの苦しさを感じるならば、それは本物の空腹感であり、それ以外はにせものの空腹感だと見分けられるという説明でした。
まだわからないですよという質問になんとか答えようと思って、頑張ってみたところ、もう少しわかりやすい、それなりにいい方法に気づけたと思います。