メルは 私の飼い主。
羽を傷つけた私を見つけ
掌で優しく拾い上げてくれた。
私は草原の中を彷徨っていた。
傷だらけの羽を引きずりながら
地べたを這うように 歩いていた。
鋭いトンビの視線を避けながら
忍び寄るヘビの姿に警戒しながら
鳴き叫びたい気持ちを抑えて
たったいちわで 歩き続けた。
枯葉がカサカサ音を立てれば
足がすくみ
ウサギが耳をそば立てただけでも
身が縮まった。
孤独と恐怖に襲われながら
それでもずっと 歩き続けた。
空を颯爽と飛び廻っていた頃の私には
黄色いカナリアだった頃の私には
どれも心躍らせる存在だったのに
私の瞳に映る世界は
明らかに姿を変えていた。
メルに拾われた今も私は
怯えたままの青い鳥...