傷を負った動物達の手当てを 一通り終えると

いつものように望遠鏡を覗き込むメル。

それから鼻歌を歌いながら 食事の支度を整えて、

テーブルの下に集まってきた動物達と分け合って食べる。


空がすっかり星で埋め尽くされる頃

西日で少しだけ暖まったベットに腰掛け

今日あった出来事の話や 風から届けられ話を

身支度を整えながら 明るい声で私に話しだす。

私は黙って メルの話に耳を傾ける。


そして、ベットに横になったメルは

両手を頭の上で組んだまま

天井をじっと見つめ始める。

時々静かにまぶたを閉じ 

息を吸うことも忘れてしまったように身動きもせず

そうかと思えば急に見開いて 

また いつまでも天井を見つめている。

そんなことを何度か繰り返しながら

やがて静かな寝息をたて始める。


その姿を知っているのは、たぶん私だけ...

誰の前でも いつも静かに笑っているメルだから。

仲間たちの誰も こんな姿は知らない。

メルの中にもきっと 言葉に表せない孤独がある。

それを知っているのはたぶん 私だけ...