メルは草原に
今日も花を摘みに出かけた。
吹きすさぶ潮風にさらされても
ひるむことなく咲いている
薄紫のヒルガオの花が
メルはとても気に入っている。
私のいる寝室の窓からは
ちょうど森へと向かう小道が見える。
私は、薄紫の小さな花束を手に
小道を歩いていくメルの姿を 目で追った。
視線に気づいたメルは 歩いたまま
くるりと顔だけを私に向け
にっこり笑いながら 軽く手を振って、
森の奥深くへと姿を消していった。
メルの家の西側の森。
北の果ての地の 西の森。
そこは、町の人からは
とても怖れられているけれど
メルにとっては 大切な場所。
かけがえのない 大切な場所。
メルはこうして毎日
森の中へと出かけていく。
まるで誰かに会いにいくように...