観た映画 2021年12月 | BTJJ

BTJJ

リハビリの為のタイピングブログ

■2021年12月に観た映画

13本(劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)

 

・藁にもすがる獣たち (原題:지푸라기라도 잡고 싶은 짐승들) - 3.5/5.0 (WOWOW/2021.12.30)

監督 脚本:キム・ヨンフン。原作:曽根圭介。2018年。日本公開201年。予告の段階では"へ~"、SNSでの評判を見て"見てみようかな"で、鑑賞した作品。なんだか"無駄に何かあり気なのにたいして何も起きない"というシーンの繰り返しで物語を展開させていくので興味の持続が若干難しかった。画面的につまらないとかそういう事ではないのでまだ見ていられるのですが、いかんせん話が平板(面白くないとは言わない)。時系列をバラして作劇するのであればもっと工夫が必要ではないか。

 

・ベター ウォッチ アウト: クリスマスの侵略者 (原題:Better Watch Out) - 3.6/5.0 (WOWOW/2021.12.29)

監督 脚本:クリス・ペッコーバー。脚本:ザック・カーン。2016年。日本公開2020年。たしか夏くらいにシネマスコーレで上映していたのを横目に見ていた、はず。レンタルするのもなーからと思っていたらWOWOWで放送していたので鑑賞。"ブラックなホームアローン"的な感じで紹介されていましたが、全く別モノ。"子供版ファニーゲームatクリスマス"と言った感じか。えっ?と思う様な画作りや、一筋縄ではいかない展開にせっかくジャンル映画作るならただでは終わらないぞ精神を感じられてとても好感を持った。そして何よりも主役の子供の嫌ァな感じが最高。主役が何故そんなにもシッターの女に執着するのかイマイチ分からなかったりもしますが、まあそんなもんかなと(てか、中坊の嫉妬心なんてそんな不明瞭なモノか)。もう少しスプラッター描写と向き合ってしっかりと描くところは描いてもらえるともっと良かったのになと思う。"なんだ猫か"が2度も出て来る珍しい一作。

 

・ハッピー デス デイ 2U (原題:Happy Death Day 2U) - 3.9/5.0 (Blu-ray/2021.12.19)
監督 脚本:クリストファー・ランドン。2019年。

・ハッピー デス デイ (原題:Happy Death Day) - 3.4/5.0 (Blu-ray/2021.12.19辺り)

監督 脚本:クリストファー・ランドン。脚本:スコット・ロブデル。2017年。

今年で言うと「ザ・スイッチ」がまあまあ面白かったリストファー・ランドンの出世作。ホラーのジャンルでオススメされているので正直面白くなさそうでしたが重い腰をあげようやく鑑賞。正直、1作目は話自体にあまりノレなかったし、演出もコミカルな面が多く(これは「ザ・スイッチ」でも見られるので監督のチャームというか作家性なのだろうが)、正直途中からかなりどうでも良くなってしまった。もう少し厳しくというか真剣に命のやり取りというかそういう部分を描いて欲しかった。だって、シリアルキラーが相手なんだよ?でもまあファミコン的というか、死んでもすぐに生き返る設定故の命の軽さなのだろうが。まあまあつまらなかったのでこりゃ2は観ずに返却するかと思っていましたがせっかくなので鑑賞。そしたらこちらは面白かった!主人公は今度はそっちなの?!と思わせておいてからの本題に入るのもか続きものにしてはフレッシュなフックだったし、新たに作られた多元宇宙論というテーマ。それにより"もし違った自分の人生が存在したら"という誰もが1度は考えた事があるであろう命題と、しかしながらそれは夢想に過ぎず現実は過去は取り戻せないという切実さ、そして過去の自分があるから今の自分があるんだからという自己肯定をしてくれる様なテーマを主題に、でもせっかくパラレル体験したのならばもう会えない人にしっかりと言葉で気持ちを伝えよう、という人間のあり方とか夢(に見るようなこと)とかを描いてくれていてとても映画的だと感じたし、もう会えない母親に言えなかった想いを伝えるシーンは泣きそうになってしまった。そしてしっかりとケジメを付けて元の次元に戻っていく主人公。ラストもしっかりと幕を閉じて良かったと思う。蛇足で3がある様な展開がありましたが、2がこれだけ巻き返したんだから3は絶対見るでしょ!と1の後とは大違いな感想を持った。まだ作られていないようなのでもし作られるなら劇場で観られるのが楽しみだ。

 

・FEAR X フィアー エックス (原題:FEAR X) - 3.3/5.0 (DVD/2021.12.17)

監督 脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン。脚本:ヒューバート・セルビー・Jr。2003年。日本公開2015年。ニコラス・ウィンディング・レフン作品で未観のものをレンタル。妻を殺された男が復讐のために立ち上がるが...という出だしはそれなりにある話の様ですが、ニコラス~監督でそんな素直に行くはずもなく、後半はかなりドラッギーな展開をむかえ静かに男は狂っていく。大体そういう話ばかりな様な気もしますが。後半の舞台であるホテルは、真っ赤な色が印象的で「シャイニング」のオーバールックホテルの様な雰囲気が印象に残っている。画面は相変わらず神経質なくらいに硬派で低温な怖さみたいなものが通底していてかっこよかったのですが、今作はいかんせんお話が面白くないのでどうしても星は伸びませんでしたがニコラス~らしいなと思いながら終始観た。劇伴というか音が良かった。

 

・悪なき殺人 (原題:Only the Animals) - 3.7/5.0 (伏見ミリオン座/2021.12.14)

監督 脚本:ドミニク・モル。脚本:ジル・マルシャン。原作:コラン・ニエル(題名:Seules les bêtes)。2019年。日本公開2021年。登場人物5人の各章に章立てて羅生門スタイルで作劇されていくスリラー。前半と後半で舞台がガラッと変わり、まるで違う作品を見せられている様な感覚に。5人という人数、場所や時制が若干入り組んでいるのにも関わらずこの整理されっぷりは偉いと思う。とても見やすいし分かり易く、伏線回収も順序立てて丁寧にきちんとされていく。非常に上手く物語が進行していくので(時制が行ったり来たりするのは上手いのかと言われるとそれはちょっと...)高度な事をサラッとやっている感があってすごいなあと思うのですが、良くも悪くもそれだけの様に感じてしまい少し物足りなかった様に思う。また、中盤チャットを通じてメールのやり取りをするシーンが異様に長く感じ正直ダレた。長いわりに先も読めるし、それ以上の事が起こらない。それはこの映画全編に渡って言える事でもあるが、結構お行儀の良い作品なので上手なんですが特に心に残る様な何かは無かったかなと思う。悪くはないけどそれだけ。

 

・ラストナイト イン ソーホー (原題:Last Night In Soho) - 4.0/5.0 (センチュリーシネマ/2021.12.13)

監督 脚本:エドガー・ライト。脚本:クリスティ・ウィルソン=ケアンズ。2021年。楽しみにしていたこちらを早速劇場鑑賞。月曜昼間、客入りは33人ほど。"エドガー・ライトがホラー?"と思ったのも束の間、オープニングからバキバキに決まった画と色味をもって時代感覚をバグらせる演出(ソーホーに向かう電車の中でエリーがつけるヘッドフォンで現代だと分かるのもニクい)、メインビジュアルにもなっている赤と青の印象的な色遣いが不気味さを加速させる。丁寧かつ熱のこもった描写が開始早々に連発され既に最高。所謂、心霊映画的なものとセクシズムをミックスした作劇はしっかり今っぽくもあり、斬新さもしっかりとある。(今でもセクシズム自体は遺るが様々な差別や偏見は60年前よりは減っているだろう)現在を生きるエロイーズが、同じ年齢くらいの女性を、同じ女性として、過去に閉じ込められたサンディを恐れる事なく必死に救おうとする時間を越えた姿(これこそ映画にしか出来ない表現だと思う)にとてもグッと来た。初めてサンディを見て、憧れ、ああなりたい!とエリーが彼女に近づこうとしてブロンドにし、同じ服を着るのは役割は違うがヒッチコックの「めまい」感を感じたり、サスペリアじゃん!と思う画面もあったり、そういうエドガーライトらしい部分も見どころか。素晴らしい出来だった。

 

・キャラクター - 3.6/5.0 (Blu-ray/2021.12.12)

監督 脚本:永井聡。脚本 原作:長崎尚志(リチャード・ウー)。脚本:川原杏奈。2021年。こちらも劇場でタイミングを逃してレンタルにて鑑賞。脚本、原作の長崎尚志氏は浦沢直樹とのタッグで有名な漫画プロデューサ。監督は正直あまり知らない。アバン後のオープニングや、警察が作戦を立てる会議のシーンのズラッと並んだビジュアルと音楽など、ジェームズ・ワンの一連の作品の雰囲気を感じた。(警官ズラッとは踊る大捜査線かも知れないが)。という部分からも、所謂自警や正義を振りかざした結果殺人に至ってしまう狂気な人物と対峙する映画なんだろうなという期待値は上がった。し、実際にタイトルが出て歪んだギターが鳴った瞬間はベタとも言えなくはないがかっこよかった。殺人描写もこの手の作品にしてはとても頑張っていたと思うし、話自体も結構素直に面白かったんですが、カチャカチャ変えるカットの多い編集のお粗末さや、主要人物にギャラの多くを割いたためにモブキャラたちが再現VTRレベルだったり、正直映画としての魅せ方の悪さが結構目立ってしまったなという印象。面白い映画になるはずが全然違う所に着地してしまった感は否めない。これはリテラシー不足の私でも分かるくらいには監督が下手。下手過ぎる。セカオワのfukaseが殺人鬼だという点も相当構えて観たのですが結構良かったと思うし、何ならわりと頑張っていた。こんなに頑張った(バンドのイメージとも懸け離れた役どころだろうし)にも関わらず本作自体があまり話題になっていないのは少し損をしている様な気がする。総じてもう一歩だったのになんかセンスの悪い人が重要な所に何人か入り込んでしまって駄作になってしまった作品、という感じ。

 

・イン ザ ハイツ (原題:In the Heights) - 3.3/5.0 (Blu-ray/2021.12.11)

監督:ジョン・チュウ。脚本:クイアラ・アレグリア・ヒューズ。2021年。当時劇場IMAXでの鑑賞タイミングを完全に逃してしまい、ようやくBlu-rayレンタルが開始されたので即鑑賞。アトロクでも絶賛されていたので楽しみにしていたが、結果から言うと"都合良過ぎエンタメ作"という感じ。まあ、エンタメ作ってそういうものかも知れないですけど。アバンや前半部分の切れ味はとても良く"これは結構面白いんじゃないか?"と期待して観進めたのだが、時間の経過と共に脚本の粗のせいか都合良過ぎな展開がどうしても乱発している様に感じてしまった。撮りたいシーンが多すぎてその部分に気を遣い過ぎた結果バランスが取れない作劇になっているのでは?と感じた。登場人物たちの動機の描写や掘り下げが浅いか。いつの間にか立ち上がっていつの間にかなんとなくうまくいって、このキャラクターは皆からの信頼が無条件にあって、勇敢で~みたいな展開が多すぎて、話を追う事自体が非常にどうでも良くなってしまった。映像美やミュージカルシーンの良さは確実にあるのであくまでメインはそれらであって、こういった規模のエンタメ作にはお話の深さを求めない姿勢で臨むのが正解だったのかも知れない。あまり深く考えずに画面に映されるものと、音楽と歌をシンプルに楽しむ体感型という部分に重きを置くのであればこれくらいのお話でもいいのかなとも思う。が、個人的には結構期待外れだったよなと感じる。

 

・LOVE [3D] (原題:Love) - 3.6/5.0 (DVD/2021.12.10)

監督 脚本:ギャスパー・ノエ。2015年。市内にレンタル取り扱いが無く、地元にはあったのでいつか借りようと思っていたがようやくタイミングが合ったために鑑賞する事が出来た。"珍しくお話があるじゃん!"というのが率直な感想だ。タイトルに「LOVE」とつけるくらいなのでそういう話だろうなと思って観たが、意外にもカップル倦怠モノ(常に回想で)として機能しつつもキツイ性描写で真実()を浮き彫りにしていく。監督自身も言っているが確かに人間裸になってしまえばやる事は一つで、誰しもが行っている事や行いたいと思っている様な過激な欲望や妄想というのは存在する。それらを理性のタガを外した状態で繰り返した結果、ゴミの様な2人がゴミの様な別れを経験するという今作のストーリーラインになっていく。だが、そんなゴミの様な2人でもお互いを大切に思う気持ちは真っ当な人たちと等価である。二人の愛の行為は美しい(ように撮っている)。だからこそ、主人公が1人きりになるのは死ぬほどツラいし、過去の忘れられない恋人の幻影を追いかけながら今も彷徨ってしまう悲しさは実際にあると思う。ふたなり男とのプレイ寸前に逃げ出したり、大写しの男性器から精液が飛び散るシーンの衝撃は凄かった(残念ながらDVDでの鑑賞だったので当時劇場で3D鑑賞したのであればさぞ震えただろう。個人的映画史上最低最悪のシーンに認定)。全体としては若干薄めな印象の作品ではあるがこうした印象的なシーンがいくつかあるのはさすがと言えるし、そういうシーンがあるだけで十分に良い作品ともいえるのであろう。

 

・リング - 3.8/5.0 (AmazonPrimeVideo/2021.12.6)

監督:中田秀夫。脚本:高橋洋。原作:鈴木光司。1998年。ジャパニーズホラー、所謂Jホラー人気のきっかけとなった金字塔的1作。当時、たぶんテレビ放送か何かで観た以来。テレビから出てくる貞子、呪われたVHS、などかなり断片的な記憶しかない(当時は全然理解できずに怖くもつまらなくもないという印象)中、再鑑賞。三宅隆太監督のラジオの影響をはじめ、洋邦問わずにホラー作品に触れる機会と興味が増しているタイミングだったため観る事にした。めちゃくちゃに怖いかと言われたらそうでもなくて、お話的には怖さよりも悲しさみたいな物に重きを置いているお話だなと、"家族という呪い"モノだなと感じた。終始する寂しいというか不気味なというか不安になるような画作りや演出でかなり独特なタッチになっている。話自体は、貞子の呪いをどうやって解くのかあんなに必死になって挑んだのにアッサリと"ダビング"という行為でなかったことにしてしまうのはトンっと突き放された様に感じた。VHSやダビング、レンタルビデオの普及に伴って"この映画を観る事自体に禍々しい何かがある"という様な仕組みでリアリティを持たせる恐怖体験に持って行くアイデアはすごいなと思った。そして、あの呪いのビデオ自体の映像の気味悪さとかそういったものはちょっとやっぱ執念じみたものを感じる。松嶋菜々子がポラロイドで写真を確認するシーンと、ラスト付近のテレビ画面に反射した指差し男の画がけっこう怖かった。黒々しい海やトーンの落とした映像はひたすらに不気味だ。

 

・ラストサマー (原題:I KNOW WHAT YOU DID LAST SUMMER) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2021.12.2)

監督:ジム・ギレスピー。脚本:ケヴィン・ウィリアムソン。1997年。三宅隆太監督の『スクリプトドクターの脚本教室』の中でメインプロットとサブプロットの章で例題として取り上げられており、興味を惹かれたので鑑賞。フィッシャーマンというブギーマンの偽物みたいな奴が次々と恨みを晴らすべく主人公たちを襲っていく。この手のジャンル映画で大事だと思うのは、ショッキング描写の力強さというのは絶対にあると思うので、飛び散る血が妙にもっさりしているとそれだけで何となくテンションが下がってしまうのですが今作はまさにそれでわりと不満な点は多かった。終盤の物語を畳むための伏線回収がどれもこれもかなりご都合主義というか、"え、なんでそうなるの?(そういうものだと言われれそうだけど)"と割と強引に話を進めていたのが残念だった。わりとどうでも良くなってしまった。ただ(レビューなどどこ観ても書いてありますが)、ジェニファー・ラヴ・ヒューイットがめちゃくちゃに可愛くて乳がそれなりにデカいので最高。それだけでもうわりとどっちでもいいかなと思えるというか。肝心の『スクリプトドクターの脚本教室』の中で題材に挙げられていた部分の詳細を失念してしまっていたので、また本を読んでみようと思う。

 

・リスペクト (原題:Respect) - 3.4/5.0 (ミッドランドスクエアシネマ2/2021.12.1)

監督:リエスル・トミー。脚本:カーリー・クーリ。2021年。映画の日だったためか平日昼にも関わらず観客は35人ほど(2回目鑑賞した「マリグナント」は55人ほど入っていて驚いた)。アトロクのアレで鑑賞。こういう音楽映画って正直、腰が重いのですが仕方なく。予告を見たら案外楽しめるかもなと思いましたが、まあ予想通りの作品かなという感じ。まず何よりも長い。146分は長すぎる。自伝モノなので長いのは仕方ないし、その人の人生を写していくものなのでエピソード的に多くなってしまうのは分かるのですが、どれもこれも中途半端というか一口かじっただけ様な状態の描き方でWikipedia観てんのと変わんないなとマジで思ってしまった。父親との事や、ダメ男との遍歴や、ミュージシャンシップの形だったり、死んだ母親との事、そして信仰とは。と語るべき部分はたくさんあるのに何かに的を絞った魅せ方をすればいいのになあと思った。演じている方の歌は上手いなと思ったので余計になんですが、こういう映画のお約束のエンドロールでの実際の映像を観るとそれまでの体たらくな本編も何だか良かった様な気がして劇場を後にしてしまうので良くないよな(本編はなんだったんだ)と思う。同じアメイジンググレイスならば、今年公開の「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン(90分)」が絶対楽しめるやるなのでオススメです。