暗らかな森くれ惑う目と

朽ち果てかけ足入りに伸ばした

木々の紡いだ檻 深く

神々が月に隠れた頃


 淡淡(あわあわ)と咲(わら)いましょう

 貴女が迷い込むように




  花吹雪 細裂(こまざ)く風の染め色は

   十月の恋桜

  卯(う)の花月(はなづき)の別離見据えず

  手招くように拡げる散光

   赫(かかや)きながら




枯れ木立 枯る草(も)の嗤(わら)う背に

(ひと)え重ねた一重桜

寂々降り下(お)る毀(こぼれ)れ月に

願意伝えば 火(あこ)は灯され


 明々と嗚呼 昇りましょう

    ココヘオカエリ



  花筵(はなむしろ)敷き詰め飾る

   十月の狂い桜

  卯(う)の花月(はなづき)の幻 懐(うだ)いて

  枯れ井戸の酒息に霊香(れいきょう)

    果たせたのですね



  花吹雪 細裂(こまざ)く風の染め色は

   無季の徒夢(あだゆめ)織る桜

  願ほどきて偃月(えんげつ)と舞い昇り

  手招く腕(かいな)に 貴女は白んだ

   赫(かがや)きながら