わらしべ長者と言うお話を知っていますか?
自分が持っているものをちょっと工夫して、役に立ちそうな相手のためにプレゼントしたら、相手からそのお礼にさらに価値のあるものを託されると言うお話です。
さて、前に私が和裁をやっていると言う話をしたかもしれません。
着物を着始めた頃、母や姑や叔母や、友達からも着物をいただいたりして、着物はどんどん集まってきました。
しかし、とてもすばらしい絹を使っていて素敵な柄の着物でも、何せ身長が合わないと裄(ゆき)が合わない。
裄とは、袖の長さの事ですが、他は誤魔化しがきいても、裄だけは長襦袢が出たりして、残念な感じになります。
他の事はあまり気にしない私でも、裄だけはどうも自分が落ち着かなくて、裄直しはしたいと和裁を習い始めたのが、5.6年前。
すっかり和裁の先生とも仲良くなり、一緒に習っているお姉様とも仲良くなり、正直友達のような家族のような気のおけない仲間になっています。
和裁仲間のお姉さんは私の弁当から、ひょいっと毎回卵焼きを取ったりするようなお茶目な方です。
先生もだいぶ歳を召されて、自分でご飯を作るのが次第に面倒になってきたと言う話をしていました。
そんなお二人のためにたまにおかずの一品や、お弁当こしらえてもっていく私ですが
、お姉様は私にもう着ないと言う反物をくれたり、価値のある着物をくれたり、ちょっとした手作り品を作ってくれたりしてお互いに仲良くやっています。
先日も、もうすぐ歌舞伎があるので長襦袢の丈を少し長く直したいと言う話を先生に話したら、先生がもう使っていないと言う絽の長襦袢をくださいました。
その上、奥のタンスで何かゴソゴソやってると思っていたら、淡いペパーミントグリーンにオレンジのお花の可愛い絽の着物を出してきてくれました。
prejudiceちゃんにあげる。もう私は、着ないから。
自分で縫った着物だし、着てくれる人にあげたいからと。
実は、私の身長162cm.先生の身長も162cm。
お直ししないで、着られる着物。また頂いてしまいました。
私は、ただ先生やお姉さんに喜んでもらおうと思ってやったことが、もう着ない物とは言え、こんな素敵なものになって戻ってくるなんて。
頂いた事も嬉しいけれど、託された善意の繋がりみたいなものが、凄く嬉しくて。
わらしべ長者を思い出し、ちょっとホッコリしてしまいました。
ホントに着物好きで、よかったなとしみじみ感じます。