光文社新書もう1丁。
言いたいことは、きれいにまとまってる。
たとえばこのブログでも4月28日 に扱ったように、「フリーター」が裕福な親の脛を齧る世代であったのに対して、「ニート」は所得水準の低い親をもつ場合が多いのだが、そういった事象に起因する階層の固定化にこの本は警鐘を発している。
そして、下流社会の問題点は、下流に属する人たち、特に若い人たちが下流のまんまでいいと考えていることだとも主張している。
「機会悪平等」でもかまわないから「機会平等」を徹底すべきだと説くあたり、プロパンガスの「相続税率100%提言」と共通する部分もある。
ただ、悲しいかな、この本、数字だらけで読みにくい。
内容が内容だけに、感情的に書かれた文章との印象を持たれては誰にも読まれなくなってしまうとの警戒感からか、やたら精緻に統計をとり、そしてその統計数値を裏づけにしながら論を進めている。
そういう発想は悪くないとも想うのだが、なにせ縦書きの文章で数字ばかりが並んでいると、ほんとうに読みづらい。
ま、読む必要のない本と言ってしまえばそれまでなんだけど。
だって、「下流社会」という造語を耳にしてピンと来る人なら、こんな本を読むまでもなく中身は推測できるだろうし、ピンと来ない人はそもそも読まないだろうし。
とか言いながら、買ってしまった。
光文社新書、おそるべし。