ドント・ルック・アップ(Netflix)が面白い(ネタバレ有り) | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

Mr.Gの気まぐれ投資コラム

50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

昨年末に公開されたアダム・マッケイ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ドント・ルック・アップ(DON'T LOOK UP)」が超絶面白い。NETFLIXで公開中。

12月27日から1月2日までの1週間でなんと1億5229万時間視聴されたらしく、マッケイ監督も「本当にびっくり仰天だよ」とツイートするほどの記録となっており、同作はNetflix史上、1週間で視聴された時間が最も長い映画となったと発表しされた。

 

金持ちのNETFLIXだけあって、NETFLIXがパラマウントから買い上げたこの作品は、ディカプリオの他、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、マーク・ライランス、ケイト・ブランシェットらアカデミー賞俳優のほか、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデなどのスターが集結していることでも話題となっている。

 

以下、ネタバレあるので、できれば観てから読んで欲しいです。

 

「地球上の生物を全て絶滅させる規模の彗星が地球に向かっている」という危機に対して、それを発見した科学者、政府、メディア、企業、国民がそれをどのように捉えてどういうことが起こりうるのかを、超絶リアルにブラックに描いている作品であり、この映画で描かれる危機を別の危機(たとえば、未知のウイルス感染拡大とか)に置き換えてみても同じような事が、現実に起こっているであろうことを認識して苦笑いするしかない。

 

メリル・ストリープ演じる米大統領は、目の前のスキャンダルと中間選挙の事しか頭になく、地球絶滅の危機に余り興味を持たないとか、メディアが地球絶滅の危機を必死に訴える科学者を変人扱いして、有名芸能人のニュースを優先していたり、中間選挙の票取りの為に、ようやく重い腰を上げた政府がアルマゲドンばりに彗星に特攻を仕掛けるヒーローを祭り上げたり、挙げ句の果ては、BASHというアップルとかテスラっぽいハイテク企業のカリスマ社長が介入して彗星のレアアースは宝の山だから細かく砕いて海に落として回収すべきだという話に政府が乗っかって、彗星の軌道を変える決死工作に飛び立ったばかりのスペースシャトルがそのままUターンして戻ってきちゃうとか、観ているひとにとっては映画のストーリーとして「まさか、そんなことはありえないだろう」という事ばかりだが、現実社会と照らし合わせてみると「そうなるかもしれない」と思えてしまう強烈なブラックユーモアだ。

 

これは、先日紹介した「えんとつ町のプペル」でも言えることだが、「DON'T LOOK UP」とは、夜空を見上げれば既に地球に向かっている彗星が見えるのに、そんなものは見ないでおけ、見るから認識してそれを恐れるのだと政府が扇動するところから来ている。

 

プペルのえんとつ町では星があること自体が政府によって隠蔽されており、煙の向こうに星が輝いていることを信じることも言うことも異端とされていた。

 

事実を認識しても、一般市民は何も出来ない。

ましてや巨大彗星の地球衝突などから逃げる手立てもない。

 

それでも事実を受け入れようとするのか、或いは知ってもしょうがないので目をつぶるのか?

 

魚豊さんの漫画『チ。』で表現される中世世界における地動説の命がけの証明とも被ってくる。

古代ギリシャ時代から中世にかけて1500年近くもの間、天動説が当たり前で、真実である地動説を主張する者は異端とされ弾圧された歴史がある。

キリスト教がヨーロッパを支配していた中世においては、科学が宗教によって支配されるということも起こったのだ。

天動説を否定したら即殺される世界で、なぜ敢えて真実を追究する必要があったのか?『チ。』の世界ではそれを考えさせられる。

知識欲に溢れ真実を追究する勇気のある人は是非読んでみてほしい。

 

 

この映画「ドント・ルック・アップ」においても、「地球が滅びる危機」という究極的で絶望的な真実に関して、色々な立場の人々が、その事実に翻弄される。

 

それでも科学者として、政治やメディアや自分自身の人間としての欲や本能に翻弄されながら、真実を伝え続ける主人公の人間臭さをディカプリオが見事に演じている。

 

日銀や日本円の崩壊する危機を訴え続けているフジマキさんをふと思い浮かべてしまった。

 

資本主義社会において、既存の通貨の価値や経済システムの崩壊を訴える人は、たとえそれが真実であっても往々にして変人扱いされ社会的にはオフにされる可能性が高いのに、それを続けるフジマキさんには敬意を表する。

 

新型コロナウイルスに関しても、既にどこに真実があるのか私には皆目見当も付かなくなってしまったが、雇用や経済というものを優先した方が支持率が上がるという政治家の立場からすれば、オミクロン株はもはや感染拡大による危険度は低く、ほぼ無害であるから経済を開放すべきだという意見が多くのひとに支持される訳だが、もしワクチンやオミクロン株に隠された人類にとって致命的な真実があったとしても、DON'T LOOK UP派が主流となるのだろう。

 

そもそも我々は真実を知るよしもないし、知ったところでどうしようもない。

 

あなたは、DON'T LOOK UP派?それともLOOK UP派?

たとえどうすることもできないとしても真実を知りたいと思いますか?

 

この映画を見てそんなことを苦笑いしながら考えてみて欲しいと思う。